おやじゴルフニュース「責任転嫁やボケた釈明 叩いたときのいい訳あれこれ」
ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・とがしやすたかのイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。
配信日時:2024年2月6日 02時00分
コンペなどで優勝をしたとき、スピーチで謙虚に「同伴メンバーに恵まれまして~」と言いますよね。けど叩いたときは謙虚のかけらもなく、いい訳のオンパレードです。決して自分がヘボだとは認めません。いったいこれは何でしょう?
というわけでゴルフは叩いたときの責任転嫁のいい訳や、ボケた釈明が面白いです。どんなのがあるか探ってみましょう。
1)昔はキャディさんに八つ当たりをしていた
今はすっかりセルフプレー全盛となりましたが、沢山キャディさんがいた頃は、いい訳を通り越して八つ当たりしてた人をよく見かけました。
グリーン上のライン読みでは「スライスって言ったのにフックしたじゃん」とキャディさんのせいにします。しかもご丁寧に、パットを打ち直し「ほらフックだろ?」と模範演技まで見せる始末。キャディさんだって万能じゃないですよ、読み間違えもあるんです。
ラウンド後に「キャディがラインを読めないから叩いた」って、みんなの前で言うのもなんだかな~ですよね。ゴルフの最終的な判断と責任はプレーヤーですから。今はセルフプレーが多いので、キャディさんのせいにする人は少ないです。代わりに登場したのがこれです。
2)ナビや案内表示、コースのせいにする人
「OBがあんなに近いの? 表示が間違ってないか」「グリーンまで150ヤードって、エッジまでの距離じゃないの? センターかよ」とかね。
つまり叩いたのはナビの表示が分かりづらいから、と言いたいのです。いやいや、そうじゃないでしょ。打ったボールはフェアウェイからそれているのですから、距離表示は関係ないと思います。単に自分が下手だからですね。
コースに八つ当たりしたと思えば、今度は詰め込み過ぎの運営サイドに文句を言ったりしてね。例えば「毎ホール渋滞でイライラし、待ち過ぎてミスが多かった」とか「こんなにグリーンが重いって知らなかった」みたいなことは自分のリサーチ不足です。ネットで調べればすぐ分ることです。恐らく呼んでくれた人に、任せっきりにしたからじゃないでしょうか。
面白いのはバンカーで失敗したときのリアクションです。砂がたっぷりあってふかふかしているバンカーでは、「砂が重くてやられた」と言ってボヤキます。一方、砂が少なく固くなっているバンカーでは「手入れがひどい、ほとんど砂が入ってない」と言って、また叩いたいい訳をします。
結局どんなバンカーでも文句を言ってんじゃんかよ~。
3)一番多いのは体調のせい
「夕べ飲みすぎて寝不足だった」「ゴルフの前は緊張して眠れなくなり酒を飲んでしまった」みたいないい訳はよく聞きます。やたらトイレに駆け込む人はおなかの調子が悪いから。そういう人はいい訳をしなくても大丈夫、見ていて分りますから。
寝不足で体調悪い人の中で面白いのは、朝のスタート時点で最初から予防線を張っている人です。「昨日2時間しか寝てないからヘロヘロ、途中休むかもしれない、そのときはよろしく」なんて言うわけです。
そしていざスタートしたら、淡々とボギーを重ね、新ペリアで優勝したりして。そういうときのいい訳は「体が弱っていたから、むしろ力が抜けて良かったかも」だと。
これって中学・高校時代の期末テストのいい訳に似てますよね。テスト前に「夕べはオールナイトニッポンを聞いて、勉強がはかどらなかった」と言う秀才君がいますよね。それでテストの結果がいいからムカつく~。マジにラジオを聞いて寝落ちして、しかも成績が悪かった自分はどうすればいいのよ。
4)無難なのはクラブのせいにすること
ゴルフクラブの調子が悪くて叩いたという人が結構います。新しいアイアンが合わないとか、シャンクが止まらない、シャフトが硬いなどですよね。クラブにいくら文句を言っても口答えしないから好都合です。
けど頭に来て本当にクラブを叩く人がいますが、これはちょっとマナー的に問題ありますね。パターがあまりにも入らないので、パターを地面にコンコン叩いていた人がいて、そしたらパターがポキっと折れてしまった。そこまでやると周りの人も、リアクションに困ります。ほどほどに八つ当たりをしてください。
5)面と向って言えないが同伴者のせいで叩く
実はコンペで叩く最大の原因は同伴競技者だと思うのですが、そこはなかなか言えないわけで、じっと我慢するしかないです。
同伴競技者と何ゆえ揉めるのか? まず誰がオーケーを出すかで、イニシアティブの取り合いとなります。先に主導権を取りたがるのは、そこそこ上手い年長者。ここはちゃんとオーケーを出さないといけないなんて、勝手に思っているわけです。
しかしゴルフをレジャーと捉えている人もおり、「あの人なかなかオーケーを出さない」「オーケーを出す距離が厳しい」ということが起こりがちです。やられたらやり返すのが世の習いで、その上級者が珍しくオーケーを欲しそうな目をしてくるや、「う~ん、そこは打ってもらいましょう」とやり返したら、もう一触即発です。
あとやたら喋る人、先に打つ人、パットのライン上に立つ人。ボール探しをしない人。スコアをごまかす人、そしてタマゴを産む人などなど、トラブルの火種を持った人は、あちこちにいますから要注意です。
ただコンペでは1回しか会わないので、そのときだけ我慢すれば良いという考えもあります。コンペ終了後、幹事さんに「あの人とだけは二度と一緒にしないでくれ」と言ったら、幹事は「奇遇ですね、その人も同じことを言ってました」だって。本当は似た者同士じゃないの~、そういうこと?
6)頑張ったのに叩く人のいい訳
いい訳は予想外の展開になったから言うわけで、いつも叩いている人はいい訳をしません。「本日も通常運行で叩きました」となるのです。だからいい訳は腕に自信のある方、練習をして今回のラウンドに何か期待している方が、叩いて弁解するのです。
いさぎよく「ゴルフって奥が深い、こんだけやっても報われません」って言われると、なんて返していいか分からなくなります。
一般のアベレージアマチュアゴルファーなら、10回ラウンドして大いに納得するのが1~2回、まあまあ納得が3~4回、だから半分は不満足な結果に終わります。
ゴルフはストレス発散が半分、そしてストレスを溜めるのが半分、諸刃の剣なのです。ハーフを終えて50以上叩いていたら、そろそろいい訳の準備しておいた方が良さそうですね。
■プロフィール■
木村和久
きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。
とがしやすたか
1959年生まれ。東京都出身。「青春くん」などで知られる4コマ漫画家。ゴルフ好きが高じて雑誌でラウンドレポートなども展開。
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