池ポチャ、OBでなくしたボールが「ロストボール」として店頭に並ぶまで
ロストボールは、ゴルフショップ以外でも、ゴルフコースがたくさんあるエリアだとコンビニでも売っています。とりあえず、ボールがなければゴルフはできませんから、ロストボールに助けられているゴルファーはたくさんいます。
配信日時:2023年5月4日 03時19分
ロストボールは、ゴルフショップ以外でも、ゴルフコースがたくさんあるエリアだとコンビニでも売っていますね。とりあえず、ボールがなければゴルフはできませんから、ロストボールに助けられているゴルファーはたくさんいます。ある地方都市の飲食店の店先でも、地元の果物に並べられて、ロストボールが売っていました。驚いて、理由を尋ねたら、オーナーの家がゴルフコースに隣接していて、敷地に入ってきたボールの処理に困って、売り出したという話でした。
ミスショットしたボールがOBエリアや、池の中に消えていくのは、全てのゴルファーが経験すること。これが、文字通りロストボールになります。ロストボールは、法律的には、ゴルファーが所有権を放棄したもので、ゴルフコースの所有物になるそうです。
そのまま放置すれば、谷や池はボールで一杯になってしまうので、定期的な掃除が必要になるのです。例えば、池のボールを拾う方法は、池の水抜きをするのは大変なので、潜水する業者に拾ってもらったり、池の中に網が仕込まれていて、引き上げる方法が有名です。OBエリアのボールは、草刈りなどの際に人力で拾ったりすることが多いようです。
いずれも、コースと契約している業者が、ゴルファーがいない休場日や、早朝や夕方にボールを回収します。回収したボールは、ロストボールの業者が、洗浄、乾燥、ブランドごとに選別して、化粧直し、袋詰めという行程を経て販売します。
古いボールは産業廃棄物として処分しなければならないので、再利用できることは、コースも助かるのですが、実は、ロストボールは鮮度が命。わかりやすい例を紹介すると、池に長く入っていたボールは、加水分解が進み、表面がぶよぶよになってしまうのです。こうなると、ロストボールとしても使えないので、ゴミになってしまいます。何ヶ月も雨風に晒されたボールも、何度もロストボールになって回収されたボールも同様です。
練習場の古いボールも、痛みすぎたロストボールと一緒に産業廃棄物になる運命です。
昔は、長い日数、港に戻らない船員が、甲板でゴルフの練習する用途で、そういうボールも流通しましたが、今の時代は環境問題でアウト。
ロストボールは、表面はきれいでも中身が痛んでいて、本来より1割以上飛ばなくなったものあります。最後に、ロストボールの秘密を教えます。高級なボールほど、劣化が早いのでロストボールには向きません。元々が廉価で耐久性が高いボールは、劣化しにくいのでオススメなのです。
(取材/文・篠原嗣典)