おやじゴルフニュース「女子ゴルファー増加で、おやじのモテキ到来か?」
ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・とがしやすたかのイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。
配信日時:2023年6月20日 03時00分
最近マジでゴルフをやり始めた女性が増え、おじさんは嬉しい悲鳴を上げています。全国のゴルフ人口はコロナ明けで右肩上がりに増加し、特に女性の進出が目立つと言われています。そういうニュースを頻繁に聞きますが、ここではより洞察を深め、「女子がゴルフをやりだすと、おやじがモテる」という飛躍話を展開したいと思います。
久々に連絡がきた昔馴染みの女性、推定40歳ぐらいの方が、「最近ゴルフに目覚めちゃって」と言ってきました。それもひとりじゃないです。現在私の周りで3人はいます。その人たちの意見を集約しますと、こうなりました。
まず開口一番「おやじがなんであれだけゴルフに夢中になっていたかが、やっと分かった。この年になって初めてゴルフの面白さに気づいた」と、のたまわれています。
そうかそうか、ようやくおやじの境地に達したか? どこが面白いのと聞くや「ナイスショットをしたときが凄く気持ちいい」と言います。ちなみにスコアはいくつぐらい? と尋ねるや「まだ130台だよ、しかもオマケしてもらって」と、まあそんなもんだよね。
道は長いぞ、コンスタントに100を切るまでになったら、もっとゴルフは楽しくなるぞと、ちょっと上から目線で言ってしまいました。すると「ちなみにベストスコアいくつなの?」って聞いてくる。はるか昔に達成したスコアで、今は出ないけど、事実だから正直に言いました。「75だけど」。
そしたら「ななじゅうご~~! 凄いマジで尊敬します」と言ってきたからね。今までゴルフ仲間にベスト75というと「フ~ン」とか「そう」とか、納得のいかない半ば嫉妬のような目線でリアクションされてました。この薄らハゲのメガネ男が、75を出せるわけがないという視線をひしひし感じましたから。
それにひきかえゴルフ女子はピュアだこと。俺を元シングルゴルファーとして持ち上げてくれるじゃないの。
そこからおだてられ、ゴルフの自慢話をいろいろしていくうちに「どうしたらうまくなるの?」と質問された。そりゃ先生からレッスンを受けて練習しないと。理想は月2回ほどのレッスンで、さらに週1の練習をし、教わったことを実践しよう。「練習は決して裏切らない」って、ついこの間までスランプで悩んでいた、おっさんの自戒の言葉をまんま使わせて頂きました。
そして話が盛り上がると、お約束の言葉が飛んでくる。「今度ゴルフに連れてってくださ~い」という呪文である。あんだけゴルフ自慢して、クラブのメンバーで「うちは気軽にツーサムで回れるから」なんて言ってしまうと、当然「だったら連れて行け」になりますよね。
これはモテていると解釈してもいいが、単に利用されている感がしないでもない。もし20年前、40代だったら下心も見え隠れしつつ、喜んでセッティングしたでしょう。けどすでに還暦過ぎのおやじにとって、やましい心もなければ金もない、自分の人生に手一杯で甲斐性もなし。「タイミングがあえば」と、マスコミ業界的な返答で終わらせました。
というわけで後の事は、若い皆さんに夢を託します。そこで昔を思い出し、女性連れゴルフのあれこれを書きたいと思います。
1)女性連れゴルフは憧れる
男はなんで女性とゴルフをしたいのか? それは過去にそういう姿を見て憧れたからです。私の場合は昔、美人キャスターがイケメンの旦那とゴルフしているところを、軽井沢のゴルフ場で見かけて、いいなって憧れました。
女性はミニスカ姿で周りのお客さんに愛想を振るまい、旦那は「どうだ俺の女は、手間がかかるがいい女だろ」と言いたげな顔をしてました。男ならいい女を連れてゴルフしたいんですよ。自己満足かも知れませんが、それが男の甲斐性なのです。
2)女性とのゴルフは手間ひまがかかる
クルマがある場合、普通は彼女の家まで迎えに行くことになります。あるいは近くまでとかね。もちろん女性にガソリン代や高速代を半分出せとは言えません。場合によってはプレー代も出さねばならない。さらに帰り道におなかがすいたとなれば、食事も奢るとかね。ここまで投資したんだから元を取ろうと口説きに行くと、失敗しますからご注意。
それは丸一日、朝からクルマを運転して、ゴルフをして疲れまくっているので、肝心なものが機能しないということです。ゴルフとデートは分けて考えるほうがいいと気づくのに、私は20年かかりました。
3)コース選びが難しい
女性とふたりきりでラウンドとなりました。じゃあ、どのコースに行くか? 河川敷でいいだろ、どうせ相手は下手だからと思うでしょう。
イマドキの女性は、下手でも結構な名門コースに誰かと行っています。手引きカートの重い高麗グリーンで、建設現場にあるような簡易トイレが設置されていたら、そりゃ怒って帰るでしょう。じゃ奮発して名門コースに行くかといっても、コネはないし、料金高いし、しかもツーサムではラウンドさせてくれません。
予算を考えると、平日ひとり1万円以内で済む、ちょっと田舎のコースに行きましょう。そこで2サム保証ラウンドが出来て、カートにナビが付いていれば問題ないでしょう。
4)ラウンドは楽しくも、気遣いが多い
無事セッティングをしました。さあ、ラウンドしましょうか。先日のことですが、コンペで5連続空振りをした豪快な女性に遭遇しました。一生懸命フォローしましたが、フォローが追いつかない。当然、自分のプレーはできませんでしたね。
こういうことが女性とのツーサムゴルフでは起こります。一度練習場に一緒に行き、腕前を見ておくことが大事です。スコアはおまけしてあげるのはもちろん。好きにプレーさせるのがいいのですが、叩き出したときのアドバイスが難しい。
ひと言でうまくなる呪文なんかあるわけもなく、いろいろ言うと「うるさいわね」とケンカ状態になるし。かといって黙っていると「何も言ってくれない、冷たい人ね」となり、いったいどうすればいいんだと。
さらに些細なトラブルが発生することも。後ろの組がボールを打ち込んでくるケースがあります。ツーサムカップルの場合、ボール探しをふたりでやると、フェアウェイに誰もいない状態になり、打ち込まれやすいのです。なんぼカートを目立つところに置いても、人が見えないとカート動かすのを忘れたんだろうと思って、打つんですよね。
カップルゴルフは、ボール探しを短時間で終えること。見つからないならカップルルールにして、「手の5番」でも使い、進行を早めるしかないです。万が一打ち込まれたときも、無視していると強気な女性が「打ち込まれたわよ、ちょっと言ってやってよ」なんてリクエストしてきますから。
そういうときに限って、結構コワモテの人が後ろの組にいたりして、男気が試されます。どうです、案外気苦労が多いでしょう。
5)カップルゴルフの聖地を目指せ
カップルゴルフの聖地なるゴルフ場が軽井沢にあります。それが西武の軽井沢浅間ゴルフコースです。何が凄いかって、ここはツーサム専用のゴルフ場です。だから9割ぐらいがカップルであとは女性同士、まあ男性同士でもいいけど、個人的には見たことないかなあ。
ほとんどの客がカップルだとすると、ボールの打ち込みが凄いです。至る所からボールが飛んで来ますが、みんなスネに傷を持っている関係というのですか? さほど上手でない女性を抱えてのゴルフだから、やたら優しいのです。
「あ~どうも失礼しました」「いえいえこちらこそ、お先にどうぞ~」みたいな感じでしょうか。まさに夢の国、ディズニーランドに来た客が魔法にかかっているようです。そのコースだけはカップルゴルフのファンタジーに、どっぷり浸かっているんですね。ものは試し、一度行ってみてはいかがでしょうか。
というわけで現在、女性同伴ゴルフは検討中です。昔は憧れでしたが、今は気恥ずかしいです。ツーサムはやめて、友達とラウンドするときに加えてやればいいのかなと。
誰か現地集合、現地解散でいいから、ワリカンで一緒に回ってくれる気立ての良い女性いませんかね。それが楽でいいよなあ。
■プロフィール■
木村和久
きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。
とがしやすたか
1959年生まれ。東京都出身。「青春くん」などで知られる4コマ漫画家。ゴルフ好きが高じて雑誌でラウンドレポートなども展開。