「カシオワールドオープンはどうしても勝ちたい大会」と奮い立つ石川遼、13度目のチャレンジ
男子ツアーの「カシオワールドオープン」は、2013年から所属契約を結ぶ石川遼にとって特別な大会だ。これまでに12回出場して未勝利だが「今年こそ優勝したい」と、悲願達成に心を燃やす。トーナメントの歴史を振り返りつつ、石川の大会への思い入れや“左腕の相棒”こと「G-SHOCK」について聞いてみた。
配信日時:2023年11月20日 03時49分
洋の東西を問わず、性別を超えて、話題のプレーヤーが大会を盛り上げる
40年以上の歴史を積み重ねる「カシオワールドオープン」は、海外のビッグネームが参戦して話題を呼んだインターナショナルなトーナメントでもある。第1回大会の1981年はリー・トレビノが初代チャンピオンになり、1983年と1984年はヨーロッパの強豪が相次いで勝利の美酒に酔う。
90年代になると、フィル・ミケルソンがルーキーイヤーの1992年に参戦(1993年、1999年も出場)。1998年には22歳のタイガー・ウッズが日本ツアーに初出場して、空前のフィーバーを巻き起こした。2005年になると、試合会場が鹿児島(いぶすきGC開聞C)から高知(Kochi黒潮CC)へ移る。そして、その年には“天才少女”と呼ばれた16歳のミッシェル・ウィーが、男子ツアーに初参戦してトピックに(翌年も出場)。実は2003年に、スウェーデン出身のソフィー・グスタフソンが、女子選手として初めて日本ツアー(カシオワールドオープン)に出場していた。
2013年には四国で生まれ育った松山英樹がV。ルーキーながらシーズン4勝目をマークして賞金王という離れ業をやってのけた。この大会の歴代チャンピオンを顧みると、松山とともに、青木功、尾崎直道、谷口徹、片山晋呉、池田勇太など、日本ツアーの賞金王経験者が名を連ねており、常にハイレベルなバトルが繰り広げられている。
2位が3回の好相性な大会で「今年こそ優勝して恩返しがしたい」
佳境を迎える賞金王争いの行方を大きく左右し、翌年のシード権を奪い合う。それがKochi黒潮カントリークラブ(高知県)を舞台に行われる「カシオワールドオープン」だ。1年のなかで最も注目される大会といっても過言ではない。
国内男子ツアーの注目の一戦に「どうしても勝ちたい大会のひとつです」と話すのが、石川遼だ。2013年から所属契約を結び、言わずと知れたホストプロである。長きにわたる手厚いサポートを受け、石川遼シグネチャーモデルの「G-SHOCK」もお馴染み。また「石川遼バーディチャレンジ」として、1年間に獲得したバーディ数と同数の小学生向けカシオ電子辞書を贈呈する活動も行っている。
「どの大会でも常にプレッシャーや緊張はありますが、カシオワールドオープンは特別です。今までお世話になった分も含めて、今年こそ優勝して恩返しができればと思っています」(石川遼、以下同)
恩返しをしたいと思うに至るエピソードの一つが2016年のこと。各国2人1組のチームで競う対抗戦「ワールドカップ」に松山英樹と組んで出場した。ホスト大会と同週開催だったが「樫尾(和雄)会長、社長に相談して背中を押してもらった」とホスト大会を欠場して世界の舞台に送り出してもらったことは忘れない。
“スケールが大きいゴルフ”で男子ツアーの魅力を全開!
「カシオワールドオープン」には過去に12回出場して未勝利だが、2位3回を含めてトップ10入りは6回。「Kochi黒潮CCは太平洋に向かって打っていくようなスケールの大きいゴルフができる。いいイメージがあって好きな大会」とコースとの相性もいい。また、2020年から大幅なスイング改造に取り組み、今年で4年目。以前とは形の違うスイングに変わった。「気持ちよく振れるようになってきた」とブレない姿勢を貫くことで、求める形が身についてきた。当初はドローボール一辺倒でスイングの形を作ってきたが、今はフェードボールなど状況に合わせた球筋も打つように進化した。
昨今は女子ツアーの人気が高いといわれる。
「男子が女子に負けていると言われることもありますが、僕はそう思いません。それぞれの魅力があると思っています。男子は迫力のある豪快なショットが醍醐味なので、実際に会場で見ていただけると嬉しいです」
大会のおひざ元となる高知の魅力にも触れた。
「高知は温暖な気候に温かい人々、それにおいしい食事もあり、お気に入りの場所です。ぜひ会場でお会いしましょう」
常に5〜6本を持ち歩く。お気に入りは石川モデルの最新作
石川遼の左腕にはいつも「G-SHOCK」が巻かれている。毎週のトーナメント会場には予備を含めて5〜6本を持参して「トップスの色に合わせたり、今日は〝これがいい〞といった直感で選ぶこともあります」と、ウェアや気分によって左腕の彩を変えている。
今のお気に入りの1本は、10月に発売された石川遼シグネチャーモデルの第4弾。
「文字板の落ち着いたグリーンの色味とゴルフボールのディンプルが透かしで入っているところが気に入っています。ライフスタイルでもゴルフプレーでも楽しめるデザインだと思います」
男子プロの豪快なショットを引き出す最高峰のフィールド
「カシオワールドオープン」の舞台が、四国屈指のチャンピオンコースであり「高知の指定席」をコンセプトにするKochi黒潮CCへ移った(05年)のは、理由がある。同コースの創設者・岡﨑隆会長が、カシオの創業者・樫尾忠雄氏の故郷である高知で「カシオワールドオープン」を開催してほしい、それにふさわしいコースを造りたい、という思いがあったのだ。
コースは全体的にかなり広くて開放感にあふれ、アップダウンがキツくないのでギャラリーが歩いて観戦しやすい。大会の10〜18Hでは全てのホールで雄大な太平洋を眺めながら、男子プロならではの豪快なショットが楽しめる。ただし、グリーンには大きなアンジュレーションがあるので、アイアンでいかに良いポジションに乗せるかがスコアを伸ばすカギに。
今年は未定だが、過去の大会では決勝ラウンド(土曜・日曜)のみ、池越えの16H(パー4)が名物「ワンオンチャレンジ」のホールになった。グリーンのセンターまで約310ヤード、選手がワンオンに成功する確率は高い。今年の大会もこの催しがあれば、見どころの一つになることは間違いない。
問い合わせ先/カシオ
取材・文/新井田聡