気をつけるべきは「上がり3ホールより後半最初の3ホールをいかに耐えるか」【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】
上がり3ホールは油断厳禁といわれる。しかし、順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「それより後半最初の3ホールのほうが要注意です」という。調子のいいときほどハマりやすい落とし穴を避けるには、10番ティで出だし3ホールのプランを決めることが大切だ。
配信日時:2023年4月13日 22時30分
ゴルフではよく「上がり3ホールは油断するな」と、いわれます。確かに15~16番ホールまでまずまずのスコアを積み重ねてきたのに、最後の2~3ホールで叩いたがために目標スコアを逃したりしたらガッカリです。
しかし、自律神経面からいうと、油断してはいけないのは「後半の出だし3ホール」。そこで落とし穴にハマることがほとんどだからです。多分皆さんご経験があると思いますが、ゴルフでつぶれるのはだいたい休憩後です。
■おなかがいっぱいになると精神的にも満たされる
「午前中は30台が出たんですよ」「じゃあ今日はベスグロですね」「でも午後は
50以上叩いて、結局90も切れませんでした」
このように後半もったいないことになってしまうのは、お察しのとおりハーフ後の食事やアルコールの摂取が主な原因です。食事やデザート、アルコールでおなかがいっぱいになると精神的にも満たされます。
すると副交感神経が上がりすぎてフワフワといい気分になったり、体が揺れだしたりすることもあります。スイングリズムはもちろん、メリハリも失って大振りしやすくなり、ショットのミート率は著しく下がってしまうのです。
■12番が終わるまで不安クラブは使わない
そこで出てくるのが「後半最初の3ホールは油断するな」です。飲食によってリラックスするのは決して悪いことではありませんが、急激に上がりすぎた副交感神経が落ち着くには時間がかかります。
交感神経とのバランスが取れて自分のリズムが戻ってくるのは、12番ホールを終えるくらいと思っていいでしょう。ですからスコアをまとめるには、その3ホールに隠されている落とし穴を徹底的に避けることが不可欠なのです。
それには、例えば「12番ホールまでフェアウェイウッドは使わない」というように、少しでも不安のあるクラブを使わないことをお勧めします。それも、使うか使わないかその場に行って考えるというような緩いものではなく、10番ホールのティイングエリアではっきり決めておくことが大切です。
たとえパー5でティショットが望外に飛んでも「第2打をフェアウェイウッドでナイスショットすれば簡単にパーオンできる」などと欲張ってはいけません。後半最初の3ホールさえ耐えれば落ち着いて崩れる心配は少なくなります。そこまでは不安クラブを使わないゲームプランを守り抜きましょう。
昼食を腹7分目にとどめておくこと、後半のスタート前に軽く体を動かして交感神経を少し上げておくことも心がけてください。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。