磨きをかけた、輸入車SUVナンバー1の実力
フォルクスワーゲンのSUVと言えば、TクロスとTロック。どちらも日本の道路事情にもマッチした扱いやすいキャラクターで人気を博している。Tクロスのほうがコンパクトで、数ある輸入SUVのなかでも3年連続でナンバー1に輝いている。この度、一部改良を受けてその実力に磨きをかけて新たに登場したということで、早速、試乗してみた
配信日時:2024年10月3日 01時58分
コンパクトなサイズとお求めやすい価格
フォルクスワーゲンと言えば、派手さはないものの、じっくりと長く付き合える実用性が魅力。まさにドイツらしい質実剛健なブランドだが、Tクロスは全長4140mmとコンパクトで、全幅も1760mmと、まさに日本での使い勝手もかなりいいサイズだ。
搭載されるエンジンは1リッターの3気筒ターボで、いわゆるダウンサイジング。これに小気味のいい変速が楽しめるマニュアルペースの7速ATを組み合わせている。そもそも1リッターしかないため、燃費もよく、日本では自動車税が排気量で分けられるので、税金が安いのもうれしいところ。そもそもの車両価格は329万9000円から389万5000円と、今どき、300万円で購入できるという貴重な存在でもある。
質の向上に重きを置いた、今回の改良点
今回は一部改良ということで、そもそも素性のいいTクロスの実力にさらに磨きをかけた形だ。ポイントは4つ。エクステリアデザインの刷新/内装の質向上
/新色3色を含む全8色のボディカラー、そして先進運転支援システムの性能向上だ。
グレードは同一車線内全車速運転支援システムであるトラベルアシストやレーンキープアシストシステムなど、最新の運転支援システムを標準装備としたTSIアクティブがエントリーグレード。これに細かく配光をコントロールするLEDマトリックスヘッドライト「IQ.LIGHT」、運転席/助手席のシートヒーターを標準装備したTSIスタイル、そして専用エクステリアや専用シート、18インチアルミホイールとなるTSI Rラインの3つの展開となっている。
外環での変更点は、ヘッドランプやグリルなどのデザインが変更され、リヤについてもコンビネーションランプが新デザインに。また前後で左右一直線のLEDのシグネチャーランプが採用されている。一方のインテリアは、オプションで大型10.25インチのデジタルメータークラスターが用意され、大きくナビゲーションを表示させることが可能だ。
乗ってみたら、いい意味で普通だった
何度も言うように、VWの持ち味は実用性の高さにある。それは使い勝手だけでなく、燃費も含むし、最近では安全性も高められている。もちろん走りも同様。じっくりと長いこと所有しても飽きのこない、質のいい走りが身上だ。Tクロスも例外ではなく、改めて今回乗ってみると、1リッターながらターボと組み合わせることで116psを発揮するエンジンは必要にして十分なパワーで、高速巡航も楽にこなしてくれた。さすがに強烈なパンチはないものの、アクセルを踏むとスルスルと滑らかに加速してくれて、ストレスがない。いい意味で普通なのだが、普通というのが意外に難しいもの。そして7速もあるミッションも継ぎ目のない変速で、じつに気持ちいい。
シートは明るいカラーで座り心地もいい、しっかりと体を包みこんでくれるので長時間のドライブでも疲れにくいだろう。インパネはシンプルで扱いやすいし、最近のクルマによく見られるスイッチが大量に付いていて慣れるまではどこになにがあるのかわからないということもなく、操作性はいい。そしてゴルファーとして気になるラゲッジも、さすがに広大ではないが、十分な容量が確保されている。
輸入車でコンパクトSUVというのは実は貴重な存在。日本の路地などでも取り回しはいいだろうし、そもそもSUVは視界も高くて運転しやすく、今やトップカテゴリーと言ってもいいほどの人気を博しているのも当然のことだろう。デザインも今回の改良で磨きがかかっているだけに、全方位スキなし。それがTクロスに乗って感じた正直な感想だ。
VOLKSWAGEN T-Cross TSI Style
◆全長全幅全高:4140×1760×1580mm ◆車両重量:1260kg ◆エンジン形式:直3DOHCターボ ◆総排気量:999cc ◆最高出力:85kW(116ps)/5500rpm ◆最大トルク:200N・m(20.4kg-m)/2000-3500rpm ◆ミッション:7速DSG ◆WLTCモード燃費:17.0km/ℓ ◆定員:5人 ◆価格:359.9万円
文/近藤暁史【MUSHROOM】
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