おやじゴルフニュース「最近、頻繁に遭遇するビギナー君の対応について考えました」
ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・とがしやすたかのイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。
配信日時:2024年10月16日 06時21分
最近は暑さも和らぎ、ゴルフ練習場によく通ってますが、4回連続でビギナー君が背後に立っていたことがあり「びっくりしたなあ、もう」になりました。もちろん4回とも別人です。同じ人だったらストーカーになりますからね。まあそれだけ、新たにゴルフをやる人が増えたってことでしょう。
じゃなんでビギナーに遭遇しがちなのか? 実はビギナー君たちは打席を選ぶとき、気にかけていることがあるみたいです。
ビギナー君は自分の打つ球に自信があまりない。つまり、あばれはっちゃくボールが出る可能性が高い。だから前の打席が空いているほうが、人に当たるリスク回避になるし、ちらちら見られずに済むと考えてるようです。
そんな状況を知らない私が、ノコノコやって来て「あっ、ここ空いてるぞ」となり、ビギナー君と遭遇してしまうのです。だからこっちが気持ちよく打っていると、背後から時々ドスッとかベキッという鈍い音が聞こえてきます。あ~、後ろにビギナー君がいるんだなと。そのときは仕方ないです。何事もトラブルが起きないことを祈り、淡々と打つしかないです。
混雑時は打席を選べません。これはビギナーガチャに当たるようなものです。じゃビギナー君の前と後ろ、どっちの打席にいたほうが良いでしょうか。両方はちょっと勘弁してくださいよ。
これはしいて言うなら、前にビギナー君がいるときがしんどいかな。目の前に一風変わったスイングの人がいると、気になってしょうがないのです。
ゴルフって不思議なもので、スイングを見ていると伝染することがあります。ただしタイガー・ウッズやデシャンボーとか、超人のスイングは何回見ても伝染しないし、真似はできない。
けどうまく打ててない人のスイングは「この人スエーしてる」とか「突っ込み過ぎだ」「テークバックが速い」など、すぐ分かります。それをず~と半ば強制的に見させられると、無意識に「へ~、明治の大砲でもちゃんと飛ぶんだ」とか言って、ついやってみる自分がいたりして。
「悪貨は良貨を駆逐する」という諺がありますが、アマチュアゴルフにおいては「悪いスイングが良いスイングを駆逐する」ことがあるようです。個性的で影響力の強いビギナー君のスイングに注意です。
練習場の次はコースでのビギナー君との遭遇です。仲間と一緒にゴルフをすると、誰かがビギナー君を連れて来ることが増えて来ています。彼をみんなで温かく見守るのですが、毎回ボールをとっちらかし、どう対処していいやら。
基本的にはプレー中のアドバイス行為、レッスン行為は禁止ですが、プライベートの親睦ラウンドでは、大目に見て頂きたいです。というかスコア100オーバーの人に何をどうしてあげればいいのか、非常に悩みますよね。
個人的に沢山のレッスンプロに教わっているので、アマチュアゴルファーの悪い癖はたいがい見抜けます。そこでビギナーが陥りやすい悪い癖を列挙しますので、何かあてはまる部分がありましたら、ビギナー君にその部分を指摘してみて下さい。
①右を向いて構えている
ゴルフはボールの飛球線上に立って打つことは、できません。どうしても斜めに構えてしまうので、右を向いて打ってしまいがち。そこを発見して、セオリーどおりに「右を向いてるからオープンスタンスに」というと、また混乱が生じます。
ビギナー君がテンパッてるときに、オープンスタンスと言っても、ただ足を開くのがオチですからね。私は「左足を半歩後ろに」と言います。後はアドバイスする人を信ずるかの問題です。
たまたま打ってみて、当たりが良ければしめたもの。確率は5割ぐらいかな。効果の出ない人も沢山います。ここで急にどうのこうのは無理だから、後は練習場でやってみてと言うしかありませんね。
②テークバックが速い
俗にいう打ち急ぎです。テークバックが速いから、トップが形成できず、タメもできない。だからダウンスイングが中途半端になります。これは焦ると自分もやらかすので、人にアドバイスできる立場ではありませんがね。
理想のスイングは、テークバックのとき、手から始動せずに腰をゆっくり回転させて、それにつられて手が動くこと。あくまでイメージですが。
その場で、どうのこうの言えません。ゆっくりテークバックを会得するのには、時間がかかります。だから問題意識を植えつけておくのが大事かな、と。とりあえず上手な同伴メンバーがいたら、見本となるスイングを動画で撮り、速く振るビギナー君の動画と、比較させてみてはいかがでしょうか。
③グリップは短く
ビギナー君は、飛ばそうと思ってグリップを目一杯長く握ることが多いです。どこかでスイングアークが長い程飛ぶ理論を聞いたのでしょう。でもそれはちゃんと腕が使えて、しっかりインパクトが出来た場合のみですから。
クラブを短く持ったほうが、ナイスショットの確率が上がるし、ボールのつかまりも良くなります。ここで見たいのは、ビギナー君の人の話を聞くという素直さ、柔軟さです。グリップを短く持つことに技術はいりません。だからそのアイデアを採用するか、しないかの問題になります。
つまり教えている人を上級者と認めてないとか、頭の中にすでに崇拝している理論があるとか、いろんな理由で、グリップを短く持てないんですね。
ある意味、踏み絵的な教えです。この段階で拒否られたら、何をアドバイスしても受け入れてくれないでしょう。逆にグリップを短く持って、当たりだしたら、ふたりの関係はうまく行く可能性が高いってことです。
今の若い人は、おやじ連中とコミュニケーションを取る意識が少ないので、何かアドバイスをしても余計なお世話と言われがちです。けどたまたま偶然、アドバイスが功を奏することもあります。
ゴルフ場は基本的にはおやじの遊び場所、そこにビギナーの若者が入って来たのですから、こちらが遠慮しすぎるのもなんか変な気もします。
昔、自分が130ぐらいのスコアのとき、凄く上手くて優しい人と偶然に同伴ラウンドしないかと淡い期待をしたものです。そして懇切丁寧にアドバイスをしてもらい、上達していくと。
若いビギナー君もどこかで、レスキューを求めているのは確かです。あとは運やタイミングの問題になりますか。行く末を温かく見守ってあげましょう。
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木村和久のおやじが気になる旬なゴルフ情報