居眠り運転は“安全運転義務違反”と判断されると、違反点数2点、普通車の場合は9,000円の反則金が課せられる。 ゴルファーはコースに行くために運転する機会が多いが、プレー後の運転中はやたらと眠くなることがある。 デスクワーク中の眠気ならガムを噛んだり、頬を叩いたりして眠気をとれても、運動後の眠気はメカニズムが異なるため、こうした対策では効果がないという。 では、どうしたらいいのか? 睡眠指導の専門家・菅原洋平さんに話を聞いた。
刺激は一時的に効くが慣れると前より眠くなる
近年、運動後の急激な眠気について、そのメカニズムが分かってきて、疲労と眠気の常識が大きく変わってきつつあります。
その鍵を握っているのが「eⅠF2α」という物質です。 eⅠF2αは、タンパク質を製造するのに重要な細胞活動を担っているのですが、運動のストレスによって増えた異常なタンパク質の分解が追い付かなくなると働きをやめてしまいます。 するとタンパク質を製造して正しく活動させることができなくなり、急な眠気を引き起こすのです。
運動後の眠気は、デスクワーク中に眠くなるのとはメカニズムが違います。 眠くなったら叩く、ガムを噛む、ストレッチをする、ツネる、顔を洗うといった対処法を皆さん思い浮かべると思いますが、実は運動後の眠気にはどれも効きません。 刺激を与えることによって強制的に目覚めさせる方法は、一時的な効果しか得られないのです。
では、ゴルフ帰りの急な眠気にはどう対処したら良いのか。 答えはたったひとつ、仮眠をとることです。 たとえ短い時間でも眠ることによってeⅠF2αが活動を再開します。 それによって眠気を低減できるのです。
■ラウンド後に急激な眠気が起きる仕組み
18ホールのラウンド
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異常タンパク質が運動のストレスにより増加
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eⅠF2αが活動を停止(リン酸が付着するため)
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急な眠気
運動のストレスによって増えた異常タンパク質は、分解しきれずに残るとリン酸という物質が付着してeⅠF2αの働きが低下する。 元の働きに戻すには睡眠をとること。 それにより異常タンパク質に付着したリン酸が離れ、再びタンパク質を製造することができる。
眠気のサインを早期に受け取ることが大事!
1.眠気の初期[マイクロサッケード]
・眼球がキョロキョロ動き始めるのが最初のサイン。
・看板や周辺物など関係ないものが目に入って気が散る。
・本人は眠気を感じていないが、脳は眠り始めている。
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「まだ大丈夫」と思わないこと! 次のパーキングエリアに入る準備を!
2.意識が飛ぶ[マイクロスリープ]
・瞬間睡眠が始まる。
・脳の一部が寝ている現象。
・約2秒から、長くて7秒動作が停止。
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すでに寝ている危険な状態! パーキングエリアに入る! ひとつ前の眠気の初期段階で対応すること。
3.運転は危険[アクションスリップ]
・他の人にもわかるエラーをする(センターラインを越える、ハンドル操作ミス、車が片側に寄る)。
・周囲を走行している車から「あの車、危ないな。大丈夫かな?」と思われる。
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直ちに安全な場所に停車!