「選手生命の危機を助けてくれた」 左ヒザ痛で歩けなくなった宮里優作を救った“幹細胞治療”ってなんだ?
今年の6月で44歳となる宮里優作は、このオフ、正常に歩けないほどの左ヒザ痛に苦しんでいた。それが現在は元気にツアーを戦っている。「選手生命の危機を救っていただきました」という最先端の医療とは?
配信日時:2024年6月17日 03時39分
「選手生命の危機を救っていただきました」。そう切り出したのは国内男子ツアーの2017年賞金王で通算7勝を挙げている宮里優作だ。このオフに左ヒザ痛で苦しんでいたが、最先端の再生医療で危機的状況を脱して、今年も元気にツアーを転戦している。宮里が行った治療法を探ってみたら、すごいことになっていた。
表参道駅から1分の場所に宮里優作を救ったクリニックがあった
5月某日、デニム姿の宮里優作が表参道駅に現れた。駅の出口から徒歩1分のテナントビルの2階に入っている『表参道イーグルクリニック』の扉の前に立ち、「ここが僕の選手生命を助けていただいたところです」と紹介してくれた。この日は2回目の“治療”に訪れたのである――。
宮里といえばアマチュアタイトルを総なめにして、プロのトーナメントで何度も優勝争いを演じ、2002年に鳴り物入りでプロ転向。1年目の03年にはツアープロの“勲章”ともいえる賞金シードを獲得する。欧州ツアーを主戦場にした19年を除けば、毎年、その勲章を手にしている。23年には生涯獲得賞金9億円に到達し、長きにわたりツアーの顔として男子ゴルフ界をけん引する。
しかし、40歳を過ぎて思うようなプレーができないことも増えた。22年と23年シーズンは、終盤戦まで賞金シード争いが気になる位置での戦いが続いた。通算7勝目の2017年の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」以来、優勝から遠ざかっている。プロ生活23年目、6月19日には44歳となる。今年は「復活を期すシーズン」と強い思いを持っていたが、アクシデントに見舞われた。
突然左ヒザに違和感を覚えて歩行が難しくなった
3月末の国内男子ツアー開幕戦に向けて1月に始動した宮里は、合宿中、左ヒザに違和感を覚えた。「左ヒザがハマってないなって感じで、何か挟まっている痛みがあった」。突然のそのイヤな感覚は1週間以上続く。「スイングはある程度問題なくできるけど、足を引きずりながら歩くことが多くなって」と次第に正常に歩くことが困難になっていった。
回復する気配がなかったことから検査を行い、診断結果は半月板断裂。太モモの骨とスネの骨の間にある軟骨組織で、骨と骨のクッション代わりになる。その半月板に断裂が見つかった。長年、腰痛は抱えていたが、ヒザの負傷は初めて。「頭が真っ白になりましたね」。医師に相談しつつ、自身でもインターネットを駆使して懸命に治療方法などを調べた。
いい治療方法が見つからず、徐々にツアーの開幕戦が近づいてくる。一時は、公傷制度の適用も考えたほど。悶々とした日が続く中、ひと筋の光を見つけた。「いろいろ調べる中で『表参道イーグルクリニック』は力士やスポーツ選手の方も治療を受けていると知って、気になっていました」。知人の紹介でヒザや関節の治療に強い東京都港区にある同クリニックで受診することとなった。
自身の幹細胞を培養して患部に注入「痛みがなくなった」
同クリニックの医師と相談する中で、手術よりもリスクの少ない幹細胞治療という再生医療を知った。この治療法について、同クリニック広報担当の中原毅氏に解説してもらった。「幹細胞治療は、患者様の脂肪を採取させていただいて、その脂肪の中の幹細胞を培養して、痛みのある部位に戻す治療です。すり減った軟骨の修復・再生、患部の炎症を抑えることが期待できます」。骨と違いほとんど自然治癒しない軟骨組織を蘇らせる最新の医療方法である。
藁にもすがる思いの宮里は、2月末にクリニックを訪れて説明を受けると、すぐに治療を決意した。自身のお腹の脂肪を1~1.5センチほど採取し、6週間かけて幹細胞を培養する。その間はゴルフクラブも握らず治療に専念。ツアー開幕戦「東建ホームメイトカップ」(3月28~31日)も欠場している。
培養した幹細胞は4月の2週目に出来上がり、“生”の状態で左ヒザに注入した。1週間ほど腫れが続き、アイシングなどしながら細胞を徐々に馴染ませる。「(幹細胞が)浸透していくと腫れが引き、関節の動きが軟らかくなって普通に歩けるようになります」。日常生活では痛みが消え、ツアー2戦目の「ISPS HANDA選手権」(4月25~28日)から戦列に復帰することができた。
ただ日常生活とゴルフ競技では負荷のかかり方が異なる。「試合の時にどうなるか、やってみないとわからなかったけど痛みはまったくなかったです」とすっきりした表情を浮かべる。歩行時は気を付けて、いつも以上にケアの時間も増やしているが、オフに不安を抱えていた左ヒザの違和感は解消された。
リスクの少ない“再生医療”で歩けるまでに回復「すごい時代になった」
「僕らは歩くのが一番大事」。試合は4日間の長丁場であり、前日のプロアマや練習ラウンドを含めれば1週間で50キロ以上を歩くことになる。「歩けなくなると試合に集中できなくなります。今はストレスなく歩けるのでゴルフに集中できるようになりました。練習量も増えて、体はやっとシーズンに入ってきたという感じです。(治療を受けて)痛みなく歩けるようになったのは、本当によかったです。すごい時代になったと思います」と笑顔で話す。
プロゴルファーとして23年目のシーズンを迎えているが、3歳で始めたゴルフ歴は40年になる。「今回の左ヒザは突発的なものではなくて、今までの蓄積が来ていたみたいです。体がいろいろとガタが来てもおかしくないですよね」。加齢とともに体に不具合が生まれることは受け入れているが、それをリカバリーできてストレスなくゴルフに打ち込めていることには喜びを感じる。
関節の痛みでゴルフから遠ざかっている人にもおすすめしたい
「同世代のプロゴルファーとの会話では『どこどこが痛い』というのが増えました。アマチュアの方も含めて、ゴルファーには手術よりも再生医療をおすすめしたいですね」。ゴルフを愛していても体の不調により遠ざかる人も少なくない。
「手術と比べれば体への負担はものすごく減りますし、入院等もいりません。日常生活を維持しながら自然に治っていきます。免疫力もそのまま残っていいと思います。関節の痛みでゴルフを辞めてしまう方もいると聞きます。再生医療ならまた楽しくゴルフクラブを握れるようになると思います」
再生医療を行う中で、特におすすめなのが宮里も受診した『表参道イーグルクリニック』だ。「説明も丁寧ですし、リハビリ施設もあるのでここだけで完結できます。また、予約時間を調整してくれるので、ほかの患者様と会うことがなくてプライバシーも守られています。それに駅から近いので通いやすいのも最高です。再生医療で痛みが取れたり、歩けるようになったとかそういう体感をしてほしいですね」。自身の“喜び”を多くのゴルファーに体感してほしいと話す。
『表参道イーグルクリニック』は幹細胞治療以外にも、ゴルファーを“救う”治療法がある。前出の中原氏に説明してもらった。「当クリニックは、『幹細胞治療』のほか、血液内の血小板に含まれる活性の高い成長因子を患部に注入して炎症を抑える『PRP-FD療法』と、ビタミンやミネラルなどの栄養素を静脈内に投与してアンチエイジングや疲労回復に効果の期待できる『点滴治療』を行っています」と、症状に合わせた治療法があるという。
5月某日、宮里が同クリニックを訪れたのは、2回目の培養した細胞を注入する日だった。1度目の注入後の状態のヒアリングなどのやりとりをし、順調な回復を確認して診察終了。再生医療という聞きなれない治療法だが、意を決した宮里はオフの不安がなくなった。「7年ぶりの復活優勝を挙げたいですね。うまく復活してみなさんに認知してもらいたい」。シーズンインが遅れながらも再生医療で再起を図る宮里は、復活ロードを力強く歩いている。
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■宮里優作/みやざと・ゆうさく
1980年6月19日生まれ、沖縄県出身。ジュニア時代から数々のタイトルを獲得し、東北福祉大学時代にはプロのトーナメントでたびたび優勝争いに加わった。出場4試合連続でトップ10に入ったこともある。2002年にプロ転向し、ツアー通算7勝。17年には年間4勝を挙げて賞金王を戴冠した。兄・聖志、妹・藍と宮里3きょうだいとしても有名。大和ハウス工業所属。
■表参道イーグルクリニック
「その関節の痛み あきらめないで」をキャッチフレーズとする関節治療専門の再生医療クリニック。脂肪幹細胞治療やPRP―FD治療などを行う。再生医療は手術や入院が不要で比較的安全に治療できるメリットがある。アフターケアの施術も行っているのも同クリニックの特徴の一つ。また、東京メトロ銀座線/半蔵門線/千代田線「表参道駅」から徒歩1分と利便性もよい。
東京都港区南青山3-18-11
ヴァンセットビル2階202号
0120-355-130
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