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    ゴルフ場のレストランは水商売なのか? 普通じゃないサービスについて考えてみる

    先日、東海道新幹線の車内販売が終了するというニュースがありました。新幹線の中での飲食については、思い入れや、郷愁をそそる行為として惜しむ声が多かったように感じました。さて、近年ゴルフ場でも飲食を主としたサービスに変化が起こりつつあるようです。

    配信日時:2023年9月5日 08時18分

    • ゴルフライフ
    ゴルフ場のレストランは水商売なのか?
    ゴルフ場のレストランは水商売なのか? (撮影:ALBA)
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    働き方改革という合言葉を聞かない日がない昨今。
    都会に近いゴルフ場では、一定数の新卒社員を毎年採用しています。多くはキャディとしての採用です。土日が休みづらく朝が少し早いですが、その分夜の残業もなく、収入もまあまあ良いので人気があると聞きます。

    ゴルフコースのお仕事は朝が早い分、仕事も早く終わるのでそういう生活リズムが向いている人には良いようです。

    しかし昭和からバブル期の終わりまで、一部のゴルフコースでは夜遅くまで働いている人たちがいました。バーラウンジなどが併設されたゴルフコースがあったのです。「聞いたことがあります。昔は、レストランに、ボトルキープした名札がかかったお酒が並んでいたとかいうことですよね」という反応がありますが(ちなみにボトルキープは今でも一部のコースでありますね。昔はウイスキー水割りが多かったかと)、それは朝のスタート前、昼食時、さらにプレー後に飲むためのもので、バーラウンジとは無関係にアルコール好きな常連客のためのレストランのサービスで、ほぼすべてのコースで行われていました。

    ちなみに、社用族が主役だった頃のゴルフコースでは、ご飯物の売上合計をアルコール関連の売上合計が上回る例がたくさんありゴルフをプレーしに来ているのか、酒を呑みに来ているのかわからない人たちも少なからずいたのです。口の悪い知り合いが、「ゴルフ場のレストランは水商売、飲み屋と同じだよ」と言った人がいましたが、まさにそういうものとしてサービスが行われていたのです。

    あの頃のゴルフコースは、マニュアル化したサービスではなく、目の前のお客様ファーストで我がままを聞くことが、プロフェッショナルの仕事として歓迎されました。ほんの一例を挙げると、朝食の生卵は目玉焼きに変えて、しかも両面焼きでお願い、とか、ベーコンはカリカリに、コーラはダブルにしてジョッキで、などなど普通のお店ではあまり頼まないようなことがゴルフ場のレストランでは可能だったのです(ひょっとして今でもある?)。

    さて、バーラウンジに話を戻します。そこは夕暮れの少し前にオープンし、最後の客が帰ったらクローズする特別な空間でした。バブル期、遠方のコースでは宿泊施設が併設され、そこにあるバーラウンジは超一流のバーテンダーがいて最高の夜を楽しませてくれるケースもありました。ほんの数年間でしたが、それがブームになり各企業のプライドを賭けて、どこが最高のバーラウンジかと競ったりもしました。

    ある北関東のコースでは、銀座にいた有名なバーテンダーが自分の理想を実現した隠れ家的なバーを作って、毎晩パーティを開催していました。彼の一流のおもてなしも然る事ながら、〆飯として提供される『特製塩ラーメン』が秘かに話題になったのです。

    「銀座の店では絶対にラーメンなんて出せないですから」と、いたずらっ子のように笑う彼に気に入られないと、その〆飯は提供されないので、必死になって通う人もいたほどです。

    麻雀室があって徹マンするのが楽しみという人もいましたし、カードルームでディーラーとゲームができるコースを愛した人もいました。夜のゴルフコースの過ごし方も様々だったのです。余裕があるというか、何ともいい時代でしたね。それらのサービスは、ゴルファーを楽しませることを最優先するという時代の最頂点だったのかもしれません。

    バブルという言葉を使わずとも、泡沫の夢に、ゴルファーたちは酔い痴れたというわけです。あれから約30年。ゴルフコースの有り様は大きく変わりました。マニュアル化されてしまったサービスなど、かなり窮屈な部分はありますが、その分、自分の好みで選択できる自由は増しました。

    バブルという過ぎ去った華やかし頃を懐かしんでいても始まりませんし、そんな時代はこれからの日本に再び訪れることはおそらくないでしょう。人とは違う自分にとっての快適なゴルフ、プレースタイルとは何か? 与えられたサービスを謳歌する時代から自らサービスを選び、ゴルフライフを楽しむ時代に変わりつつあるのです。

    それはまさに、ゴルフが特別なものから、本当の意味でこの国の大衆に広く浸透していく証である、そう考えてもいいのではないでしょうか。

    (取材/文・篠原嗣典)

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