むやみな筋トレは今すぐやめる「一日1分クラブを振るだけでいい」【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】
春のゴルフシーズン、ゴルファーはやる気満々だ。シーズンインに向け、打ち込みや筋トレに励んだ人も多いだろうが、順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「ケガのもとですからやめましょう」と、警鐘を鳴らす。ハードでつらい練習より、毎日たった1分でできるイメトレのほうが効果大なのだという。
配信日時:2023年5月8日 22時30分
ゴルフシーズンに入り、冬場休んでいた練習場通いを始めた方も多いことと思います。特に週末、トーナメント中継後の時間帯などはプロのパフォーマンスに刺激を受けて、打ち込むゴルファーで満席になってしまう練習場もあるそうです。
しかし、一般ゴルファーが急に何百球もの打ち込みをするのは控えるべきでしょう。中には何カ月ぶりかのゴルフで体力が持つか心配だからと、筋トレをしたりランニングをしたりする人もいますが、やめたほうがいいでしょう。
■過度な運動は自律神経を乱す
ゴルフの上達につながらないばかりか、関節や腱(けん)を痛めかねないからです。また過度な運動をすれば心拍数や血圧が上がって交感神経が急激に高まってしまいます。激しい運動を一気に行うのではなく、運動量は少なくして頻度を上げるほうが自律神経はしっかり活動するのです。
例えば、球打ちなら週1回300球打つより、毎日50球とか100球を週3回。ランニングを週2回10キロするなら毎日2~3キロ歩くのがいいでしょう。私はゴルフの予定にかかわらず毎朝40分くらいのウォーキングを日課にしています。距離にして3~4キロでしょうか。自律神経のバランスを保つのに重要なのは、ちょっとした心がけを毎日行うことです。
■一日1分を1週間、毎日クラブを振る
私の場合、最近はゴルフシーズンに備えて、あることを毎日1~2回行っています。まさに“ちょっとした心がけ”ですが、椅子から立ち上がったついでに軽く体操でもする感覚でク
ラブを握っているのです。
やり方は至ってシンプルです。クラブを数回握り直してグリップの感覚を確かめ、ワッグル程度にヘッドを小さく左右に振るだけ。このときインパクトゾーンでフェース面がどう動くのか、流れをよく見ることが大切です。1週間くらい毎日繰り返し見ているうちフェース面の動きが分かり、スイングイメージをはっきり思い描けるようになりました。
試してみようという方は、クラブを1本リビングに置いておくといいでしょう。食卓につく前後やテレビCMの間など超スキマ時間に行うようにすると毎日継続しやすいと思います。一日1回、1分ほど行えば十分効果があります。
実際のラウンドでティイングエリアに立ったときも、家でしているようにフェース面の動きを確認します。それによってスイングイメージが鮮明に浮かび、体は自然とそのように動きます。スイングに迷いがない状態ですから交感神経が高ぶることもなく、最後までしっかりクラブを振り切れるのです。
このイメージトレーニングのおかげで、私はドライバーショットを思いきり振れるようになりました。「ボールをフェアウェイに置きにいこう」と、緊張してスイングが小さくなっていたころに比べると、飛距離が伸びたことも実感します。
コロナ禍以降に自宅にいる時間が増えた方、また久しぶりのラウンド予定がある方は、一日1分1週間、毎日クラブを握ってみてはいかがでしょうか。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。