日本人に多い“頑張りすぎ”タイプは副交感神経を上げる必要がある【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】
日本人に多い“頑張りすぎ”タイプの人は副交感神経を上げる必要がある。「それには美しい風景を見るといい」と、小林弘幸教授。小さな心がけでできる副交感神経の高め方を教えてもらった。
配信日時:2023年4月25日 22時30分
自律神経のタイプのお話をした際に少し触れましたが、日本人の70~80%に見られる「頑張りすぎ」の傾向は、真面目で責任感が強い人、いつも周囲に気配りをする人に多いものです。
普段の生活でストレスを抱えているのに、せっかく息抜きをしに行ったゴルフでも常に気を張っていたら、とても疲れてしまいます。
■短時間でいいからプレーから離れて自然の景色を楽しむ
こういうタイプの方にオススメな自律神経コントロール法は、ゴルフ場の美しい景色を楽しむことです。例えば、秋の紅葉。毎ホール、ティイングエリアに上がったら色とりどりに紅葉している遠くの山々を見渡してみましょう。近くにもみじの木があれば、木の下まで行って、秋晴れの空をバックにスマホで写真を撮ってみるのもいいですね。
山々のグラデーションや青い空と真っ赤なもみじのコントラストは目にも鮮やかで、きっと心を奪われます。ついでに深呼吸をして澄んだ空気を味わってください。ほんの短い時間でもプレーから離れて自然の景色を眺めると、心が和んで落ち着きます。
スイングチェックやスコアの計算ばかりしているときは背中が丸まって視野が狭くなりがちですが、木を見上げたり遠くを眺めたりすることで背筋が伸び、視野が広がって余裕が生まれるからです。ショットに戻ったときもより集中できて、いい結果につながるはずです。
■錯覚から脳への刺激で副交感神経が高まる
このような落ち着きや余裕は、副交感神経が高まることで生まれます。少し専門的な話になりますが、海や山や草花など美しい自然を眺めると視覚から脳に刺激が伝わって呼吸が深くなり、リラックスモードである副交感神経が高まるのです。
そもそも冒頭でお話しした「頑張りすぎ」の方は、常に交感神経が高く、副交感神経が低い傾向にあるので副交感神経を上げる必要があります。とはいえ本来、交感神経は下がりにくく、副交感神経は上がりにくいのが難しいところ。
首都圏在住のゴルファーにとって、ゴルフ場は四季折々に美しい自然の景色ばかりですから、ラウンド中に美しい紅葉を眺めることは最小の心がけで最大の効果が得られる自律神経のコントロール法といっていいでしょう。ラウンドとセットで風景を楽しむ習慣をつけたいものです。
ちなみに実際の景色を見に行けなくても、きれいな風景写真を見るだけで効果が得られる、という論文も出ています。「頑張りすぎ」型の人は、ゴルフのプレー中に撮ったきれいな風景写真をいつでも見られるようスマホに整理しておくと役に立つと思います。
会議前の緊張時や人間関係にイライラしたとき、また夜ベッドに入る前などに眺めれば、副交感神経が上がってリラックスできますよ。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。