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    おやじゴルフニュース「アイアンの本数減少の日々」

    ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・とがしやすたかのイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。

    配信日時:2023年3月7日 03時00分

    • ゴルフライフ
    • ユーティリティ
    イラスト・とがしやすたか
    イラスト・とがしやすたか
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    個人的な話で恐縮ですが、最近アイアンの出番がめっきり減っています。もともとアイアンが苦手でシャンクにもなったりして、現在キャディバッグに残っているのは9番アイアンだけです。それもさほど使いませんので、近い将来アイアンがキャディバッグから消えそうです。

    自分のアイアン減少の道のりは20年ぐらいあり、世間的にアイアンが減っている傾向と、多少被るところもあるのかと思います。今回はアマチュアのアイアン使用の流れを振り返り、今後、新たに使われるクラブの傾向を予測したいと思います。

    1)ユーティリティが発売される
    今から20年ぐらい前に、UT(ユーティリティ)が発売されて大ブームが起きました。テーラーメイドのレスキューや、プロギアのズームがUTブームを牽引しました。当時からアイアンが苦手で、3~4番アイアンは使う気がありませんでした。セットだから付いていただけで、仕方なくキャディバッグに入れていたのです。

    当時の3番アイアンはフェースが薄く、見るからに打てなさそうで、しかもヘッドスピードも相当ないとボールが上がらない。だから出番はほとんどなかったです。かろうじて4番アイアンから打っていましたが、それでもミスショットが多く、実用的ではありませんでした。


    そんなとき、UTと出合ったのです。最初はインテストシリーズ、俗にいう赤いタラコです。UTは180ヤードぐらいの距離を方向性よく打てるので、パー4&パー5ホールのセカンドショットに使え、かつピンを狙えるクラブとしても重宝し、万能の働きをしてくれました。

    それからまた10年、今度は飛び系アイアンブームが到来。2番手飛ぶと言われて、こ
    れは今でも人気で定着しています。この流れでいろいろ気づいた点を書いてみます。

    2)クラブはより簡単になっている
    ゴルフクラブは、より簡単に打てる方向に向かっています。つまり自動車の運転がマニュアルからオートマ、果ては自動運転に変わって行くように、クラブもより簡単にと進化するでしょう。

    じゃ自動運転車のように、ゴルフはテクノロジーの恩恵を受けて、誰でもシングル並みの腕前になるのか? それはちょっと違うと思います。ゴルフはドライバーやアイアンショット以外にもアプローチ、バンカーショット、パターなど、パワー以外の技術を要求されるスポーツです。しかもライや傾斜、芝目、風などが加味され、同じ状況で打つことはまずないのです。

    つまりギアが進化して素晴らしいショットを打てても、実際のゴルフは全然違ってきます。しかも最近のデータでは、アマチュアの平均スコアは100程度と、ここ何年も変わっていません。それは何故でしょうか?

    これは今まで精進していた団塊世代が腕前のピークを過ぎ、下手になったからじゃないでしょうか。新しい世代はゴルフの間口が広いから、下手でもどんどんゴルフに参戦してくる。だからなんぼクラブの性能が優れても、世代交代により平均スコアはさほど変わらないというわけです。

    3)ショットは少しずつズレていく
    毎日同じショットをするのは案外難しいものです。それはプロも同じです。だから誰かにショットを見てもらい、方向性や肩の入り方、トップの位置などを確認してもらうのです。今はスマホで動画を撮れてチェックしやすいですね。昔のプロは口にティやタバコをくわえ、太陽に背を向けて影を作り、トップ位置や肩の入り具合をチェックしていました。

    そんなことをほとんどやらないアマチュアは、「あれ~昨日は当たっていたのに、なんで今日はダメなの」ってことがあります。そもそもツアートッププロすら3~4日間、トーナメントで好調を維持するのが難しいのは、試合中継を見ればお分かりでしょう。

    だからアマチュアは1日天下の場合が結構あります。そしていったん不調になったアマチュアは、アマチュアゆえにスランプからなかなか脱出しにくいのです。

    4)ズレだしてシャンク連発
    過去にドローボールの神様、後藤修先生に師事し、雑誌の企画で3年ほど指導を受けました。けどプロ向けのレッスンですからレベルが高くて……。結局ドローボールはなんとか打てましたが、それよりも何気に5番アイアンとかが打てない。多少打てた時期もありましたが、アマチュア特有のズレが生じて、ボールがフェースのネックに当たり、シャンクが出るようになりました。

    先生に「シャンクになりました」というや高笑いして、そんなものは何回か打ってれば治るみたいなことを言われて、トホホですよ。つまりプロ向けのレッスンをしているので、シャンクみたいなアマチュアの悩みは、ここでは受け付けてないというのです。

    それから自分でいろいろ調べて矯正して直し、また再発の繰り返し。気づくとボールがネック側にしょっちゅう当たる始末。挙げ句、「ときどきシャンク出る病」になったんですね。

    それでUTに頼るようになりました。UTじゃシャンクは出ないといわれていますが、その代わりミスショットをすると、とんでもないヒール球が出ます。けどヒール球はボテボテでも前に進むから大叩きをしない。シャンクはOBもあるし、ここぞというときバンカーに入ったり、結構へこむことが多いです。

    その後、ロフト27度のUT、35度のUT、そして40度のUTを購入し、9番アイアン相当までUTでラウンド出来るようになりました。いや~すげえ。

    5)発想の転換
    とある日、UT偏重でゴルフの練習をしているとき、ヒラメキました。今までは万遍なく14本を揃え、最強軍団を作る計画でした。その発想を変え、200ヤード以内を50ヤードごとに分け、その距離をどう打つかにしてみようと。だから30~100ヤードは8番UT1本でカバー出来るとかね。そういう芸当をやり始めたのです。

    これをやると得意なクラブで広範囲をカバー出来て、苦手クラブを克服する必要がなくなりました。すげえ楽です。その後、簡単なクラブ選びの傾向はどんどん高まり、今度はロフト45度のUTを購入。ピッチングが48度ぐらいですからほぼPWですよね。


    そしてウェッジもシャンクするなら、バンカーショットもシャンクするということ。そこで手始めにロフト45度のチッパーを購入。試して打ってみたら、ことのほか調子よくバンカーから一発で出ます。

    ただロフト45度だとアゴの高いバンカーは出にくい。ロフト55度のチッパーがあるので、現在それを買って練習しています。

    6)ゴルフ人生最後の挑戦
    いうわけで、簡単なクラブを揃えていたら、アイアンなしのセッティングになってしまったのです。それで、どれだけのスコアが出せるか、自分でも皆目見当がつきませんが、やってみたいと思います。


    話をまとめますと、一般的なアイアンのセッティングは3番からが5番からになり、飛び系アイアンにより、5番アイアンは7番アイアンで同じ距離が飛ぶようになりました。ならばアイアンは7番からでよいという考えが増えました。

    その減ったアイアンの代わりに、新型のハイブリットやショートUT、PWの2本使用などが流行りつつあります。

    現在バンカーショットはドルフィンウェッジに象徴されるように、砂を直接打って出す直打ちクラブが人気を博しています。もちろん私もデカサンドを持っています。こっちは頭がテンパると手打ちになって、クラブをアウトサイドに上げてしまう。しかもボディターンを忘れて、手のみで処理しようとするから、当たらないのです。だからパターのようなスライド打ちをすればいい。特に冬の枯芝のアプローチには効果的なのかなと。

    今後も、いろんなクラブを使って実験的にラウンドをします。20年ぐらいしたら、皆さんのキャディバッグに入っているクラブはだいぶ変わってることでしょう。その頃、私はまだゴルフをやっているかどうか分かりませんが、時代の変化は見届けたいと思います。

    ■プロフィール■
    木村和久
    きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。
     
    とがしやすたか
    1959年生まれ。東京都出身。「青春くん」などで知られる4コマ漫画家。ゴルフ好きが高じて雑誌でラウンドレポートなども展開。

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