飛ばし屋ほど大声? 「フォー」の声の大きさで打てる飛距離が決まる!
ゴルフコースで大声を出して良いの? 遠くまで届く大声が飛ばし屋ゴルファーの才能という説の深層! 四六時中ゴルフ漬けのロマン派ゴルフ作家が語る。
配信日時:2024年9月18日 02時45分
「僕は普通の聴力だから、そんなに大声で叫ばなくとも伝わるから」。若い頃に、先輩に叱られたことがありました。
難しいことで有名なホールで、バーディだったことを讃えるつもりで「ナイスバーディ」と大きな声を出した直後に、僕の横に来て小さな声で大先輩は言ったのです。前後の組も仲間で、「彼らにも届け」という意図が僕にはありました。みんなで盛り上がって、快挙を祝おうという素直な気持ちです。しかし、考えてみれば隣のコースからの大声に驚いてミスショットしてしまうことは現実に起きます。大声は、時として迷惑行為になってしまうのです。
ゴルフコースは、静寂さとセットになっています。パー3でグリーンにいても、ティーイングエリアでショットした打音が聞こえるのは当たり前。また、別の組が話をしている声は数十ヤード離れていても、内容までハッキリと分かるぐらい聞こえます。それが原因で集中力を削がれてミスショットしてしまうこともあるので、他者が打つときは音を立てないというマナーがあるのです。
そのような事情があるので、ひたすら静かにゴルフをするのが正しい、と考えがち。しかし、ゴルフには大声を出さなければいけない場合が必ずあるのです。
ひとつ目は、ボールが見えない所に飛んで行ってしまったとき。そこに人がいれば危険ですから、「フォー!」と大声を出します。その語源については諸説ありますが、フォーは世界共通語で、危険を知らせる用語(日本ではファーが一般的ですが)です。
打球事故の裁判で、打った加害者がフォーを言わなかったことが事故の一因になったと判断され、量刑が重くなった判決があるほどフォーは重要なのです。曲がったと思った瞬間、フォーと反射的に言えるようになりましょう。
普段の生活の中で大きな声を出すシーンはあまりないため、初心者にはハードルが高いかもしれませんが、ゴルフには必ず必要な要素です。
僕は、このフォーの声の大きさでゴルファーの打って良い距離が決まると考えています。300ヤードを超えるような豪打が放てるゴルファーは、当然300ヤード先まで聞こえるような大声が必要になります。一人カラオケでも、車の中でも、フォーの練習はできます。腹から大声を出せるように、日頃からの準備がいざというときに武器になる。大声が出せないのに、ブンブン振って飛ばすのは、無責任というもの。
ふたつ目の大声は、離れた人へ意思を伝えるシーン。ボールを探しに隣のホールに入るとき「失礼します」とか、終わって自分のホールに戻るときに「ありがとうございました」とか、無言では危険だったり、無礼だったりするので、声で意思を伝えることが基本になります。
また、トラブルを未然に防ぐという意味でも機能します。まったく知らない人同士でも、良いストロークには賞賛の掛け声を自然に掛けられるのは、ゴルフの素晴らしい文化的側面です。そして、危険を防止するときに必要不可欠な大声を出すことが求められる特殊性も面白いのです。
声出しもスコアアップと同じで、上手くなるほど楽しめます。時には大声、時にはやっと届くウィスパー、変幻自在に楽しんでいるゴルファーは、かなり魅力的でリスペクトされるのです。(文・篠原嗣典)
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験しゴルフと恋愛のために生きると決意。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」
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