長年ゴルフをやってても疑問に思うことはある「キャディフィを払っているのに、心付けってなんなのさ!」
令和の時代、キャディ付きのゴルフはスペシャルになっています。スマートに対応しようと思うけれど、納得できないこともあるわけです。四六時中ゴルフ漬けのロマン派ゴルフ作家が語る。
配信日時:2024年6月21日 02時15分
少し前ですが、あるアンケートでゴルフ歴5年以内のゴルファーの9割がキャディ付きのゴルフをしたことがなく、今後もしたいと思わないという結果が出て、昭和からのオールドゴルファーの一人として、こういう時代になったのだと、少し寂しく感じました。
現在、日本のゴルフコースでキャディ付きのみというプレー条件のコースは、ほんの一握り。選択制のコースを入れても、キャディ付きのプレーができるのは全コースの1割程度しか残っていないようです。
キャディ付きのゴルフはオワコン(時代遅れで消えつつある宿命にあるコンテンツのこと)だと断言する人もいるからなのか、ゴルファーの好奇心として、一度は経験しておきたい、という相談を受けることもあります。
キャディ付きのラウンドは未経験者が多い関係で、誤解をしている話もよくあります。ホステスやコンパニオン、ホスト(男性キャディもいます)みたいに気持ち良くさせてくれる存在とか。あらゆるアドバイスをしてくれてレッスンになるとか。下手くそだと見下して塩対応するとか。単なるクラブ運び係でコスパは最悪だとか。
ゴルファーが十人十色のようにキャディもいろいろで、特殊な例としてそういう人もいないとはいえませんが、基本的には楽しくプレーできるように補助してくれるのがキャディのお仕事。僕はキャディとは鏡のようなもので、自分が機嫌悪く当たれば嫌な対応になるし、双方に楽しもうと優しさを発揮すればベストな対応もしてくれると考えています。
「初級者なのだから、スタート前に挨拶したら、さり気なく心付けを渡しなさい」「途中のお茶屋で、キャディにも心付けとして飲み物やお土産を渡すのが一流のマナーだよ」なんて、オールドゴルファーから指導されて、戸惑ったという話をよく耳にするようになりました。
プレー後にご苦労さまと渡すよりも、先に渡した方が対応がワンランクアップになりお互いにWinWinというセオリーは、昭和の昔からありました。人間同士だから気持ち良くスッキリさせるのがスマートだという先人の工夫です。
令和の現在、心付けは不要。ナイショの話ですが、心付けは全て、提出、没収というゴルフコースもあります。もらえる人ともらえない人で、モチベーションに差が出て職場の空気が悪くなるのが理由だそうです。そうだとすれば、サービス割増という下心の心付けに意味はありません。
兵庫県の吉川カントリー倶楽部は、HPで明確に心付けはご無用に願います、と公開しています。他にも知っている範囲で2コースほど、心付けはお心だけで十分、受け取りません、ということがありました。その反面、お茶屋に金額が入った心付けチケットを売っているコースもあります。客を試す無粋な仕組みです。
先程、僕はキャディは鏡のようなものだと書きました。心付けをどうするかは、自分がキャディだと想定して、心付けがあった方がサービスに励めるのか、無関係か、という問い掛けをすることを奨励しています。前者なら気持ち良く渡して楽しい1日が約束されたと安心してゴルフをすれば良し、後者ならそんな慣習なしでもゴルフは楽しめると無視すれば良いのです。
ただし、紹介者が要るようなコースや接待などの場合は、自分がどう思うかだけではなく、関係者も巻き込んで評価される可能性があるので、波風を立てないための必要経費として心付けを渡す方が無難。また、お土産的な菓子など品物を渡すのもありです。
少し前に同伴者が高級な日焼け止めを心付けとして渡したところ、泣きそうになるぐらいうれしい、と最後の最後まで感謝をされてなんだか良いゴルフだったねということになりました。心付けもゴルファーの腕前だと、少なくともキャディは思っているかもしれません。(文・篠原嗣典)
篠原嗣典/ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験しゴルフと恋愛のために生きると決意。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」
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