多くのゴルフ場に置かれている“タオル”。洗面室の手拭き用や脱衣所のバスタオル、クラブハウス前のシューズを拭くためのものなど、多く備え付けられているが、それらは全て持ち出し厳禁だ。それなのに、なぜタオル泥棒は現れるのか、四六時中ゴルフ漬けのロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典は語る。
2019年、タオルに関係する事件で、日本のゴルフ業界が揺れました。女子のトーナメントを開催していたコースは、毎年期間中にバスタオルが大量になくなることに悩んでいて、その年は日本女子プロゴルフ協会に説明して、タオルを撤去したのが事件の始まりです。女子プロ協会は、それを選手に告知しませんでした。
選手はラウンド中に使うタオルとしてコースのタオルを持ち出すことが慣習になっていました。タオルがないので、コーススタッフに抗議をした選手がいて、事情を説明されても納得せずに、暴言を吐いたことがSNSなどで拡散されて大騒ぎになったのです。
ゴルフコースのタオルを持ち出すのは、どんな理由があっても窃盗です。使用目的以外の利用をして、返却したとしても、それは立派な犯罪なのです。それなのに、窃盗している自覚がないだけでなく、暴言を吐くというのはどういうことだ、という意見だけでなく、女子プロ全体に非常識がまかり通っている実態にも非難が集まりました。
女子プロだけではありません。一般のゴルファーも、洗面所に備え付けのハンドタオルを持ち出す“こそ泥”に始まって、お風呂のバスタオルを持って帰る“泥棒”が、たくさんいることが発覚したのです。
さて、あれから5年が経ち、タオル窃盗犯は減ったのでしょうか? 早速、関東の7つのゴルフコースに取材してみました。高額な料金のコースから、その数分の1の価格でプレーできるコースまで、匿名を条件に電話で話を聞いてみたのです。
結論は……7つのコースの内、6つのコースは「全く変わらずに、一定数が盗まれている」という回答でした。ですが、比較的安価なプレー料金の1つのコースだけは違いました。
洗面所のタオルを廃止して紙タオルにして、お風呂場のタオルは専属の係を配置し、直接手渡して使用済みは係の目の前の回収袋に入れるようにお願いしたところ、窃盗件数はほぼゼロになったということでした。
馬鹿馬鹿しくて書くのもウンザリしますが、タオル泥棒はやめましょう。自らが審判だというゴルフの根幹は、コースだけではなく、その前後でも有効なのです。
しかし、常習犯は聞くのです。「汗拭きタオルは、どうするのよ?」と。それは自分で用意して、持っていくのです。予備も含めてキャディバッグに入れておくのがオススメです。僕は、通常は汗拭き用に青いタオルを使います。清潔感があるからです。予備として、オレンジと黒のタオルも常備しています。
コースのタオルは基本は白ですから、カラータオルなら、ぱっと見で違いがわかります。タオルも調べてみると、色々と機能もあったり、カラーもありますので面白いのです。ボール拭きのタオルは、備え付けでも十分ですが、同伴者と一緒に使うのが面倒だったりすれば、これも色々なアイデア商品もあって、楽しめることは間違いありません。
ズルをする人は、どんなに地位が高くとも、良いスコアでプレーしても、尊敬されることはありません。それと同じで、自分勝手にタオルを盗むような人も尊敬はされません。どんなことがあっても持ち出してはいけないのです。(文・篠原嗣典)
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験しゴルフと恋愛のために生きると決意。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」。
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