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    「出場してよかった」と心から思った日本女子プロゴルフ選手権【原田香里のゴルフ未来会議】

    国内女子メジャー「日本女子プロゴルフ選手権」に出場した原田香里が感じたこととは?

    配信日時:2023年9月13日 02時30分

    • ゴルフライフ
    左から土田沙弥加、葭葉ルミ、原田香里、林菜乃子
    左から土田沙弥加、葭葉ルミ、原田香里、林菜乃子 (撮影:上山敬太)
    • 「日本女子プロゴルフ選手権」に出場した原田香里(画像提供:本人)
    • 左から穴井詩、原田香里、藤田さいき、蛭田みなみ(画像提供:本人)
    • 試合で同組だった吉田弓美子(左)とのツーショット(画像提供:本人)
    この記事の写真 4 枚を見る

    ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。今日は、神谷そらさんの優勝で幕を下ろした「日本女子プロゴルフ選手権」のお話をいろいろお届けいたします。

    葭葉ルミ、林菜乃子、土田沙弥加とギャラリースタンドの前で記念撮影【写真】

    今年が第56回目の開催となる「日本女子プロゴルフ選手権」は、歴代優勝者に出場資格があります。今年の開催コースであるパサージュ琴海アイランドゴルフクラブ(長崎県)は、8年前にも同大会を開催しています。この時、私は理事として初めて「日本女子プロ選手権」を担当した思い出があります。
     
    93年優勝の私は、ギリギリまで迷った末に、出場を決めました。出場資格があると言っても、ツアーから離れてだいぶ経ちます。理事退任後は出場して来たのですが、若い頃と同じようにプレーできないという現状もあり、エントリーしたあとも『出てもいいのだろうか』と言う気持ちもあって葛藤していました。しかし、先日行われた「全米シニア女子オープン」に同世代の仲間たちが出場しているのを見て、自分も挑戦したいという気持ちが出てきて出場を決めました。

    「日本女子プロゴルフ選手権」に出場した原田香里(画像提供:本人)

    「日本女子プロゴルフ選手権」に出場した原田香里(画像提供:本人)

    残念ながら予選落ちで終わってしまいましたが、それでも『出場してよかった』という気持ちで今はいっぱいです。
     
    理由はいくつかあります。試合が始まると、ギャラリーやボランティアのみなさんが、予想以上に私のことを覚えていて声をかけて下さって、本当にうれしくなりました。中には「香里さん、頑張って!」とファーストネームで呼んで下さる方もいたんです。
     
    もう一つは、若い選手たちが思った以上に温かく迎えてくれたことです。まずは試合前の練習ラウンド。スタート時間が近かった藤田さいきさん。穴井詩さん、蛭田みなみさんの組が1人あいた、ということで声をかけていただいて、4人でプレーしました。

    左から穴井詩、原田香里、藤田さいき、蛭田みなみ(画像提供:本人)

    左から穴井詩、原田香里、藤田さいき、蛭田みなみ(画像提供:本人)

    昨年、37歳の誕生日を迎える少し前に11年ぶりのツアー優勝を飾った藤田さんは、2010年の優勝者。私の姿を見て「私もずっと出る! だから原田さんも頑張りましょう!」と、モチベーションが上がったようです。20代前半の選手も多い中、ベテランとして頑張っていますが、それでも私よりは19歳年下です(笑)。そんな風に言ってくれるのは本当に本当にありがたいです。
     
    9ホールで練習ラウンドを切り上げた3人に代わって、後半はまた違う3人と一緒になりました。葭葉ルミさん、林菜乃子さん、土田沙弥香さんです。このコースで合宿もしているとのことで、コースに詳しい葭葉さんは、改めてコースの攻め方などを教えてくれたり、色々なことを解説してくれながらこう言っていました。

    「この大会が1番ですよね! なので絶対勝ちたいです!」と。選手にとってはどの大会も大切ですが、特にこの『選手権』(いつの頃からか私たちプロの間では、日本女子プロゴルフ選手権のことをこう略すようになりました)、選手たちにとっては思い入れがあるのだな、と感じました。

    同時に、私が出場したことで「優勝すれば出場したいと思えば何歳になっても出られるんだ」と思ってもらえたのはよかったのかなと思います。今の女子プロは20歳前後の選手が大活躍です。大げさですが、25歳を過ぎたくらいからちょっと弱気の虫が出てくるときもあります。そんな時、私のような年齢の人が出てくると、ちょっといつもと違う雰囲気になって、頑張ろう! と思ってくれる選手もいるようです。

    試合では、吉田弓美子さん、桑山紗月さんと2日間一緒にプレーしたのですが、最近ではドライバーショットの飛距離が平均200ヤード程度の私は、若い桑山さんに90ヤードも置いて行かれる場面もありました。吉田さんは「また一緒に回れるなんてほんとにうれしいです」と言ってくれました。理事時代はずっと、プロテストの担当をしていたので、その頃の選手はよく知っています。でも、桑山さんは、私が理事を離れた後の21年に合格しており、そんな話もできました。大会前日にはわざわざ挨拶にも来てくれたんです。

    試合で同組だった吉田弓美子(左)とのツーショット(画像提供:本人)

    試合で同組だった吉田弓美子(左)とのツーショット(画像提供:本人)

    プレーの方は、初日は何とか「79」でプレーしたのですが、2日目はこらえきれず「82」を叩いてしまい、2日間プレーした130人のうち130位と言う不本意な結果に終わりました。選手として試合に出る以上、自分で納得するプレーをしたいと思うのは当然なので、これについて残念なのは言うまでもありません。
     
    その一方で、例えば初日のフェアウェーキープ率が100%だったことで「ゴルフは飛距離だけじゃない」ということ、「ゴルフは生涯スポーツである」ということを若い選手に少しでも伝えられたかな、という気もしています。でもやっぱり飛距離が出ることは魅力ですよね。現役時代から飛ぶ方ではなくて、飛距離のある福嶋晃子さんには常に50ヤードは置いて行かれてましたから…。
     
    同世代のプロ仲間、ゴルフ仲間からは「勇気をもらった」と言う連絡もたくさんもらいました。年上の方たちからは「チャレンジできることは素晴らしい」と言っていただきました。若い選手たちに将来の可能性を、同世代には現在の可能性を、少しでも感じてもらえたのなら、うれしい限りです。
     
    それにしても、予選落ちして帰ってからテレビで優勝した神谷そら選手のプレーを見ましたが「どこまで飛ばすの?」と言うような飛距離でしたね。200ヤードの平均飛距離の私、同じコースで同じティーからプレーしたんだな…。スコアはだいぶ違いますが。アスリートの場合、年齢を重ねるとどうしても実戦から離れて行かないといけないのかなぁという空気を感じてしまいますが、そうとばかりも言えないのではないでしょうか。
     
    私もそうですが、1人1人いろんな思いを抱えて出場しています。毎週ツアーに出ていた頃には、常に優勝を目標にしてプレーしていましたが、今は納得のいくプレーをしたいと思ってやっています。試合に出る以上は、1打でも少ない数字を残したいと。これからももっともっと精進していきたいですね。
     
    ■原田香里(はらだ・かおり)
    1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部にで腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。

    連載

    原田香里のゴルフ未来会議

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