女子プロゴルファーのセカンドキャリアも多種多様です【原田香里のゴルフ未来会議】
プロゴルファーのツアー引退後について、原田香里が語る。
配信日時:2023年7月26日 02時30分
暑中お見舞い申し上げます。本当に暑い日が続きますが、ゴルフを愛するみなさんはいかがお過ごしでしょうか。原田香里です。今日は私たちツアープロが、ツアーを離れてからのことについて触れたいと思います。
私の現役時代には、試合に出られなくなるまではツアーでプレーする方々がほとんどで、試合に出られなくなってからもレッスンをしたり、所属コースの仕事をしたりするのが一般的でした。
もちろんお子さんを持つ方もいましたが、現在に比べるとかなり少なく、出産後もプレーをしていた人はごく限られていました。お子さんふたりを出産後にいくつも優勝を重ねた森口祐子さんはその代表格ですが、その後、徐々に出産後もプレーを続ける選手が増えました。今では出産後もプレーを続けるつもりでいる選手が続々と増えているのは、みなさんもご存じのとおりです。
私は、現役選手として精一杯戦い続ける一方で、結婚して子供が欲しいと考えていたタイプでした。結婚後、残念ながら子供は授かりませんでしたが、仕事をしながらも”主婦“という意識はどこかに持って生活していた気がします。
実際には結婚後も試合に出て、その後JLPGAの理事となって全国を飛び回る生活を長く続けることになりました。結果的には、JLPGAの理事がセカンドキャリアになった形でしょうか…。
理事職を離れてからは、このコラムでいろいろとお話ししているように、自分のゴルフと向き合いながら、さまざまな形で皆さんにゴルフの素晴らしさを伝える日々を送っています。恰好よく言い過ぎですかね…笑。セカンドキャリアのその先、ということになるのかもしれません。
生き方が多様になり、女性が出産してからも働き続けるのが自然な世の中になった今、女性アスリートも例外ではありません。もちろん、出産というのは母体に大きな負担になるため、簡単なことではありません。それでも競技か出産かという二者択一でなく、どちらも選択できる可能性は大きく広がっています。選手生命が長いゴルフの世界ではなおさらです。
出産も含めたセカンドキャリアについて、今の若い選手たちはごく当たり前のように、いろいろと考えているような気がします。誰のものでもない自分の人生ですから、当然と言えば当然ですね。また、JLPGAでもティーチングの資格を確立させ、そちらで活躍する道もあることが定着してきました。
テレビやネットでの解説やレポーターとしての道も、多くはありませんが考えられます。プロアマに出場したり、それを仕切ったり、ゴルフに携わる仕事をセカンドキャリアにしている人もやはりたくさんいますが、中にはそうでない仕事をしている人もいます。
人生100年時代。現役として試合に出なくなってからも、生きていくための生業は必要です。どんな仕事でも、ひとりではできないため、人とのつながりは絶対に必要です。幸いなことに、プロゴルファーという仕事はとてもたくさんの方にお会いする機会があります。プロゴルファーというのは特殊な職業ではありますが、現役時代から社会人としてきちんとしていることが、セカンドキャリアにも大きく影響します。ご縁を大切にして、そのとき、そのときで自分にできることを精一杯することが、セカンドキャリアにつながってくるはずです。
プロゴルファーになる以前の人生経験も豊かであるに越したことはありません。高校卒業後、すぐにプロになる人が多い昨今ですが、大学に行ったり、留学したりすることは、長い人生の中で絶対に役に立つはずです。ゴルフに全力を注ぎ、目の前の1打1打に集中しているときにはなかなかそうした広い視野を持つことは難しいとは思います。
でも、長い人生をそんな風に考えて、何でもポジティブにとらえることができれば、今まで見えなかったものが見えてくるはずです。
ゴルフを通して知り合った仲間たち(もちろん後輩も、です)が、より豊かな人生を送れるといいなぁ、と思う今日この頃です。
原田香里のゴルフ未来会議