第11回『ピンって何のこと?』
ゴルフの秘密を多角的に探ってみましょう。
配信日時:2019年5月13日 06時00分
ゴルフを始めたときに、誰もが口にするのが「もっと早く始めれば良かった」というセリフです。ゴルフをしない人にとって、酸いも甘いも知り尽くした偉い人までゴルフに夢中になっているのは不思議なもので、ゴルフをしている人も夢中になりすぎて、ゴルフの魅力を説明できないという奇妙な現実もあります。ゴルフの秘密を探ってみましょう。
今回はピンって何だ、というお話です。
ピンと聞いたときに、ゴルファーなら例外なくホールに刺さった旗竿を思い浮かべます。一般的に、ピンという言葉で思い浮かべるのは、安全ピンや虫ピンが一番多いようです。続いて、ボーリングのピン、サイコロや賭け事で使うピンと続くと言われています。ちなみに、ゴルフの旗竿のピンは、ボーリングの次に思い浮かべる人が多いそうです。
ゴルフは原則として18ホールを一周するゲームです。ホールには色々な長さがあって、長いものになると0.5kmを超えるホールもあります。日常生活で、現代人はそんなに遠くのものを視認する機会はありません。でも、ゴルフでは数百m先の目標を視認して、そのゴールを目指すことが頻繁どころか、日常茶飯事なのです。
黎明期のゴルフは、用具の革新のたびにボールが飛ぶようになって、それに合わせてホールも長くなっていきました。平らな土地ばかりではなく、凸凹している用地でゴルフをする際も含めて、ここがグリーンですよ、ここがホールですよ、と知らせるための背の高い目標が必要になりました。
今回はピンって何だ、というお話です。
ピンと聞いたときに、ゴルファーなら例外なくホールに刺さった旗竿を思い浮かべます。一般的に、ピンという言葉で思い浮かべるのは、安全ピンや虫ピンが一番多いようです。続いて、ボーリングのピン、サイコロや賭け事で使うピンと続くと言われています。ちなみに、ゴルフの旗竿のピンは、ボーリングの次に思い浮かべる人が多いそうです。
ゴルフは原則として18ホールを一周するゲームです。ホールには色々な長さがあって、長いものになると0.5kmを超えるホールもあります。日常生活で、現代人はそんなに遠くのものを視認する機会はありません。でも、ゴルフでは数百m先の目標を視認して、そのゴールを目指すことが頻繁どころか、日常茶飯事なのです。
黎明期のゴルフは、用具の革新のたびにボールが飛ぶようになって、それに合わせてホールも長くなっていきました。平らな土地ばかりではなく、凸凹している用地でゴルフをする際も含めて、ここがグリーンですよ、ここがホールですよ、と知らせるための背の高い目標が必要になりました。
当初は、ホールの後ろに棒を立てて、それに布を巻き付けてなびくようにしたようです。ところが、コースがあったスコットランドの海岸沿いは強風が吹き荒れることで有名です。強風で布が吹き飛んでしまうと、ただの棒になってしまって、遠くから確認することができなくなって不便だったのです。
徐々にゴルファーが増えて、いくつもグループができて、自分たち専用のゴルフコースを所有するようになってきた19世紀になって、棒の頭に編み籠をつけるコースが現れました。編みかごなら隙間が多いので、風を逃がすことができますし、遠くからでも目立ちます。それを見たゴルファーたちが「ピン」と呼ぶようになったのです。棒の先に丸い玉がついている様子は、洋服などを作る際に縫い合わせる布がずれないように針で止める「まち針」にそっくりだったからです。その後、棒の先には旗をつけるのが主流になって、現在に至ります。
ピンというのは通称で、正式にはピンフラッグと言います。2018年までは、ピンは目標としてのみ機能していて、グリーンにボールが乗ったら、ホールからピンを抜いてプレーする規則でした。2019年にゴルフ規則の大改革があって、ピンを抜かずにそのままグリーン上でプレーしても良いことになりました。その結果、ゴルファーは今までのようにピンを抜いたほうが有利になるのか、抜かないほうが有利になるのか。大論争になって、実証が続いています。
果てしなく遠くから目標として凛と立っているピンは、イラストなどでもひと目でゴルフを連想させるゴルフの象徴的なアイテムなのです。
グリーンという言葉にも色々な意味があって現在に至るという話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。
文・篠原嗣典/画像・GettyImages
徐々にゴルファーが増えて、いくつもグループができて、自分たち専用のゴルフコースを所有するようになってきた19世紀になって、棒の頭に編み籠をつけるコースが現れました。編みかごなら隙間が多いので、風を逃がすことができますし、遠くからでも目立ちます。それを見たゴルファーたちが「ピン」と呼ぶようになったのです。棒の先に丸い玉がついている様子は、洋服などを作る際に縫い合わせる布がずれないように針で止める「まち針」にそっくりだったからです。その後、棒の先には旗をつけるのが主流になって、現在に至ります。
ピンというのは通称で、正式にはピンフラッグと言います。2018年までは、ピンは目標としてのみ機能していて、グリーンにボールが乗ったら、ホールからピンを抜いてプレーする規則でした。2019年にゴルフ規則の大改革があって、ピンを抜かずにそのままグリーン上でプレーしても良いことになりました。その結果、ゴルファーは今までのようにピンを抜いたほうが有利になるのか、抜かないほうが有利になるのか。大論争になって、実証が続いています。
果てしなく遠くから目標として凛と立っているピンは、イラストなどでもひと目でゴルフを連想させるゴルフの象徴的なアイテムなのです。
グリーンという言葉にも色々な意味があって現在に至るという話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。
文・篠原嗣典/画像・GettyImages