第18回『イケメンを選ぶのがゴルフなの?』
ゴルフの秘密を多角的に探ってみましょう。
配信日時:2019年7月1日 06時00分
ゴルフを始めたときに、誰もが口にするのが「もっと早く始めれば良かった」というセリフです。ゴルフをしない人にとって、酸いも甘いも知り尽くした偉い人までゴルフに夢中になっているのは不思議なもので、ゴルフをしている人も夢中になりすぎて、ゴルフの魅力を説明できないという奇妙な現実もあります。ゴルフの秘密を探ってみましょう。
今回は、イケメンを選ぶのがゴルフなの? というお話です。
ゴルフは擬人化した用語に溢れています。ゴルフクラブのボールを打つ部分は全体をヘッドといいます。頭のように見えるからです。ドライバーというボールを最も遠くに飛ばせるクラブは、ヘッドがこの20年で約2倍に大きくなったので、日本では『デカヘッド』と愛を込めて呼ぶこともあります。
頭があれば…… 顔や首もあるのです。
フェースは、ボールが直接当たる平らになっている部分のことです。まさに、顔という感じです。ネックも、言葉の通りで、ヘッドとシャフトをつなぐ部分のことで、ヘッドに対して首のような位置関係になるわけです。「それは、ネックになるね」とかいう常套句を出すまでもなく、ゴルフクラブでもネックはヘッドを台無しにしてしまうことがあるほど重要な部分で、色々なタイプのネックがあったりもします。
「このクラブは、良い顔をしていますね」
なんて、クラブを惚れ惚れと見つめながら、つぶやくシーンがあります。いかにも目利きのようで、上級ゴルファーにも見えるので、ゴルフをしていると、言ってみたいみたい台詞の一つだといえます。ところが、この「良い顔」について、勉強しようとしてもなかなか難しいのです。ネットで検索しても、書籍を探しても、ちゃんとしたマニュアルがみつからないはずです。
今回は、イケメンを選ぶのがゴルフなの? というお話です。
ゴルフは擬人化した用語に溢れています。ゴルフクラブのボールを打つ部分は全体をヘッドといいます。頭のように見えるからです。ドライバーというボールを最も遠くに飛ばせるクラブは、ヘッドがこの20年で約2倍に大きくなったので、日本では『デカヘッド』と愛を込めて呼ぶこともあります。
頭があれば…… 顔や首もあるのです。
フェースは、ボールが直接当たる平らになっている部分のことです。まさに、顔という感じです。ネックも、言葉の通りで、ヘッドとシャフトをつなぐ部分のことで、ヘッドに対して首のような位置関係になるわけです。「それは、ネックになるね」とかいう常套句を出すまでもなく、ゴルフクラブでもネックはヘッドを台無しにしてしまうことがあるほど重要な部分で、色々なタイプのネックがあったりもします。
「このクラブは、良い顔をしていますね」
なんて、クラブを惚れ惚れと見つめながら、つぶやくシーンがあります。いかにも目利きのようで、上級ゴルファーにも見えるので、ゴルフをしていると、言ってみたいみたい台詞の一つだといえます。ところが、この「良い顔」について、勉強しようとしてもなかなか難しいのです。ネットで検索しても、書籍を探しても、ちゃんとしたマニュアルがみつからないはずです。
20世紀末までは、ウッドと呼ばれるクラブは、本当に木製でした。それを削ってヘッドを作っていたのです。フェースの部分は、ヘッドを削る職人の腕の見せ所でした。断面の切り口で、方向性についての多くの要素が決まってしまうからです。フェースを切り間違えたり、削り間違えたりすれば、せっかくのヘッドが使い物にならなくなってしまうのです。
そして、鉄製のアイアンも、大量生産でありながら、細かい仕上げは人間の分担で、削り取る技術力が問われたのです。
「良い顔」というのは、職人技で生まれる個体差を褒めるものだったというわけです。現在のように、工業的な精度が向上したことで、金太郎飴のように全く同じヘッドが並んでいては、選ばれた好みの「良い顔」は存在しづらいのです。
また、マニュアル化が難しいのは「イケメン」の基準が人それぞれだったりするからです。締まった小顔が好きな人もいれば、面長で大きい顔を好きな人もいるのが人間です。
だからこそ、愛を持って大好きなクラブを称える意味で「良い顔」だと愛おしむのはありだと思います。すべてを知った上で、ノスタルジックに使う台詞が「良い顔」なのかもしれません。自分に合っているクラブのフェースであれば、自信を持って「イケメン」だと宣言しても、令和の時代のゴルファーなら許されるのです。
さて、ヘッドを覆うカバーは日本発祥なのだ、という話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。
文・篠原嗣典/画像・GettyImages
そして、鉄製のアイアンも、大量生産でありながら、細かい仕上げは人間の分担で、削り取る技術力が問われたのです。
「良い顔」というのは、職人技で生まれる個体差を褒めるものだったというわけです。現在のように、工業的な精度が向上したことで、金太郎飴のように全く同じヘッドが並んでいては、選ばれた好みの「良い顔」は存在しづらいのです。
また、マニュアル化が難しいのは「イケメン」の基準が人それぞれだったりするからです。締まった小顔が好きな人もいれば、面長で大きい顔を好きな人もいるのが人間です。
だからこそ、愛を持って大好きなクラブを称える意味で「良い顔」だと愛おしむのはありだと思います。すべてを知った上で、ノスタルジックに使う台詞が「良い顔」なのかもしれません。自分に合っているクラブのフェースであれば、自信を持って「イケメン」だと宣言しても、令和の時代のゴルファーなら許されるのです。
さて、ヘッドを覆うカバーは日本発祥なのだ、という話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。
文・篠原嗣典/画像・GettyImages