第21回『革ってそんなに大事なの?』
ゴルフの秘密を多角的に探ってみましょう。
配信日時:2019年7月22日 06時00分
ゴルフを始めたときに、誰もが口にするのが「もっと早く始めれば良かった」というセリフです。ゴルフをしない人にとって、酸いも甘いも知り尽くした偉い人までゴルフに夢中になっているのは不思議なもので、ゴルフをしている人も夢中になりすぎて、ゴルフの魅力を説明できないという奇妙な現実もあります。ゴルフの秘密を探ってみましょう。
今回は、革ってそんなに大事なの? というお話です。
「やはり、本革じゃないとね」こだわりがあるゴルファーが言う台詞です。シューズのアッパー素材だったり、グローブの素材だったり、現在ではかなり減ってきていますが、こだわって革の素材を愛用するゴルファーはいます。
遙か昔、素材は革が主流でした。合成皮革などの化学繊維がなかったからです。高級品の代名詞でもある革製品は、ゴルフ用具からは、年々、減ってきています。革の用具の良さは、使い手に合わせるように馴染むところですが、手入れは大変です。現在では、化学繊維で作られている用具のほうが機能的にも優秀だったりする現実もあります。
ゴルフの歴史の中で、最も早い速度で革製品が代替え品に変わったのは、クラブのグリップです。昔は、テープ状にカットした革をシャフトに巻き付けて、クラブを持つ部分であるグリップを作っていました。まさに職人技で、素人で上手く革巻きができるというのはあり得ないことでした。
今回は、革ってそんなに大事なの? というお話です。
「やはり、本革じゃないとね」こだわりがあるゴルファーが言う台詞です。シューズのアッパー素材だったり、グローブの素材だったり、現在ではかなり減ってきていますが、こだわって革の素材を愛用するゴルファーはいます。
遙か昔、素材は革が主流でした。合成皮革などの化学繊維がなかったからです。高級品の代名詞でもある革製品は、ゴルフ用具からは、年々、減ってきています。革の用具の良さは、使い手に合わせるように馴染むところですが、手入れは大変です。現在では、化学繊維で作られている用具のほうが機能的にも優秀だったりする現実もあります。
ゴルフの歴史の中で、最も早い速度で革製品が代替え品に変わったのは、クラブのグリップです。昔は、テープ状にカットした革をシャフトに巻き付けて、クラブを持つ部分であるグリップを作っていました。まさに職人技で、素人で上手く革巻きができるというのはあり得ないことでした。
現在のゴム製のグリップに比べると、革巻きのグリップは1.5倍ほど長いものでした。21世紀になっても、こだわって革巻きのクラブを使っている人がいますが、日本には請け負ってくれる職人は数名しかいません。
グリーン上で、次のパットを免除するときに、日本では「OK」と言います。米英語だと「ギミー」と言うのですけれど、その昔は「イン ザ レザー」とも言っていたそうです。このレザーは、革巻きのグリップの意味で、グリップの距離以下だから打つことを免除するよ、ということになります。
また、褒められたことではありませんが、ゴルフではインチキをしてしまう病気になる人がいつの時代にも一定量はいるもので、「レザーウェッジ」という言葉もありました。これは、ボールを他人にわからないように蹴って、良いところに出してしまうインチキのことです。ゴルフシューズが革製だった頃の名残で、革のウェッジは、当然、シューズのことです。革製のゴルフ用具は高級品ですので、愛用していることを自慢気に強調する気持ちはわかりますが、ほどほどにすることがゴルファーとしては上級になるのだと思います。
現在のゴルファーの多くは、革製のゴルフ用具を体験していないそうです。いにしえのゴルフに思いを馳せて、グローブであれば数千円で購入できますから、革製品を一度は味わってみるのも面白いかもしれません。
虎の皮を被ったり、羊の皮を被ったり、人間は不思議な生き物です。とはいえ、ゴルフをしている間は、どんな人でも中身で勝負するしかありません。どんな高級な革よりも、自分の革が優れていることをゴルフは教えてくれます。
さて、そもそもグローブはどうして必要なの? という話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。
文・篠原嗣典/画像・GettyImages
グリーン上で、次のパットを免除するときに、日本では「OK」と言います。米英語だと「ギミー」と言うのですけれど、その昔は「イン ザ レザー」とも言っていたそうです。このレザーは、革巻きのグリップの意味で、グリップの距離以下だから打つことを免除するよ、ということになります。
また、褒められたことではありませんが、ゴルフではインチキをしてしまう病気になる人がいつの時代にも一定量はいるもので、「レザーウェッジ」という言葉もありました。これは、ボールを他人にわからないように蹴って、良いところに出してしまうインチキのことです。ゴルフシューズが革製だった頃の名残で、革のウェッジは、当然、シューズのことです。革製のゴルフ用具は高級品ですので、愛用していることを自慢気に強調する気持ちはわかりますが、ほどほどにすることがゴルファーとしては上級になるのだと思います。
現在のゴルファーの多くは、革製のゴルフ用具を体験していないそうです。いにしえのゴルフに思いを馳せて、グローブであれば数千円で購入できますから、革製品を一度は味わってみるのも面白いかもしれません。
虎の皮を被ったり、羊の皮を被ったり、人間は不思議な生き物です。とはいえ、ゴルフをしている間は、どんな人でも中身で勝負するしかありません。どんな高級な革よりも、自分の革が優れていることをゴルフは教えてくれます。
さて、そもそもグローブはどうして必要なの? という話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。
文・篠原嗣典/画像・GettyImages