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    第36回『コースの芝生っていつも緑なの?』

    ゴルフの秘密を多角的に探ってみましょう。

    配信日時:2019年11月4日 06時00分

    • ゴルフライフ
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    ゴルフを始めたときに、誰もが口にするのが「もっと早く始めれば良かった」というセリフです。ゴルフをしない人にとって、酸いも甘いも知り尽くした偉い人までゴルフに夢中になっているのは不思議なもので、ゴルフをしている人も夢中になりすぎて、ゴルフの魅力を説明できないという奇妙な現実もあります。ゴルフの秘密を探ってみましょう。

    今回は、コースの芝生っていつも緑なの? というお話です。

    テレビで観たゴルフコースは緑の芝生がきれいだったのに、コースデビューしたら芝生が枯れていてビックリした、というような話を耳にする季節になってきました。地球上で、四季がハッキリしているエリアにあるゴルフコースでは、当然のことのようにゴルフコースにも春夏秋冬で変化します。

    一年中緑のままのコースもありますが、多くのコースは冬になると芝生は緑ではなく、茶色になってしまうのです。常緑とそうではないコースがあるのは、芝生の種類の違いなのです。

    芝生には主に、夏芝と冬芝に分かれます。

    夏芝は暑いエリアに適した芝生で、多くは種ではなく根で広がっていきます。夏には美しい緑でゴルファーを楽しませんますが、寒くなると枯れたように茶色になってしまいます。ちなみに、夏芝は枯れるのではなく、寒くなると休眠するだけで、次の暖かいシーズンになったら新しい芝生が芽吹いて、再び緑になるということを繰り返します。

    日本の場合、高麗芝という芝種が有名で、フェアウェイやティーイングエリアで使われます。ラフは野芝という葉の幅が大きい芝種が使われています。

    冬芝は夏の暑さや多湿に弱いのですが、基本的には一年中緑を維持します。よく耳にするベントグリーンというのは、芝生の種類の一つですが、実は古い芝種で現在ではほとんど見ることは出来ません。冬芝は主にグリーンで使われます。欧米で開発されたものが多いので、洋芝という総称で呼ぶこともあります。
    猛暑だったりすると、洋芝のグリーンは枯れてしまうことがあります。基本的には種を撒けば春と秋には発芽しますので、それで補充したり、暑さに強い芝種を芝生の上に撒いて、徐々に新しい芝種にしていくという手法も多くのコースが採用しています。

    冬芝の弱点は、休眠ではなく、弱ると枯れてしまうことです。夏の気候に弱いので、管理するのが大変なのです。だから、常緑なのはグリーンだけと限定して使用するのが日本では普通になっています。

    ゴルフコースの芝生は、いつも緑なところもあれば、冬場は緑ではないところもあります。休眠して茶色くなってしまった芝生を、冬の間だけ緑の染料で染めるコースありますし、冬の間だけ発芽する芝生の種を撒いて緑に見えるようにするコースもあります。どうして、そんなことをするかというと、冬でも緑の芝生のゴルフコースでゴルフがしたいという願望を持ったゴルファーが多いからです。

    個人的には、冬場の茶色くなったゴルフコースも大好きです。グリーンの緑が砂漠の中のオアシスのように、光り輝いて見えます。「あそこを目指すのだ!」と寒さに堪えてボールを打つゴルフも楽しいのです。

    野球場やサッカースタジアムの芝生の管理は、芝生業界の最先端です。近年は、冬でも常緑に保たれています。ゴルフコースは、それらの百倍以上の面積の芝生があります。常緑に保つのは簡単ではありません。きれいに整備された芝生の上でゴルフが出来るのは、それだけで十分に価値があることで、ある意味で奇跡でもあります。驚くべきことに、多くのゴルフコースは、一切の管理をたった数名で行っているのです。

    芝生のことを知れば知るほど、自然と科学と管理しているスタッフへの感謝が増すのも、ゴルフの面白いところなのです。

    さて、バンカーの砂っていくらなの? という話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。



    文・篠原嗣典/画像・GettyImages

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