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    第38回『バンカーの砂って高いの?』

    ゴルフの秘密を多角的に探ってみましょう。

    配信日時:2019年11月18日 06時00分

    • ゴルフライフ
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    ゴルフを始めたときに、誰もが口にするのが「もっと早く始めれば良かった」というセリフです。ゴルフをしない人にとって、酸いも甘いも知り尽くした偉い人までゴルフに夢中になっているのは不思議なもので、ゴルフをしている人も夢中になりすぎて、ゴルフの魅力を説明できないという奇妙な現実もあります。ゴルフの秘密を探ってみましょう。

    今回は、バンカーの砂って高いの? というお話です。

    日本にゴルフが根付いている証拠として、よく語られるアンケートの話があります。バンカーという砂で作られたエリアを図案化して、ゴルフをしない人に見せて「ここはどこ?」と質問すると9割以上が「ゴルフコース」と回答するとそうです。砂場がバンカーという名称だと回答できる割合は、ゴルフをしない人では3割を切ってしまうのに、ゴルフコースには砂場があることは認識しているというわけです。

    住宅地の中にあるゴルフコースでは、住民サービスの一環として、行政と協力してコース開放をしているケースがあります。地域の幼稚園や保育園の子どもたちを招待して、芝生の上で自由に遊んでください、というイベントがコース開放です。保護者も一緒に来場して、広い芝生の上でボール遊びや縄跳びなどをしますが、一番人気はバンカーでの砂遊びなのだそうです。

    公園にないような巨大な砂場が、いくつも、いくつもあるのですから、子どもたちのテンションが上がるのは理解できます。でも、神経質な保護者は、バンカーの砂の衛生状態を気にして、顔をしかめることがあるそうです。ところが、それは心配ご無用、なのです。

    ゴルフコースのバンカーの砂は、様々な種類があります。一昔前までは、大理石を砕いたような真っ白い砂が流行していましたが、最近では、黒っぽく見える弱点はあっても川砂が一番だと再評価されているというトレンドもあります。
    海の砂、太古の砂浜を発掘して利用する山砂、岩を粉砕して作る岩砂……詳細に書いたら、それだけで一冊の本になるほど種類があるのは、それだけバンカーが必要とされている証拠でもあります。

    バンカーの砂は、ゴルファーが打って、外に出てしまうだけではなく、強風でも飛ばされますし、雨で流れ出ることもあります。砂は、どんどん減っていくので、バンカーは砂の補充があって成り立ちます。芝生は病気になりやすいので、菌類をコースに持ち込まないように細心の注意が払われています。驚くことに、バンカーの砂は、ごく一部の例外を除いて、きれいに洗浄して、熱処理で殺菌されているのです。

    そのように手間がかかっているので、バンカーの砂は想像以上に高額です。グリーンサイドのバンカーで、ショットした際に手のひらに山盛りぐらいの砂を飛ばしたとします。最高級品であれば、その量で缶ジュースが買えるくらいすることもあります。

    一つのバンカーに必要な砂の量は、平均で4トンといわれています。それが、一つのコースに少なくとも30個ぐらいはあるのです。計算すると呆れる額になるほどもお金をかけて、ゴルファーが楽しめるようにバンカーは整備されています。ゴルフにおいて、バンカーは切っても切れない大事なものなのです。

    バンカーで砂まみれになっているゴルファーを見るたびに、大人の砂遊びだと微笑ましく思います。バンカーが大嫌いだというゴルファーはたくさんいます。バンカーを避けてボールを打つのがゴルフのセオリーなのですが、せっかく整備してもらったのだから、バンカーにボールを入れて楽しもうという余裕を持ってプレーするゴルファーになりたいものです。

    さて、バンカーレーキは多弁だから注意? という話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。



    文・篠原嗣典/画像・GettyImages

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