今回は、ストロークって何ですか? というお話です。
ゴルフには複数の競技方法がありますが、日本の場合は、99%が代表的である『ストロークプレー』だけをしています。テレビなどで中継されるトーナメントも基本的には、ストロークプレーです。
ゴルフというゲームの本質は、少ない数でプレーしたものが勝つというものです。打った数、つまり、打数のことをストロークと言います。ストロークプレーは決められたホールの合計打数で勝ち負けを競うゲームなのです。1ラウンド勝負なら、18ホールストロークプレー。プロのトーナメントなどは4ラウンドなので、72ホールストロークプレーです。
スコアを伝える際に、数字だけでも伝わります。しかし、正確に単位をつけて伝えるときには、ストロークをつけます。パー72をパープレーでラウンドしたら、71ストロークということになります。和訳では『打数』なのですけど略して『打』とすることもあります。合計のスコアを伝えるときには、数字だけではなく、「72打」というように伝えるほうがより正確ということになるのです。
ストロークは打数だと説明しましたが、他の意味でも用います。ストロークは打つという意味でも使われます。面白いことに、ドライバーやアイアンでは、打つという意味でストロークをほとんど用いません。それらは、ショットという用語を使うからです。ただ、例外的にパットではショットを使わない代わりに、ストロークを用いるのです。
パターを上手に使って打つ技術を分析する際に「良いストローク」とかいうような使い方をします。ショットでは、体やクラブの動きを総じてスイングと言いますが、パットでは、スイングとは言わずに、ストロークを使うのです。とはいっても、パットの数を数える単位は…… 「3パット」というようにパットなのです。
ゴルフをしない人からすると、何だか複雑な使い分けで面倒臭いと思うでしょう。でも、これらはゴルファーの思い入れの強さを証明しています。少しだけゴルフをすれば、面倒臭いどころか、当たり前になってしまって、何ら不思議に思わなくなってしまうのです。
ストロークという単位は、ゴルファーに夢を見させ、魔法の呪文のように機能することもあるスペシャルなものなのです。
さて、マッチプレーって何なの? という話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。
文・篠原嗣典/画像・GettyImages