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    第42回『ブレザー着用って何ですか?』

    ゴルフの秘密を多角的に探ってみましょう。

    配信日時:2019年12月16日 06時00分

    • ゴルフライフ
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    ゴルフを始めたときに、誰もが口にするのが「もっと早く始めれば良かった」というセリフです。ゴルフをしない人にとって、酸いも甘いも知り尽くした偉い人までゴルフに夢中になっているのは不思議なもので、ゴルフをしている人も夢中になりすぎて、ゴルフの魅力を説明できないという奇妙な現実もあります。ゴルフの秘密を探ってみましょう。

    今回は、ブレザー着用って何ですか? というお話です。

    「明日はブレザー着用のコースだから、ドレスコードをもう一度見て、失敗しないように頼むよ」いきなり言われて、慌てるというビギナーや初級者がいます。中級者でも、ブレザー着用が義務化されているゴルフコースは未経験だというケースも増えているようです。

    いわゆるドレスコードというゴルフコースが決めた決まりの1つが、ブレザー着用です。どうにかなるさと、ブレザーを持たずにコースに行くと、クラブハウスの玄関で入場を止められます。多くのコースでは、うっかり忘れてしまった人のために、ブレザーの貸し出しがあるので、脇から裏に通されて貸衣装を着て、改めて正面玄関から入場という段取りになります。

    ユニクロなどの街中で気軽に利用できるショップでも、安価なブレザーが売られています。ブレザー着用という場合はちゃんとブレザーを着てコースに行くのが唯一の正解です。

    ブレザー着用なんて、日本人が間違って輸入したドレスコードで、欧米では耳にしたことがない、と憤っている人もいます。日本でもブレザー着用を義務付けているコースは少数派ですが、欧米でもごくわずかのコースでブレザー着用をドレスコードに採用しているコースは存在します。

    その昔、ゴルフがゲームとして現在の形になっていく黎明期に、ゴルファーはジャケットを着てゴルフをしていました。これには二つの理由があります。一つは、ゴルフが行われていたエリアが比較的寒い場所だったことから、一般的に上着を屋外で脱ぐという習慣がなかったということ。一つは、スポーツを楽しむという文化が育っていなかったので、運動しやすい服装という発想そのものがなかったこと。ちなみに、同じ頃に行われていたテニスも、ジャケットを着用してプレーしていました。
    この歴史が、ブレザー着用の正当性だと説明する人もいますが、それは全くの間違いです。ブレザーの歴史を調べてみればわかりますが、元々は、揃いのユニフォームだったり、制服だったしたものが起源なのです。ブレザーは、仲間であることの証として、世界中に広まりました。現代の日本でも学校の制服として採用している学校はたくさんあります。

    ゴルフの黎明期の重要人物で、肖像画が残されている場合は、ほぼ赤いブレザーを着用しています。(当時のブレザーは、現在のモーニングの上着のような形状です)これは、元々は別の組織の揃いのブレーザーなのです。つまり、別の団体の有志が自分たちのゴルフコースを作ろうと結束して、実行したことで、ゴルフはゲームとして完成していったというのが正しい歴史なのです。

    メジャートーナメントを代表するマスターズを見るとわかりますが、揃いのグリーンジャケットというブレザーを着ているのは、主催しているオーガスタナショナルのメンバーたちです。優勝者は特別メンバーとして迎えられるので、表彰式で緑のブレーザーを与えられるのです。

    ブレーザー着用は仲間の証なので、本来は、来場者に強制するものではなく、そのゴルフコースのメンバーに着用義務が発生するというのが正しいようです。

    ゴルフと直接関係ないのに、ブレザー着用なんて馬鹿馬鹿しい、という悪態をついているのは、実は、若者や初級者ゴルファーではなく、中高年のゴルファーが多いような気がします。

    若く新しいゴルファーたちは、そういうこともゴルフの内だと楽しんでいるようです。彼らは、あっという間に経験を重ねて、知識を蓄えたゴルファーになる傾向があり、ブレザー着用というドレスコードの有無に関係なく、ゴルフの行き帰りはブレザーを着るケースが増えています。

    彼らはオシャレとしてブレザーを楽しんでいるのです。色々なブレザーを見事に着こなしています。お見事だ、と感心させられます。ゴルフは行き帰りまでセットで楽しめるのだと、改めて教えられました。

    さて、着帽義務って小学生みたいですね、という話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。


    文・篠原嗣典/画像・GettyImages

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