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第49回『砂場がバンカーって何ですか?』

第49回『砂場がバンカーって何ですか?』

ゴルフの秘密を多角的に探ってみましょう。

配信日時:2020年2月3日 15時00分

ゴルフを始めたときに、誰もが口にするのが「もっと早く始めれば良かった」というセリフです。ゴルフをしない人にとって、酸いも甘いも知り尽くした偉い人までゴルフに夢中になっているのは不思議なもので、ゴルフをしている人も夢中になりすぎて、ゴルフの魅力を説明できないという奇妙な現実もあります。ゴルフの秘密を探ってみましょう。

今回は、砂場がバンカーって何ですか? というお話です。

諸説ありますが、ゴルフを始めて最初に覚える専門用語のベスト5の中に「バンカー」は入るそうです。原則として、窪地に砂が引き詰められているエリアがバンカーです。アドレスしたときに、クラブのソールを地面につけると違反になることもあって、ゴルファーの大半がバンカーを苦手としています。

女性ゴルファーは、かなりの上級者でもバンカーが嫌いだというケースがあります。バンカーショットはパワーを必要とする部分があって、非力な女性では難しいのが原因です。

バンカーは、ゴルフが生まれたのと同時に、自然発生的に存在したようですが、明確に整備されるようになったのは芝刈り機が生まれた近代になってからというのが研究者の見解です。とはいっても、バンカーの歴史は浅くはありません。言語学で遡ってみると、なんと6世紀にゲール人(スコットランド人の祖先)が“Bonker”という言葉を使い始めました。これは、寒いエリアの家の外に穴蔵を作って、保管庫として利用した場所のことでした。

それが、スコットランドになってから、羊の風避けのための穴もバンカーと呼ぶようになって、戦争で使う塹壕もバンカーと呼ぶようになりました。
英語化されて“Banker”となって、“Bunker”になって現在に至ります。

元々は、保管用の穴蔵だったと考えたら、入ったボールが、打っても打っても出ないことに不思議はありません。保管庫は頑丈なのです。入らないようにするのが第一で、入ってしまったら謙虚に脱出するのが正解です。寄せたいとか、乗せたいとか、ゴルファーの欲は邪念となって失敗を招きます。

2019年にはルールの大改正もありました。バンカーは健在です。実は、バンカーはゴルファーを苦しめるだけではないのです。目標になるバンカーもあれば、OBや谷などに落ちないようにボールを止める目的で存在するバンカーもあります。さり気なく役に立っていることもあるのです。

上級者でバンカーが好きなゴルファーは、普通のアプローチよりも寄せるのがやさしいからと狙って打つこともあります。練習量と打ちやすいウェッジを使うことの二点がコツだと言う名人が多いので、参考にしたいものです。

ちょっと面白いのですが、「ガードバンカー」「フェアウェイバンカー」「サイドバンカー」「クロスバンカー」等々、色々なバンカーがあります。でも、これらの表現は日本人ゴルファーの感性が生んだもので、本場では専門家以外は「バンカー」は「バンカー」で、区別などしないのが普通なのだそうです。

この話を知ったときに、日本で感性を大事にしながらゴルフをしてきた先輩たちを誇らしく思ったのです。好き嫌いは別として、バンカーにすら色々な名前をつけてしまう感性を大切にしたいと願いつつ、ゴルフを楽しめるのは幸せなことです。

さて、専門的なバンカーの名称のあれこれでバンカーが上手くなる? という話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。


文・篠原嗣典/画像・GettyImages

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