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    日本人がメジャーで勝つ日

    昔から日本人はメジャーに勝てない、と言われ続けてきた。2011年のマスターズで当時アマチュアだった松山英樹はローアマを獲り、日本人だけではなく世界中のプロたちも「彼こそはメジャーに近い男」と称賛した。日本人がメジャーで勝つ日は来るのだろうか。 文/川野美佳 写真/GettyImages [ AD ]

    配信日時:2020年3月25日 13時00分

    • ゴルフライフ
    目次 / index
    日本のエースであり、世界が認める松山英樹は今年こそメジャー制覇だ(2019 Farmers Insurance Open)
    日本のエースであり、世界が認める松山英樹は今年こそメジャー制覇だ(2019 Farmers Insurance Open)
    • 2011年マスターズでローアマを獲ったときゲーリー・プレーヤーは「彼こそが日本人としてメジャーを獲るだろう」と断言 (2011 Masters Tournament)
    • 2019年までに4大メジャーで7回トップ10に入っている。2位もある。メジャーに勝つためにあと数センチと近づいている(2017 PGA Championship)
    • 欧米メディアもネクストメジャーチャンプは「マツヤマ」という(2019 Sony Open)
    • PGAツアー選手たちと一緒にいても遜色ない体の大きさは武器のひとつ(2019 Japan skins)
    • 勇気を持って攻めたものにはそれなりのご褒美がある。“リスク&リワード”。これが松山スタイルだ(2018 Hero World Challenge)
    • スイングの独特の“間”はPGA選手たちの憧れとなっている(2017 THE PLAYERS Championship)
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    レジェンドプロが太鼓判を押す大器

    「見てごらん、この若者の下半身の使い方を。腰のアグレッシブなターン。躍動感。ワクワクするね。日本からメジャーチャンピオンが誕生する日を20年近く待っているけれど、どうやらそのときは近づいているようだ」

    松山英樹がマスターズでローアマに輝いた2011年の暮れ、チャリティイベントで来日したゲーリー・プレーヤーは連続写真を食い入るように見つめ「ほーっ」と吐息を漏らした。そして冒頭の言葉を紡いだ。

    アーノルド・パーマー、ジャック・ニクラスとともにビッグ3の一角を担ったプレーヤーは、小柄ながらみなぎる闘志でメジャー9勝を挙げた。ニクラスより先にグランドスラマーとなった正真正銘のレジェンドだ。その彼が松山に“将来のメジャーチャンプ”と太鼓判を押したあの日から9年。28歳になった日本のエースはいま世界のトップランカーとしてゴルフ界を牽引している。

    22歳でニクラスがホストを務めるビッグイベント、メモリアルトーナメントで米ツアー初制覇すると17年までに日本人最多の5勝を挙げた。しかし彼にはひとつ足りないものがある。

    それはメジャーの勲章だ。

    「勝てる人になりたい」、松山は涙を流した

    2011年マスターズでローアマを獲ったときゲーリー・プレーヤーは「彼こそが日本人としてメジャーを獲るだろう」と断言 (2011 Masters Tournament)

    2011年マスターズでローアマを獲ったときゲーリー・プレーヤーは「彼こそが日本人としてメジャーを獲るだろう」と断言 (2011 Masters Tournament)

    松山は2019年までに4大メジャーで7回トップ10に入っている。最高位は2017年の全米オープンで2位タイ。最終日を6打差の14位からスタートする劣勢のなか猛烈な勢いでバーディを量産。優勝したブルックス・ケプカに4打差まで迫った。順位だけ見ればこれがもっともタイトルに近づいた瞬間だ。だがじつは彼にとって最大のチャンスは同じ年のメジャー最終戦、全米プロゴルフ選手権で訪れている。

    首位と1打差で迎えた最終日、前半で単独トップに浮上しリーダーボードの最上段から下界を見下ろした。勝負のサンデーバック9の出だし10番で7メートルのバーディパットをねじ込んだときには、いよいよメジャー制覇への期待が高まった。しかし11番から3連続ボギーで首位の座を明け渡すと、14番&15番のバーディで息を吹き返したかに見えたが16番のボギーで万策尽き、結果5位タイに終わった。

    ラウンド後ポーカーフェースの松山が涙を見せた。

    「ここまできた人はたくさんいると思いますが、ここから勝てる人と勝てない人の差が出てくると思います。勝てる人になりたい」と涙を拭って言葉を絞り出した。

    あと数センチまで迫った栄冠はジャスティン・トーマスの頭上に輝いた。“勝てる人”との差を埋めるにはなにが必要なのか?

    ミスター・ショットメイキングマシン

    2019年までに4大メジャーで7回トップ10に入っている。2位もある。メジャーに勝つためにあと数センチと近づいている(2017 PGA Championship)

    2019年までに4大メジャーで7回トップ10に入っている。2位もある。メジャーに勝つためにあと数センチと近づいている(2017 PGA Championship)

    40代で賞金王となり中年の星とうたわれた藤田寛之は、松山の特異性(もちろん良い意味で)をこう語る。

    「海外で練習場に行くと日本人はすぐ分かるんです。小さいし華奢ですからね。大男たちに混ざると高校生のように見えてしまう。でも松山クンは違うんです。外国の選手たちと並んでも胸板とかまったく遜色がない。練習場でも周囲に溶け込んでどこにいるか分からない(笑)」

    体格以外にも違いがあるという。

    「石川遼クンはたまに僕がアメリカの試合に出ると“練習ラウンド、一緒にやりましょう”と誘ってくれるんです。でも松山クンはいつの間にか外国の選手と一緒に回っている。先輩への気遣いがないとかそういうことではなく、自分のペースがしっかりあってアメリカに居場所を持っているんです」

    松山にとって海外はもはやアウェイではない。

    欧米メディアがよく話題にする“ネクストメジャーチャンピオンは誰?”のテーマで、松山はリッキー・ファウラーやジョン・ラームとともにリスト上位の常連だ。トーナメント中継でアナウンサーは「マツヤマ・イズ・ショットメイキングマシン」という表現を使う。まるで精密機械のような正確さでピンを刺すショットは松山の代名詞。これまで海外で活躍した日本勢はショートゲームに活路を見出すタイプが多かったが、松山は同僚プロも羨むショートゲームの技術とともにショット力という強烈な武器がある。
    欧米メディアもネクストメジャーチャンプは「マツヤマ」という(2019 Sony Open)

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    PGAツアー選手たちと一緒にいても遜色ない体の大きさは武器のひとつ(2019 Japan skins)

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    逃げない、攻め続ける松山英樹

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