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    日本人がメジャーで勝つ日

    昔から日本人はメジャーに勝てない、と言われ続けてきた。2011年のマスターズで当時アマチュアだった松山英樹はローアマを獲り、日本人だけではなく世界中のプロたちも「彼こそはメジャーに近い男」と称賛した。日本人がメジャーで勝つ日は来るのだろうか。 文/川野美佳 写真/GettyImages [ AD ]

    配信日時:2020年3月25日 13時00分

    • ゴルフライフ

    逃げない、攻め続ける松山英樹

    勇気を持って攻めたものにはそれなりのご褒美がある。“リスク&リワード”。これが松山スタイルだ(2018 Hero World Challenge)

    勇気を持って攻めたものにはそれなりのご褒美がある。“リスク&リワード”。これが松山スタイルだ(2018 Hero World Challenge)

    タイガー・ウッズは全盛期「アーニー・エルスのようにゆったり振りたい」とライバルのスウィングをうらやましがった。そしていま松山の独特なスイングの“間”を「盗みたい」という選手がいる。

    たとえば松山キラーで鳴らすジャスティン・トーマス。あるいは19年新人賞に輝いたイム・ソンジェ。

    「マツヤマのゆっくりとしたテークバックを真似ている」

    彼らほどのトップクラスになればいくらでもクラブを速く振ることはできる。しかし速く振ることのリスクもある。タイミングがわずかでもズレれば300ヤード先の着弾点では思わぬ誤差が生じるからだ。エルスのように、そして松山のように大きなアークでゆっくり振ることができればリスクを軽減することが可能になる。
    スイングの独特の“間”はPGA選手たちの憧れとなっている(2017 THE PLAYERS Championship)

    スイングの独特の“間”はPGA選手たちの憧れとなっている(2017 THE PLAYERS Championship)

    タイガーにプレッシャーを与える松山

    松山の強さを肌で感じたタイガー(2018 Farmers Insurance Open ・Kyodo News/Getty Images)

    松山の強さを肌で感じたタイガー(2018 Farmers Insurance Open ・Kyodo News/Getty Images)

    かつて優勝争いをしている選手が背後にタイガーの足音を聞くと意識過剰になって自滅することが多かった。ところが昨年日本で開催されたPGAツアーZOZOチャンピオンシップでは、初日から首位を走ったタイガーは逆に「マツヤマの追い上げがかなり大きなプレッシャーになった」と語っている。あのタイガーが音もなく迫る松山の脅威を肌で感じていたということだ。

    もう1つ松山の強みはリスクを負ってシビアなピンを攻め切れること。無難にパーをセーブすれば良いと思うことは決してない。ピンが池やバンカーの真上に切ってあっても果敢にピンを狙う。

    勇気を持って攻めたものにはそれなりのご褒美がある。

    “リスク&リワード”。アマチュアでプロの試合(11年三井住友VISA太平洋マスターズ)に勝ったときも、1シーズンにWGC(世界ゴルフ選手権)の大会で2勝(HSBCチャンピオンズ、ブリヂストン招待)を挙げたときも松山は攻めきって勝利をものにした。
    タイガーも松山のゴルフには一目を置いているばかりか脅威を感じることさえある(2017 Hero World Challenge・Kyodo News/Getty Images)

    タイガーも松山のゴルフには一目を置いているばかりか脅威を感じることさえある(2017 Hero World Challenge・Kyodo News/Getty Images)

    課題はパットとスロースターター返上

    米ツアー5勝のうち3勝がプレーオフを制してのもの。プレーオフ負けなしと「心」も強い(2020 Waste Management Open)

    米ツアー5勝のうち3勝がプレーオフを制してのもの。プレーオフ負けなしと「心」も強い(2020 Waste Management Open)

    米ツアー5勝のうち3勝がプレーオフを制してのもの。プレーオフ負けなしが彼の強運ぶりを物語る。それでも未だ突き破れないメジャーの壁。

    「チャンピオンになるかならないか、それはここの問題だ」と左胸を指差したのはメジャー5勝のカリスマ、故セベ・バレステロスだ。同じ技術を持っていてもそれを活かすか殺すかは選手の“心”次第。いかに自分を信じることができるかが重要だ。

    たぐい稀なショット力を持つ松山には、4日間を通してコンスタントなゴルフを続ける安定感がある。敢えて弱みを指摘するなら、パッティングぐらいだろう。

    スロースターターの彼は上位争いしたメジャーで必ずといっていいほど出遅れている。2017年の全米オープンは初日82位、全米プロ(2017年)では15位タイ。出遅れたからこそ迷いが吹っ切れ残りの3日でビッグスコアをマークできたという面もある。だがせめて初日をトップ10圏内で切り抜けていればチャンスはさらに広がったはずだ。
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    日本が誇る戦艦大和は沈まない

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