打打打坐 第1回【スループレーがスタンダードになる日に備えよ!】
打打打坐(ちょうちょうだざ)とは、打ちまくって瞑想の境地に入るという造語。コースで打たなければわからないと試打ラウンドだけで年間50ラウンド以上しているロマン派ゴルフ作家が、瞑想、妄想、迷走…… 徒然なるままにゴルフを想い、語るというお話。
配信日時:2020年4月17日 06時00分
非常事態宣言とゴルフ
2020年春。僕らは東京オリンピックが開催される夏に向けて、大いに盛り上がるはずでした……。
新型コロナウィルスの大流行で、WHOのパンディミック宣言に続き、日本でも史上初の非常事態宣言が出ました。
自粛要請で色を失っていく世界は、SF小説か、映画などの作り物の世界だと思っていましたが、現実になっています。
「できるだけ家にいよう!」というかけ声で、外出予定をキャンセルして、引きこもっているゴルファーが多数派です。
ゴルフ業界では、ゴルフ練習場が自粛要請業種に入ったり、外れたりしたために、休業したり、再開したり、大騒ぎでしたが、一部の県を除き、ゴルフコースは自粛要請業種には入っていません。
世界中のゴルフトーナメントは中止や延期になっています。運営するスタッフや、ギャラリーが密集する感染リスクへの配慮と、移動する選手が交通機関で感染するリスクへの配慮です。
新型コロナウィルス対策として、密閉・密集・密接の3密はNGですが、広々とした空間であるゴルフコースは、いくつかの注意さえすれば、かなり安全だと声高に言えたのは一瞬だけのことでした。
感染を抑えるためには、とにかく、家から出ずに人と会わないことが一番確実なのだという風潮になったからです。
自粛要請業種に関わらずに、余裕のあるコースは自主クローズしましたが……。多くのコースは、感染を防ぐための工夫をしつつ、オープンして、ゴルファーを待っています。何ともいえない不思議な世界になってしまいました。
新型コロナウィルスの大流行で、WHOのパンディミック宣言に続き、日本でも史上初の非常事態宣言が出ました。
自粛要請で色を失っていく世界は、SF小説か、映画などの作り物の世界だと思っていましたが、現実になっています。
「できるだけ家にいよう!」というかけ声で、外出予定をキャンセルして、引きこもっているゴルファーが多数派です。
ゴルフ業界では、ゴルフ練習場が自粛要請業種に入ったり、外れたりしたために、休業したり、再開したり、大騒ぎでしたが、一部の県を除き、ゴルフコースは自粛要請業種には入っていません。
世界中のゴルフトーナメントは中止や延期になっています。運営するスタッフや、ギャラリーが密集する感染リスクへの配慮と、移動する選手が交通機関で感染するリスクへの配慮です。
新型コロナウィルス対策として、密閉・密集・密接の3密はNGですが、広々とした空間であるゴルフコースは、いくつかの注意さえすれば、かなり安全だと声高に言えたのは一瞬だけのことでした。
感染を抑えるためには、とにかく、家から出ずに人と会わないことが一番確実なのだという風潮になったからです。
自粛要請業種に関わらずに、余裕のあるコースは自主クローズしましたが……。多くのコースは、感染を防ぐための工夫をしつつ、オープンして、ゴルファーを待っています。何ともいえない不思議な世界になってしまいました。
安全にゴルフをするための知恵
ウィルス感染を防ぎつつ、安全にゴルフをするために奨励されているのがスループレーです。
日本では、ハーフごとに休憩してプレーするのが当たり前になっています。
日本では、と書いたのは、世界中を見渡しても、歴史的にもスループレーでゴルフをするほうが普通で、ハーフで休憩するほうが、レアケースなのです。
背景として、人里離れた場所にゴルフコースを作るしかなかったという日本の事情があります。プレー後すぐに、食事ができる場所がないので、食事ができる場所をコース内に作ることがマストでした。
そして、ハーフごとに休憩があれば、スタート時間をその分増やせるという経営的な利点もあったのです。
日本の場合は、スループレーは不可というコースが多いのは、独特の慣習が継続してきたからです。
スループレーを未経験だというゴルファーが日本にはたくさんいます。
社用族としてゴルフを始めた人たちにとって、ハーフ後のレストランで飲むアルコールまでがセットでゴルフ。スループレーなんて、ゴルフの楽しみを半減させると毛嫌いする傾向もあるようです。
しかし、この異常事態の中で、そんなことにこだわるのはナンセンスです。楽しくランチタイムを堪能するセットは、あくまでもオマケであり、ゴルフができるならスループレーでも御の字です。オマケがなければゴルフをしたくない人は、それができるまで待てば良いのです。誤解しないでほしいのは、ゴルフをすることが正しく、自宅待機が悪いことだとは一切考えていない、ということです。ゴルフをするのも、我慢するのも、個人の自由です。
改めて、オープンしているゴルフコースの工夫を考察してみます。
ゴルフのプレー中にも、密集・密接しないように、カートを1組で2台使用するコースもあります。前後に座れば、ソーシャルディスタンスを保てるというわけです。
3人や、4人で1台のカートを使用する場合は、できるだけカートに全員が乗って移動しないように心掛けることを奨励しています。
ピンフラッグやバンカーレーキなど、不特定多数の人が触れる可能性のあるものにはできるだけ触らないようにプレーすることも奨励されています。ピンフラッグを抜かずにプレーすることや、ローカルルールのOKパットの奨励。変わったところでは、カップの大きさのガードをグリーン面の上に出るように設置して、それにボールが当たったらホールインしたということにするという特別ルールを採用するコースもあります。
バンカーレーキを使わずに、足を使って、打った跡や足跡などをきれいに均(なら)すことを奨励するコースもあります。
そして、クラブハウスです。
お風呂やシャワーは使用禁止にしているコースが多いです。レストランは窓を開放して換気に努めるのは当たり前で、座席間の距離をとるようにしたコースもあります。お弁当やおにぎりを販売して、車の中や、屋外でランチをとることを奨励しているコースもありますし、レストランを閉鎖して、プレーのみにしているコースもあります。
ゴルフコースで感染リスクが高まるのは、人が集まり、接する機会が多いクラブハウスです。クラブハウスを最小限に使用するという意味で、スループレーが奨励されているというわけです。今までは、スループレーを不可としていたコースでも、スループレーができるようになってきています。
そこまでして、ゴルフをすることはないと考える人もたくさんいることも理解できます。
逆に、知恵を絞ってリスクを最小限にして、ゴルフができることでワクワクする人もたくさんいるのです。
スループレーが、この大混乱をきっかけにして、日本でも、ゴルフプレーの選択肢の1つになると良いのになぁ、と期待してしまうのです。誰が何と言おうと、スループレーがゴルフの原点であることは間違いないからです。
スループレーを未経験だからと敬遠してしまう人もいますが、百聞は一見にしかず、と書くまでもなく、何事も経験です。
日本では、ハーフごとに休憩してプレーするのが当たり前になっています。
日本では、と書いたのは、世界中を見渡しても、歴史的にもスループレーでゴルフをするほうが普通で、ハーフで休憩するほうが、レアケースなのです。
背景として、人里離れた場所にゴルフコースを作るしかなかったという日本の事情があります。プレー後すぐに、食事ができる場所がないので、食事ができる場所をコース内に作ることがマストでした。
そして、ハーフごとに休憩があれば、スタート時間をその分増やせるという経営的な利点もあったのです。
日本の場合は、スループレーは不可というコースが多いのは、独特の慣習が継続してきたからです。
スループレーを未経験だというゴルファーが日本にはたくさんいます。
社用族としてゴルフを始めた人たちにとって、ハーフ後のレストランで飲むアルコールまでがセットでゴルフ。スループレーなんて、ゴルフの楽しみを半減させると毛嫌いする傾向もあるようです。
しかし、この異常事態の中で、そんなことにこだわるのはナンセンスです。楽しくランチタイムを堪能するセットは、あくまでもオマケであり、ゴルフができるならスループレーでも御の字です。オマケがなければゴルフをしたくない人は、それができるまで待てば良いのです。誤解しないでほしいのは、ゴルフをすることが正しく、自宅待機が悪いことだとは一切考えていない、ということです。ゴルフをするのも、我慢するのも、個人の自由です。
改めて、オープンしているゴルフコースの工夫を考察してみます。
ゴルフのプレー中にも、密集・密接しないように、カートを1組で2台使用するコースもあります。前後に座れば、ソーシャルディスタンスを保てるというわけです。
3人や、4人で1台のカートを使用する場合は、できるだけカートに全員が乗って移動しないように心掛けることを奨励しています。
ピンフラッグやバンカーレーキなど、不特定多数の人が触れる可能性のあるものにはできるだけ触らないようにプレーすることも奨励されています。ピンフラッグを抜かずにプレーすることや、ローカルルールのOKパットの奨励。変わったところでは、カップの大きさのガードをグリーン面の上に出るように設置して、それにボールが当たったらホールインしたということにするという特別ルールを採用するコースもあります。
バンカーレーキを使わずに、足を使って、打った跡や足跡などをきれいに均(なら)すことを奨励するコースもあります。
そして、クラブハウスです。
お風呂やシャワーは使用禁止にしているコースが多いです。レストランは窓を開放して換気に努めるのは当たり前で、座席間の距離をとるようにしたコースもあります。お弁当やおにぎりを販売して、車の中や、屋外でランチをとることを奨励しているコースもありますし、レストランを閉鎖して、プレーのみにしているコースもあります。
ゴルフコースで感染リスクが高まるのは、人が集まり、接する機会が多いクラブハウスです。クラブハウスを最小限に使用するという意味で、スループレーが奨励されているというわけです。今までは、スループレーを不可としていたコースでも、スループレーができるようになってきています。
そこまでして、ゴルフをすることはないと考える人もたくさんいることも理解できます。
逆に、知恵を絞ってリスクを最小限にして、ゴルフができることでワクワクする人もたくさんいるのです。
スループレーが、この大混乱をきっかけにして、日本でも、ゴルフプレーの選択肢の1つになると良いのになぁ、と期待してしまうのです。誰が何と言おうと、スループレーがゴルフの原点であることは間違いないからです。
スループレーを未経験だからと敬遠してしまう人もいますが、百聞は一見にしかず、と書くまでもなく、何事も経験です。
スループレーのススメ
僕はもう何年も、ラウンドのほとんどはスループレーでゴルフをしています。トップスタートは誰も踏んでいないフレッシュなグリーンでパットができるので、基本は先頭の組でスタートします。
しかし、トップスタートだと、速くプレーすればするほど、次のハーフのスタートまで待ち時間が増えてしまうのです。また、ランチタイム前で、待ち時間が発生して困ることもよくあるのです。スループレーであれば、それらの問題は解決します。
良い点は他にもあります。
スループレーのほうが時間を有効に使えます。僕の場合、朝一でスタートして、スループレー後にランチという段取りですが、コースが混雑していなければ、特別に急がなくとも午前中でコースを後にできるのです。スループレーなら、ゴルフは1日掛かりではなく、午後から別の予定を入れることも可能です。
10年前から、僕はスループレーを強く推奨していますので、周囲のゴルフ仲間もスループレー派になっています。彼らが異口同音に挙げるメリットの1つが、盲点を突いていて面白いのです。
「前半ハーフが絶好調でベスト更新と意気込んで、後半ハーフは別人になって大たたき、という現象から自然と脱したよ」
そんなのは、ハーフごとの休憩のプレーになったら元に戻るでしょう、と反論する人もいるかもしれませんが、壁を一度越えたゴルファーのメンタルは萎えないもので、ハーフごとのプレーに戻っても、“別人大叩き現象”は気にならなくなるようです。
個人的には、スループレーでゴルフをすると、『これがゴルフなんだ』と強く感じます。
事情があるのはしかたがないとしても、やはり、ハーフごとで一休みするゴルフのほうが特殊なのです。
18ホールの流れや、プレーしながら感じるメリハリ等々、スループレーでなければわからない機微があります。
ホンモノを知らないことは……、書くまでもありません。
実際に、関東や大都市以外のゴルフコースなら、今のままでもスループレーを希望すれば当たり前のようにできるケースが少なくありません。ゴルフコースと住居が密接な距離にあれば、欧米のようにスループレーという選択肢が効率的だからです。
大切な人を守るために、人との接触を最小限にすることが感染リスクをゼロにする選択肢であることは事実です。新型コロナウィルスの大流行が落ち着いてから、ゴルフを再開すると決意している人も、焦る必要はありません。
2020年春からしばらくの間は、今まではスループレーを不可としていた多くのゴルフコースが、感染防止の観点からスループレーのプランを許可しているはずだからです。スタート時間が決まっていたり、組数に制限があったりする我慢は必要かもしれませんが、スループレーのみのプランや、スループレーで終了後のランチ付きプランなどが次々に発表されています。
インターネットの予約サイトで確認すれば、時代の流れを実感できます。また、ゴルフコースに、直接、電話をして、問い合わせることでも、スループレーのプランがあることを知ることができるケースも増えています。
「日本のゴルフは、新型コロナウィルスの大流行があったことがきっかけになって変わった」
近い未来に、そんなゴルフ談義がしたいと願っています。
スループレーは、純粋にゴルフを楽しむ一つの方法に過ぎませんが、集中して面白くゴルフをする方法として、間違いなくオススメできます。
自分に合った服を選ぶように、コースやプレースタイルを選ぶことができるゴルファーは幸せなのです。
しかし、トップスタートだと、速くプレーすればするほど、次のハーフのスタートまで待ち時間が増えてしまうのです。また、ランチタイム前で、待ち時間が発生して困ることもよくあるのです。スループレーであれば、それらの問題は解決します。
良い点は他にもあります。
スループレーのほうが時間を有効に使えます。僕の場合、朝一でスタートして、スループレー後にランチという段取りですが、コースが混雑していなければ、特別に急がなくとも午前中でコースを後にできるのです。スループレーなら、ゴルフは1日掛かりではなく、午後から別の予定を入れることも可能です。
10年前から、僕はスループレーを強く推奨していますので、周囲のゴルフ仲間もスループレー派になっています。彼らが異口同音に挙げるメリットの1つが、盲点を突いていて面白いのです。
「前半ハーフが絶好調でベスト更新と意気込んで、後半ハーフは別人になって大たたき、という現象から自然と脱したよ」
そんなのは、ハーフごとの休憩のプレーになったら元に戻るでしょう、と反論する人もいるかもしれませんが、壁を一度越えたゴルファーのメンタルは萎えないもので、ハーフごとのプレーに戻っても、“別人大叩き現象”は気にならなくなるようです。
個人的には、スループレーでゴルフをすると、『これがゴルフなんだ』と強く感じます。
事情があるのはしかたがないとしても、やはり、ハーフごとで一休みするゴルフのほうが特殊なのです。
18ホールの流れや、プレーしながら感じるメリハリ等々、スループレーでなければわからない機微があります。
ホンモノを知らないことは……、書くまでもありません。
実際に、関東や大都市以外のゴルフコースなら、今のままでもスループレーを希望すれば当たり前のようにできるケースが少なくありません。ゴルフコースと住居が密接な距離にあれば、欧米のようにスループレーという選択肢が効率的だからです。
大切な人を守るために、人との接触を最小限にすることが感染リスクをゼロにする選択肢であることは事実です。新型コロナウィルスの大流行が落ち着いてから、ゴルフを再開すると決意している人も、焦る必要はありません。
2020年春からしばらくの間は、今まではスループレーを不可としていた多くのゴルフコースが、感染防止の観点からスループレーのプランを許可しているはずだからです。スタート時間が決まっていたり、組数に制限があったりする我慢は必要かもしれませんが、スループレーのみのプランや、スループレーで終了後のランチ付きプランなどが次々に発表されています。
インターネットの予約サイトで確認すれば、時代の流れを実感できます。また、ゴルフコースに、直接、電話をして、問い合わせることでも、スループレーのプランがあることを知ることができるケースも増えています。
「日本のゴルフは、新型コロナウィルスの大流行があったことがきっかけになって変わった」
近い未来に、そんなゴルフ談義がしたいと願っています。
スループレーは、純粋にゴルフを楽しむ一つの方法に過ぎませんが、集中して面白くゴルフをする方法として、間違いなくオススメできます。
自分に合った服を選ぶように、コースやプレースタイルを選ぶことができるゴルファーは幸せなのです。
【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家・ゴルフギアライター。ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、現在はゴルフエッセイストとして活躍中。
連載
ロマン派ゴルフ作家篠原の “今日も打打打坐”