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    【第3回】ゴルフは『パー72』との戦いではなく、『コースレート』との戦いだった!

    ゴルフ仲間が「ベストスコアが出た」と言ってきたとき、「どのコースだよ。簡単なコースなんだろ?」という会話はよくある。でも、どのくらい簡単なのかと言葉で表すのは難しい。ゴルフ場の難易度を表す指標として『コースレート』がある。それを意識することで、ゴルフの楽しみ方がもっと広がる。

    配信日時:2020年10月13日 03時00分

    • ゴルフライフ
    目次 / index
    プレーするとき、コースレーティングを意識してる?(写真:Getty Images)
    プレーするとき、コースレーティングを意識してる?(写真:Getty Images) (撮影:GettyImages)
    • 千葉オープンが行われた平川カントリークラブ(写真:鈴木祥)
    • コースレーティング委員による査定の様子(写真提供:関東ゴルフ連盟)
    • コースレーティング委員による査定の様子(写真提供:関東ゴルフ連盟)
    • ティの位置や性別によって、コースレーティングとスロープレーティングの数字は変わる
    この記事の写真 5 枚を見る
    2020年から世界統一の『ハンディキャップシステム』が施行され、日本でも現在導入の準備をしているのを知っていましたか? というより、そもそも自分は競技には出ないし、エンジョイゴルファーだから『ハンディキャップ』なんて必要ない、関係ない、と思っていませんか? 70台を目指すゴルファーだろうが100切りゴルファーだろうが、せっかくゴルフをやっているのに『ハンディキャップ』を持っていないなんてもったいない。というわけで『ハンディキャップ』の意外な真実や楽しみ方、会員権を持っていなくても取得できる方法まで、やさしく紹介していきます。

    【目次】
    第1回 スコアカードの『ハンディキャップナンバー』 本当の遊び方、知ってる?
    第2回 『クラブハンディキャップ』と『JGAハンディキャップ』って何が違うの?
    第3回 ゴルフは『パー72』との戦いではなく、『コースレート』との戦いだった!
    第4回 世界には6つの異なるハンディキャップシステムがあった! その問題とは?
    第5回 会員権がなくても大丈夫! 実際に『JGAハンディキャップ』を取ってみた

    JGAハンディキャップ取得ページへ

    100叩いても、コースレーティングが高ければナイスプレーかも

    千葉オープンが行われた平川カントリークラブ(写真:鈴木祥)

    千葉オープンが行われた平川カントリークラブ(写真:鈴木祥)

    『コースレーティング』って聞いたことありますか? ゴルフ場によってスコアカードに書いてあるところも。『コースレーティング』は簡単にいうとコースの難易度。例えばレギュラーティの場合、「千葉オープン」が行われた平川カントリークラブの『コースレーティング』は71.1(Aグリーン・6609ヤード)、ベストスコアが出るといわれる昭和の森ゴルフコースの『コースレーティング』は66.0(さくらグリーン・5380ヤード)となっています。同じ『パー72』の設定でも、数字として5.1の差があるのです。

    『パー72』という基準で「今日は平川で101打った」というAさんと、「昭和の森で98だった」というBさんを比べると、100を切れたBさんの方が一見上手く感じます。しかし、『コースレーティング』という基準で見てみると、71.1に対して100だったAさんはその差が“28.9”、66.0に対して98だったBさんはその差が“32”ですから、Aさんの方が「良いプレーだった」ということになるのです。同じ『パー72』のコースでも、距離が長くて傾斜やバンカーが多いところは難しく、距離が短く平坦でハザードが少ないところは易しい。自分がよく行くコースの難易度がどのくらいなのか、日本ゴルフ協会(JGA)のホームページで調べることができます。あくまでも難易度ですので、『コースレーティング』の数字が高いからといって、良いゴルフ場とは限りません。

    コースレーティングの検索はこちら

    『コースレーティング』の検索をして気づいた方もいるかも知れませんが、なかには検索に引っかからないコースもあります。いま日本には2200くらいのゴルフ場があると言われていますが、『コースレーティング』を持っているゴルフ場は1600くらい。JGAに加盟しているゴルフ場か、日本パブリックゴルフ協会(PGS)に加盟しているゴルフ場しか『コースレーティング』を持っていません。これらに加盟しているゴルフ場でないと、『JGAハンディキャップ』を算出することができないので注意が必要です。

    コースレーティングってどうやって決まるの?

    コースレーティング委員による査定の様子(写真提供:関東ゴルフ連盟)
    コースレーティング委員による査定の様子(写真提供:関東ゴルフ連盟)
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    コースレーティング委員による査定の様子(写真提供:関東ゴルフ連盟)
    次に『コースレーティング』について、もうちょっと深く突っ込んでみましょう。ゴルフ場は10年に1回、『コースレーティング』の査定を受けることになっています。関東ゴルフ連盟や関西ゴルフ連盟など8つの地区連盟に所属しているコースレーティング委員が全国に100人くらいいて、彼らが最低3名のチームを組み、実際にコースに行って査定を行います。そこで、距離の長さ、フェアウェイの狭さ、風の強さ、高低差、グリーンの形状、木が邪魔になるか、バンカーの深さ、など全部で14項目を1ホール1ホール、一日かがりで全部見ていくのです。

    さらに、JGAハンディキャップ規定の13-2b.『ミッドシーズン時のコンディション』には、「JGA/USGAコースレーティングおよびスロープレーティングは、そのコースで年間に最もプレー頻度の高いシーズンにおける通常のコンディションに基づいて査定しなければならない」とある。なので、「冬はフェアウェイが硬くて転がる」「夏はグリーンが遅い」といった季節ごとのコンディションは加味せずに、トップシーズンにどのくらいの難易度になるかを査定する。つまり、真夏や真冬にコースレーティング委員が訪れたとしても、お客さんが一番入る秋の良いシーズンをイメージして見ていくわけです。

    何事もなければゴルフ場は10年に1度しか査定は受けない。しかし、ティイングエリアが後ろに新設されたり、グリーンを張り替えたり、池が増えたり改修があった場合は、その都度受けなければならない決まりになっています。

    スロープレーティングとは、アベレージゴルファーの難易度の指標

    ティの位置や性別によって、コースレーティングとスロープレーティングの数字は変わる

    ティの位置や性別によって、コースレーティングとスロープレーティングの数字は変わる (撮影:ALBA)

    そもそも『コースレーティング』というのは、スクラッチゴルファー(ハンディキャップ0)の人が10回ラウンドしたときの平均スコアのこと。それではJGAハンディキャップ規定にある『スロープレーティング』とは何なのか? そのためにはまず『ボギーレーティング』を知る必要があります。『ボギーレーティング』とは、ハンディキャップ20前後で回るボギーゴルファーが(女子はハンディキャップ24前後)、どのくらいのスコアで回るのかを数値化したものです。

    その『ボギーレーティング』から『コースレーティング』を引いた差に、男子は5.381、女子は4.24を掛けたものが『スロープレーティング』となります。これはアベレージゴルファーだったり、スクラッチゴルファー以外のいろいろなレベルのゴルファーにとっての難易度を示す尺度になります。ちなみに、レギュラーティの平川カントリークラブの『スロープレーティング』は128(Aグリーン・6609ヤード)、昭和の森ゴルフコースの『スロープレーティング』は112(さくらグリーン・5380ヤード)。これは55から155までの整数で表されるので、平川カントリークラブはアベレージゴルファーにとっても、かなり難しいコースということになります。

    『コースレーティング』は同じコースでも、青ティで回るか白ティで回るか、男子か女子かによって数字が変わる。ちなみに男子が赤ティから回ったときの『コースレーティング』も明記されています。『JGAハンディキャップ』を持っている人も、まだ持っていない人も、『パー72』ではなく『コースレーティング』を意識してプレーすると、ゴルフの楽しみが広がると思います。さらに『JGAハンディキャップ』を取得することによって、そのコースをラウンドするときの目標スコアが、より明確になるのは間違いないでしょう。


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