打打打坐 第59回【ゴルフの新車効果】
打打打坐(ちょうちょうだざ)とは、打ちまくって瞑想の境地に入るという造語。コースで打たなければわからないと試打ラウンドだけで年間50ラウンド以上しているロマン派ゴルフ作家が、瞑想、妄想、迷走…… 徒然なるままにゴルフを想い、語るというお話。
配信日時:2021年6月4日 06時00分
新車効果って何?
「新車効果だよなぁ……」
新しいクラブをデビューさせて、絶好調のライバルを横目に見ながら呟くセリフです。本人の腕前がランクアップしたのではなく、新しい用具の新車効果だと信じたいというのも、ゴルファー心理のあるある話です。
新車効果という言葉は、元々は自動車業界用語でした。新車が発売されると、自動車の売り上げが一時的に上昇する現象のことです。
ゴルフで新車効果が使用され始めたのは、一昔前のことで、意味は全く違います。
新しいクラブなどの用具を使うと、しばらくの間、『新しくして良かった!』と小躍りしたくなるほど、ゴルフの調子が良くなる現象が、ゴルフにおける新車効果です。
この新車効果は、一定期間を過ぎると消えます。『新車効果よ、永久に!』という願いが叶わなかったゴルファーは「魔法が解けてしまった」と天を仰ぐというわけです。
新車効果は、ある程度ゴルフをしている人たちの間では有名です。しかし、一時の夢に過ぎないのだからと、新しいクラブの機能や効果を馬鹿にするゴルファーはほとんどいません。今日もどこかで、この瞬間も、新しいゴルフ用具を期待に胸を膨らませて購入しているゴルファーがいるのです。
新しいクラブをデビューさせて、絶好調のライバルを横目に見ながら呟くセリフです。本人の腕前がランクアップしたのではなく、新しい用具の新車効果だと信じたいというのも、ゴルファー心理のあるある話です。
新車効果という言葉は、元々は自動車業界用語でした。新車が発売されると、自動車の売り上げが一時的に上昇する現象のことです。
ゴルフで新車効果が使用され始めたのは、一昔前のことで、意味は全く違います。
新しいクラブなどの用具を使うと、しばらくの間、『新しくして良かった!』と小躍りしたくなるほど、ゴルフの調子が良くなる現象が、ゴルフにおける新車効果です。
この新車効果は、一定期間を過ぎると消えます。『新車効果よ、永久に!』という願いが叶わなかったゴルファーは「魔法が解けてしまった」と天を仰ぐというわけです。
新車効果は、ある程度ゴルフをしている人たちの間では有名です。しかし、一時の夢に過ぎないのだからと、新しいクラブの機能や効果を馬鹿にするゴルファーはほとんどいません。今日もどこかで、この瞬間も、新しいゴルフ用具を期待に胸を膨らませて購入しているゴルファーがいるのです。
新しいものは何でもワクワクする
ゴルフは用具を使用するゲームです。身体1つでゴルフをしようとしても、クラブ1本、ボール1個があってこそであり、用具なしではゴルフは出来ないのです。
ゴルフの面白さはいくつもありますが、その大きな要素の一つは、用具をゴルファー自らが選択できることにあることです。
飛ばすためのクラブ。ターゲットを狙うクラブ。寄せるためのクラブ。入れるためのクラブ。それぞれの機能を補完するボール。細かいアクセサリーは、手袋、ティーなど、こだわり出せばキリがありません。
もちろん、使用する本人が持っている腕前という技術も無視は出来ませんが、究極の腕前を持っていても、用具が悪ければ、その腕前をフルに発揮することは不可能なことも事実です。
ゴルフをすればするほど、用具の重要性は増していきます。ゴルフ用具は、日進月歩で進化をし続けています。世間でいう最先端の素材やテクノロジーをゴルフ用に転用して、ゴルファーの夢を実現するために研究開発は止まりません。
ゴルフショップにいた頃、次々に出てくる新商品のたびに、更に良くなった、というセールストークを言わされることに疑問を持った優秀な新入社員から聞かれたことがあります。
「僕たちの仕事って、詐欺と同じじゃないでしょうか?」
もっともな疑問です。彼が優秀で、純粋な証拠でもありました。
「俺らは、夢を売っているんだ。夢を買ったお客様の笑顔、夢が叶ったときの笑顔。それが全てだ」
と僕は答えました。
ゴルフ用具はロマンが詰まっています。夢を叶える可能性が搭載されています。売るほうも、買うほうも、それを理解した上で成り立つ、ファンタジーな世界です。
新しい用具は、どんなものでも、それを使う直前までは夢を見ることができます。使うときもワクワクします。発売されたばかりの最先端の新しいクラブは文字通り新製品ですが、10年前の最先端のクラブを中古ショップで購入しても、そのゴルファーが初めて使うなら、それは最先端の新製品です。ワクワクは、一緒なのです。
そして、それは、プラスか、マイナスかは別として、自分のゴルフに間違いなく影響します。自らの技術を磨くのには限界がありますから、用具で足りない部分を補填するのが、現代のゴルファーのゴルフのやり方なのです。
ゴルフの面白さはいくつもありますが、その大きな要素の一つは、用具をゴルファー自らが選択できることにあることです。
飛ばすためのクラブ。ターゲットを狙うクラブ。寄せるためのクラブ。入れるためのクラブ。それぞれの機能を補完するボール。細かいアクセサリーは、手袋、ティーなど、こだわり出せばキリがありません。
もちろん、使用する本人が持っている腕前という技術も無視は出来ませんが、究極の腕前を持っていても、用具が悪ければ、その腕前をフルに発揮することは不可能なことも事実です。
ゴルフをすればするほど、用具の重要性は増していきます。ゴルフ用具は、日進月歩で進化をし続けています。世間でいう最先端の素材やテクノロジーをゴルフ用に転用して、ゴルファーの夢を実現するために研究開発は止まりません。
ゴルフショップにいた頃、次々に出てくる新商品のたびに、更に良くなった、というセールストークを言わされることに疑問を持った優秀な新入社員から聞かれたことがあります。
「僕たちの仕事って、詐欺と同じじゃないでしょうか?」
もっともな疑問です。彼が優秀で、純粋な証拠でもありました。
「俺らは、夢を売っているんだ。夢を買ったお客様の笑顔、夢が叶ったときの笑顔。それが全てだ」
と僕は答えました。
ゴルフ用具はロマンが詰まっています。夢を叶える可能性が搭載されています。売るほうも、買うほうも、それを理解した上で成り立つ、ファンタジーな世界です。
新しい用具は、どんなものでも、それを使う直前までは夢を見ることができます。使うときもワクワクします。発売されたばかりの最先端の新しいクラブは文字通り新製品ですが、10年前の最先端のクラブを中古ショップで購入しても、そのゴルファーが初めて使うなら、それは最先端の新製品です。ワクワクは、一緒なのです。
そして、それは、プラスか、マイナスかは別として、自分のゴルフに間違いなく影響します。自らの技術を磨くのには限界がありますから、用具で足りない部分を補填するのが、現代のゴルファーのゴルフのやり方なのです。
新車効果を利用しよう
僕もゴルフ始めてすぐに、新車効果を体験しました。そして、新しい用具というのはそういうものなのだと考えて、長い時間が経過しました。
新車効果の真相を完全に理解するようになったのは、新製品の試打ラウンドをするようになった最近のことです。
新しい用具を使うときに、ゴルファーは知らず知らずに、慎重になります。それは、少し加減をしたり、感覚が敏感になったり、良いストロークになるような工夫をするものなのです。結果として、そのゴルファーが持っている癖や悪い部分が影を潜めて、絶好調のゴルフになることがあるのです。
試打ラウンドの際も、その用具の特性を知ろうと、予測した結果に合わせて打ってみたり、自分が確実に出来ることに特化してプレーします。ミスヒットでは、わからないことがあるからで、順調にいけば、途中でワザと芯を外したりすることもあります。
試打ラウンドは、まさに、毎回が新車効果のゴルフそのものなのです。僕のゴルフは、そのお陰で、高レベルで維持できるようになりました。無理をせずに、自分の悪い癖を抑えて、敏感な感覚でボールを打つのですから、ある意味で理想的なのです。
新製品が続くと、自分のクラブを打てない期間があります。久しぶりに自分のクラブを打つときも、常に、新車効果があるという副産物の恩恵も受けています。
一般のゴルファーが、新製品試打をする機会を得るのは難しいので、無理だとしても…… 新車効果を利用して、自分の絶好調なゴルフを引き出すことは誰でも可能です。
一つには、時々、新しいボールを使って、それの性能をチェックしてみようとすることです。敏感に打ち応えを確認しようとすることと、どんな弾道が出るかを、徐々に理解しようとすることを意識すれば、自然に慎重になります。それ以上を望まないことです。出た結果が全てだと考えることをマストにするのがコツです。自分の使用球に戻すときも、同じように意識します。
出来ることの内側で余裕を持ってゴルフが出来れば、ゴルフはとても簡単です。多くの場合、もっと出来るぞ、という悪魔の囁きに騙されて、自分のゴルフの外側に外して挑戦してしまうことで、失敗を繰り返してしまうのです。
新車効果を理解して、利用することで、自分のゴルフを高めるられる可能性があります。ゴルフは、本当に不思議で、奥深いものだと、こういうケースに遭遇するたびに感動したり、戸惑わされたりします。ゴルフ歴40数年。のりしろが、まだまだたくさんあることは、嬉しくもあり、恥ずかしくもあります。それもまた、ゴルフの楽しさなのだと、最近、よく思うのです。
新車効果の真相を完全に理解するようになったのは、新製品の試打ラウンドをするようになった最近のことです。
新しい用具を使うときに、ゴルファーは知らず知らずに、慎重になります。それは、少し加減をしたり、感覚が敏感になったり、良いストロークになるような工夫をするものなのです。結果として、そのゴルファーが持っている癖や悪い部分が影を潜めて、絶好調のゴルフになることがあるのです。
試打ラウンドの際も、その用具の特性を知ろうと、予測した結果に合わせて打ってみたり、自分が確実に出来ることに特化してプレーします。ミスヒットでは、わからないことがあるからで、順調にいけば、途中でワザと芯を外したりすることもあります。
試打ラウンドは、まさに、毎回が新車効果のゴルフそのものなのです。僕のゴルフは、そのお陰で、高レベルで維持できるようになりました。無理をせずに、自分の悪い癖を抑えて、敏感な感覚でボールを打つのですから、ある意味で理想的なのです。
新製品が続くと、自分のクラブを打てない期間があります。久しぶりに自分のクラブを打つときも、常に、新車効果があるという副産物の恩恵も受けています。
一般のゴルファーが、新製品試打をする機会を得るのは難しいので、無理だとしても…… 新車効果を利用して、自分の絶好調なゴルフを引き出すことは誰でも可能です。
一つには、時々、新しいボールを使って、それの性能をチェックしてみようとすることです。敏感に打ち応えを確認しようとすることと、どんな弾道が出るかを、徐々に理解しようとすることを意識すれば、自然に慎重になります。それ以上を望まないことです。出た結果が全てだと考えることをマストにするのがコツです。自分の使用球に戻すときも、同じように意識します。
出来ることの内側で余裕を持ってゴルフが出来れば、ゴルフはとても簡単です。多くの場合、もっと出来るぞ、という悪魔の囁きに騙されて、自分のゴルフの外側に外して挑戦してしまうことで、失敗を繰り返してしまうのです。
新車効果を理解して、利用することで、自分のゴルフを高めるられる可能性があります。ゴルフは、本当に不思議で、奥深いものだと、こういうケースに遭遇するたびに感動したり、戸惑わされたりします。ゴルフ歴40数年。のりしろが、まだまだたくさんあることは、嬉しくもあり、恥ずかしくもあります。それもまた、ゴルフの楽しさなのだと、最近、よく思うのです。
【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家・ゴルフギアライター。ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、現在はゴルフエッセイストとして活躍中。
ALBA 815号 最新号はこちらから!
連載
ロマン派ゴルフ作家篠原の “今日も打打打坐”