それだけではない。「スコットランドの蒸溜所を訪れたことがあるんだ。そこで驚かされたのは、生産される過程と作業。マスターブレンダーであるマイケル・ヘンリーが完成度へ費やす時間は、信じられないものだった。ゴルフで完璧を求めるのは難しいが、彼らは完璧なウイスキーを求めていた」。ここで造られたウイスキーは、大きくクラークの心をつかんだ。

クラークがウイスキーを好んで飲むのは「特別な時」。そんな特別な時だからこそ飲みたいのが最上級のウイスキー。「ロッホローモンドはまさにそのときにふさわしいウイスキー」。自身の記念ボトルを見ながら笑顔が止まらない。好みは少しの加水。原酒が持つ複雑な味がより一層引き立つ飲み方。裏に隠されたフレーバーまでもが最上級の香りと味を放つ。

今年、クラークは思い出の地で行われる大会に出場する。それは歴代チャンピオンに許される特権だ。大会中はまさに記念すべき時間。未来永劫、2011年のチャンピオンゴルファーとして称えられるからだ。「自分が出ていなかったとしても、最高のトーナメントであり、最高のメジャー大会」。そう話すが、52歳のクラークにとって、60歳までは出場が約束されている。まさに人生において特別な場だ。

149回目の大会を前にウイスキーとゴルフを語ってくれたクラーク。「セントジョージズではティショットがカギを握る。そしてミスショットを受け入れなければならない。メンタルの強さが試されるんだ」。世界一過酷なリンクスゴルフに立ち向かうクラーク。4日間の激闘を終えたとき、特別な時間を迎えるのは、今年もロッホローモンドだ。