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    打打打坐 第65回【オマエはすでに負けている】

    打打打坐(ちょうちょうだざ)とは、打ちまくって瞑想の境地に入るという造語。コースで打たなければわからないと試打ラウンドだけで年間50ラウンド以上しているロマン派ゴルフ作家が、瞑想、妄想、迷走…… 徒然なるままにゴルフを想い、語るというお話。

    配信日時:2021年7月16日 06時00分

    • ゴルフライフ
    目次 / index
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    プレー前からゴルフは始まっている

    毎日、日中に何度も天気予報を見ます。
    直近に行く予定のゴルフコースのピンポイント天気予報を確認するのです。2日前ぐらいからは1時間ごとの予報も出るので、それもじっくりと見ます。
    僕の中でそれは、占いのようなになっていて、ラッキーとアンラッキーを確認している感覚です。

    天気予報のチェックは、習慣になっています。実を言うと、天候に云々よりも、カウントダウンとして機能しているのです。

    3日前になると、ボールなどの消耗品が足りているかを思いだします。ちゃんとチェックをすれば良いのですが、前のラウンドを思い起こすことは、準備として有意義だったりするので、一石二鳥です。
    足りないものがあれば、補充してクローゼットの中の手荷物用のカートバックに入れておきます。
    同伴者への連絡が必要な場合は、連絡をします。

    ゴルフの内容的に不安があるときは、3日前からシャドースイングをしたり、アドレスのチェックをしたりもします。

    2日前になると、時間ごとの天気予報が出て、予報の精度も上がりますので、天候や気温を想定して服装と装備を考えます。

    前日は、準備不足がないかを最終チェックしながら、ゴルフモードに気持ちを上げていきます。
    ゴルフモードになっていくほど、落ち着いて、心静かになるのが理想です。フワフワした気分では、僕の場合は、ゴルフモードにはなりません。

    準備万端であろうが、準備不足で危険一杯であろうが、時間は止まってくれませんので、ゴルフの日は訪れます。

    「前の日まで、忙しくて忘れていたよ」というセリフは、ゴルフの朝の言い訳のあるあるです。実際に、そうである人もいますし、準備万端を隠すための照れである人もいます。ゴルファーというのは、本当に厄介な生き物です。

    ゴルフの当日だけではなく、その前からゴルフは始まっていると考えると、ゴルフの楽しさが増すだけではなく、色々とお得だと断言できます。
    誰に遠慮することなく、自分だけのためで良いので、ゴルフの準備について考えてみようというのが今回のテーマです。

    ギリギリを狙うのは最後の手段

    前日までの準備は、僕のようにゆとりたっぷりのペースで進めるのが正解とは言えません。3日前からでは、精神的なスタミナが持たないという人もいますし、落ち着くどころか、興奮が高まりすぎてマイナスになる人もいます。
    ゴルフの内なのだと考えて、色々と試しながら自分のペースを見つけましょう。

    そういう意味で、マストであるはずの準備ができていない人が多い、当日の話をしましょう。
    スタートのどれくらい前に、コースに着きますか?

    一昔前まで、ゴルフを始める人用のマニュアル本でも、スタートの1時間前にはコースに到着しましょう、と書かれていました。
    1時間あれば、道中に事故や渋滞などのトラブルがあっても、どうにかなる可能性が上がるからです。

    実際、スタートの45分前までにフロントでサインインしていなければ、スタート時間が最終組の後ろに回されるという決まりがあるゴルフコースは、2021年現在でも少数ですが存在しています。
    プレーヤーの準備だけではなく、バッグを組ごとに積み込んだり、キャディーがそれぞれのバッグの中身を確認し、記録をしたりするための時間が必要だからです。

    「こんな当たり前のことを決まりにしなければならないとは、何という時代なのだ」と嘆くオールドゴルファーもいます。
    同じオールドゴルファーでも、「スタート時間の15分前なら、100%スタートに間に合うのに、大袈裟で、無駄な決まりだ」と苦言を呈するケースも、最近ではあると聞きます。

    初心者のマニュアルに、スタート時間の1時間以上前にコース到着は常識です、と載せなくなった背景も、待ち時間を無駄な時間だと嫌う偉い人が増えて、彼らを否定しないように忖度しているからです。

    他人に迷惑をかけても平気なのであれば、ギリギリの時間で、無駄がない予定を強行するのも問題ないことなのかもしれません。また、単なるスポーツや遊びであれば、公平という概念で判断しても良いかもしれません。
    しかし、ゴルフは特別な文化を伴うゲームです。
    他者に迷惑をかける可能性を排除するために、自らが我慢をする美学がゴルフの神髄でもあります。

    スタート1時間以上前に、コースに到着するというのは準備の基本の基本です。

    例外があるとするなら、トップスタートの30分前にならなければ、フロントが受付できないというコースにトップスタートで行くときぐらいだと思います。

    個人的な体験で書くと、ギリギリ派の人たちは、プレー中の判断でも自分の都合でジャッジすることが多く、良いスコアと悪いスコアの差が激しい傾向があったり、無自覚に自己中心的というレッテルを背中に貼られているケースが多いような気がします。
    そういうことを恥ずかしいと感じる感性があるなら、少しの我慢で、結果的にたくさんの恩恵を受けられるのだから余裕を持つように改心するほうが良いと思います。

    恥ずかしいなんて、欠片も感じないという人にかける言葉はありません。

    ゴルフでは、やむを得ずギリギリの選択をしなければならないときがあります。
    しかし、それは最後の手段なのです。
    他の選択肢があるのに、ギリギリの選択肢ばかりを選ぶゴルフは、真剣なほど笑えるので愛嬌はありますが、本人が望んでいないことが多く、ゴルフの悲喜劇の典型的なパターンなのです。

    ギリギリの選択肢は最後の手段だと自覚するだけで、ゴルフの面白さに開眼する人もいます。

    真夏のゴルフは準備で乗り越える

    ゴルフは準備のゲームだと偉そうに書いていますが、生まれつきのおっちょこちょいと、チェック能力の欠如で、うっかり忘れることがよくあるのです。

    先日は、雨ゴルフの準備に気を取られて、夏ゴルフの装備を準備せずにコースに行ってしまいました。
    雨という予報は当たらずに、曇り、時々、晴れでした。ラッキーと喜んだのも束の間、高温多湿で熱中症になりかけました。
    夏ゴルフの装備のほとんどは家のクローゼットの中でした。

    夏は危険なので、ゴルフをしないという人もいますが、準備という部分にフォーカスすると夏ゴルフは準備で勝負が出来る面白さがあるのです。

    最高に暑い日の僕の夏ゴルフの準備は、氷で中を冷やせる水筒と冷えた麦茶から始まって、冷たくなるタオル、コールドスプレー、氷嚢、扇風機……
    大袈裟すぎて、笑えるところも大事なのです。ニコニコしながら実験するのです。ゴルフが出来るだけでも最高なのに、準備したものの効果を確認できる楽しさもあるなんて、なんという贅沢なのでしょうか。

    僕は夏ゴルフにドクターストップがかかっていることもあって、早朝という特別な時間にプレーすることで、少しでも涼しくゴルフが出来るようにしています。それも一つの準備で、自分にとって最重要でマストなことです。

    僕の夏ゴルフの準備は、極端な例で、ある意味で変態でもありますので、あまり参考にならないかもしれませんが、準備をしっかりとするゴルフは、実力を発揮しやすくする土台を整えるのです。

    ゴルフのスコアアップが段飛ばしで出来るのは、初級者の頃までで、中級者からは努力の量と比較するとうんざりする伸び率だったりします。
    そういうときほど、土台をしっかりさせることで、実力の底上げが大事になるのです。準備を怠らないことで、土台を安定させられれば、準備を運任せにしていることで起きてしまう調子の波の乱高下を防げます。

    準備を大事していると、他者からは余裕があるゴルファーに見えるのです。
    それは、自分のゴルフに間違いなくプラスとなります。できれば、やったほうが良いに決まっています。

    朝、スタート前のゴルフコースで、ゴルファーたちを観察することがよくあります。
    トレンドを知る意味もありますが、本当のギリギリで到着して、慌てふためいて、ドタバタしているゴルファーのピエロのような様子を見て、自分の余裕と優位を確認できるからです。

    スタート前のドキドキは不安をエネルギーにしていますので、そういうラッキーな時間を過ごせれば、不安は最小になり、普段通りにスタートできるのです。

    兎にも角にも…… スタート時間のどのくらい前にコースに行くのかを再考してみることをオススメします。

    【著者紹介】篠原嗣典

    ロマン派ゴルフ作家・ゴルフギアライター。ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、現在はゴルフエッセイストとして活躍中。
    連載

    ロマン派ゴルフ作家篠原の “今日も打打打坐”

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