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    異常気象のため甚大な水害が起きている日本列島 ゴルフシーズンを前にゴルフ場では?

    例年以上の豪雨に見舞われた今年の夏。そして9月も台風シーズンが続く。この時期、ゴルフ場が考えていることは。

    配信日時:2021年9月3日 02時30分

    • ゴルフライフ
    「20年に1度、30年に1度の、経験したことのないような災害の危険性が迫っています。すぐに安全なところに避難して下さい」。テレビからこんなアナウンサーの声が流れ続けたのが8月の中旬。台風シーズンの到来を前に、今年も異常気象に伴う水害が早くも列島の各所にダメージを与えている。ゴルフ場も例外ではない。

     全国に169コースを展開するアコーディア・ネクストゴルフグループのひとつである佐賀県の花祭ゴルフ倶楽部もそのひとつだ。「アウトコースに被害が大きく、現段階ではインコースのみの営業となっており、18ホールプレーのお客様にはインを2度回っていただいています」(アコーディア・ゴルフ広報)。同グループのコースでは被害の大きかった地域である長崎のハウステンボスカントリークラブや広島安佐ゴルフ倶楽部(広島)などもクローズとなったが、現在は営業を再開しているという。

     関東でも、河川敷では冠水したコースが少なくない。茨城の古河ゴルフリンクスは8月15日から6日間クローズ。21日から、乗用カートのフェアウェイ乗り入れも同時に再開した。再開までの手際の良さは、年平均2.6回も冠水し、その度に再開にこぎつけている経験値の高さから来るものだろう。「今回は短時間で大量に降ったわけではないため、ヘドロが少なかったこともあります。平成11年には中土手を1.2メートルから2.5メートルの水位にも耐えられるようにかさあげもしています」。今回は上水(うわみず)がきれいだったため作業もスムーズだったという。同じ時期にフェアウェイも芝をティフトンに替えており、グリーンも品種改良を重ねた第5世代のベント芝であるDC-1を採用し、対策を施していることも見逃せない。

     埼玉県吉川市のKOSHIGAYA GOLF CLUB(PGM)は15日から21日までのクローズだったが、関係者は再開に向けて慎重を期していたという。「コースの状況がある程度お客様に提供できる状況にならないと、再開はしないです。ヘドロやごみを除去したうえで再開しないと、口コミが悪くなるんで、そこは気にしています。ウチでいうと富貴ゴルフ倶楽部や川越グリーンクロス(ともに埼玉)、クリアビューゴルフクラブ(千葉)なども含めて、冠水しやすいゴルフ場は、お客様に提供できるようにきれいにしてから再開するようにしています」(PGM広報グループ担当者の話)。

     これはアコーディアグループのノーザンカントリークラブ錦ヶ原ゴルフ場(さいたま市西区)の関係者も同じ意見。「フェアウェイを万全の状態に仕上げただけではダメ。ラフにヘドロが溜まったままだと、雨が降った時にラフの高さの分だけぬかるみになり、ズブズブになって沈んでしまう。ラフの部分もしっかりヘドロを除去しないと、快適なプレーが提供できず、お客様に不快な思いをさせてしまいます」と、話す。ネットで予約する時代だけに、中途半端な状態であわてて再開してしまうと、コースの評判はがた落ちになるだけに、万全な状態までコースを仕上げる必要に迫られてもいるわけだ。
    ノーザンカントリークラブ錦ヶ原ゴルフ場。43ホールで営業の最後の日は、手引きカートのプレーもこの日限りとあって、名残惜しそうにプレーする姿が見られた(写真・清流舎)

    ノーザンカントリークラブ錦ヶ原ゴルフ場。43ホールで営業の最後の日は、手引きカートのプレーもこの日限りとあって、名残惜しそうにプレーする姿が見られた(写真・清流舎)

     ちなみに43ホールの大型ゴルフ場だった同コースだが、9月1日からは25ホールに縮小されてしまう。実はこれもまた、異常気象による水害がもたらした結果である。荒川の治水事業のため、河川敷で営業している4コースが用地の一部を返却せねばならなくなった。工事の関係でノーザンCCは他の3コースより早く、今年の10月末までに原状回復して返却することとなり、8月いっぱいで18ホールが閉鎖されることとなったのだ。 さいたま市、川越市、上尾市の荒川左岸760ヘクタールに調整池を作り、台風などで増水した場の水位上昇を抑えることが今回の目的。すでに2018年からスタートした事業期間は13年間と長く、総事業費も1670億円と大きい。43ホールの営業が最後の日となった8月31日も、平日にもかかわらず多くのゴルファーがノーザンCCを訪れていた。

    激甚災害が増えている今、治水事業となれば用地返却もやむなしというムードも少なからず感じられた。最善の道は激甚災害の原因とされる気候温暖化を食い止めること、ということになるのだろうが……。その道のりは長く、重いテーマであることは確かだ。

    (日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川朗)

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