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    朝日杯と信夫杯がなくなる? 大学ゴルフの伝統ある大会が消滅危機!

    朝日杯と信夫杯がなくなる? 大学ゴルフの伝統ある大会が消滅危機!

    配信日時:2021年10月6日 13時00分

    • ゴルフライフ
    2021年で68回目(女子は24回目)を迎える朝日杯と、65回目(女子は22回目)となる信夫杯(しのぶはい)ゴルフ対抗戦が、来年の日程から姿を消すことが明らかになった。
    金谷拓実も活躍した伝統ある大会が消滅の危機にある

    金谷拓実も活躍した伝統ある大会が消滅の危機にある (撮影:ALBA)

    朝日新聞社が来年以降の両大会の主催を返上する旨、共催の日本学生ゴルフ連盟(以下学連)に申し入れたのである。すでに「来年からは大会名称を使用しないことでも、先方とは合意しています」(朝日新聞社オリンピック・パラリンピックスポーツ事業部)と明言。朝日新聞社側は主催返上の理由として「すでに一定の役割を終えた」ことを挙げている。

    朝日杯はその名のとおり、朝日新聞社が創設した学生ゴルフの個人戦。終戦から8年後の1953年に戦後の学生ゴルフの復興を目指してスタートした。信夫杯も、1955年に当時朝日新聞社の専務だった信夫(しのぶ)韓一郎氏が米国の学生ゴルフを参考に、団体戦重視を掲げて始めている。そして学生ゴルフの団体戦では最古の大会として、数々のドラマを生み出してきた。

    第1回から第10回大会までは甲南大の黄金時代。アマチュアながらプロを抑えて優勝を飾った伝説の名手・中部銀次郎を擁して10大会中7大会制覇と、圧倒的な強さを誇った。第11回大会からは竹田昭夫監督率いる日本大学が7連覇。8連覇こそ甲南大に阻止されたが第19回大会から破竹の25連覇という偉業を達成している。

    その間、常勝軍団と呼ばれた日大からは倉本昌弘、湯原信光、川岸良兼、丸山茂樹ら、のちにプロゴルフツアーで活躍するスター選手が続々と誕生した。その日大の連勝街道にストップをかけたのが「みちのくの怪童」と呼ばれた星野英正を擁する東北福祉大。その後も池田勇太、谷原秀人、松山英樹、金谷拓実らを輩出し、現在も日大とともに強豪校として学生ゴルフ界をリードする存在だ。

    9月26日の男子ツアー「パナソニックオープン」(城陽CC・京都府)で史上5人目のアマチュア優勝を果たした中島啓太(日体大3年)も、1年時からこの大会に出場。昨年はコロナの感染拡大を予防するため大会そのものが中止となったが、今年の大会にも日体大の代表メンバーとして参加する。

    今年の舞台は千葉カントリークラブ梅郷コース。第68回朝日杯争奪日本学生ゴルフ選手権・第24回同日本女子学生ゴルフ選手権が10月26日から、第65回信夫杯争奪日本大学ゴルフ対抗戦・第22回同日本女子大学ゴルフ対抗戦が28日から、それぞれ2日間の日程で行われる予定になっている。しかしそれも今年で最後。多くの有名選手が王座に就き、大学ゴルフ史に歴史を刻んできた伝統ある二つの大会が消滅することは、寂しい限り。日大の中心選手としてかつて同大会でも活躍し、現在は監督として東京国際大を率いる湯原信光も「違う名称になっても、何らかの形で同じ時期に大会を行ってほしい」と訴えていた。

    確かにこのまま朝日杯と信夫杯が消滅して新しい大会も生まれないとなっては問題だが、どうやらそうした最悪の事態は避けられそうな風向きだ。朝日新聞社とともに大会を主催してきた学連の黒須一雄会長は「(朝日杯、信夫杯に代わる)新しい大会を検討しています。たとえば3日間の団体戦などを新たに開催する方向で、理事会で話し合っていきたいと思います」と語った。

    学生ゴルフのシンボル的な2大会が消滅することにはなるものの、貴重な団体戦の場が残されることは唯一の救いといえそうだ。

    (ゴルフジャーナリスト・小川朗)

    ※最初に配信した写真のキャプションに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
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