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    打打打坐 第78回【ゴルフと18の関係】

    打打打坐(ちょうちょうだざ)とは、打ちまくって瞑想の境地に入るという造語。コースで打たなければわからないと試打ラウンドだけで年間50ラウンド以上しているロマン派ゴルフ作家が、瞑想、妄想、迷走…… 徒然なるままにゴルフを想い、語るというお話。

    配信日時:2021年10月15日 06時00分

    • ゴルフライフ
    目次 / index
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    18といえばゴルフ?

    18という数字でイメージするものは何ですか?
    というアンケートをしたことがあります。

    青春。エースナンバー。
    この二つの回答の合計が過半数を占めました。

    JRにも青春18きっぷがありますし、18歳は青春ど真ん中ということで、青春というイメージはわかりやすいわけです。エースナンバーは、昭和世代のイメージかもしれません。一昔前まで、プロ野球のエースピッチャーは背番号18ということが多かったのです。エースというのは、アイドルグループのセンターのようなもので、代表選手です。

    ちなみに、ゴルフ、という回答は、約300回答の中に2サンプルしかありませんでした。ゴルフをする人が多い対象者のアンケートであれば、18でゴルフを連想する回答は増えたのだと思います。

    18という数字は、リトマス試験紙のような意味合いを持っています。ゴルフをする人は、ホール数ということで、『18=ゴルフ』というスイッチを持っているからです。

    普段の生活の中で、18を一つの単位としたものはほとんどありません。強いて似ているものを探しても、1升が1.8リットルというぐらいです。だから余計に、18=ゴルフという関係は強固になるのです。

    18ホールの神話

    ゴルフをする人であれば、どうして、ゴルフは18ホールを1ラウンドとしているのか、という疑問を持ったことがあるはずです。色々なロマンチックなおとぎ話もありますが、史実として用地問題を解決した結果だったという明確な理由もわかっています。
    ※参考:打打打坐 第15回 【18ホールがある幸せ】

    正しい歴史を知った上ですら、気付け薬代わりに持参したウイスキーがなくなったホールが、色々な意味で、ちょうど良かったというお話にロマンを感じてしまいます。ゴルファーは、誰でもロマンチックな心を持っているのです。

    というのは、もし、ゴルフが18ホールではなかったら、これほどまでに世界中でプレーされることはなかったと思うときがあるからです。

    ゴルフをすればするほど、18ホールという数の絶妙さに感心させられます。ゲームを成立させるのに十分であり、流れを楽しむ程良い数で、もう少しやりたいと切なくさせる数字でもあります。

    多くのゴルファーが基準として考える100ストロークという数字も、18ホールだから成り立つのです。もし、20ホールだったら、100切りは現在の90切りよりも難易度が高くなるので、やる気を失ってしまうケースが続出するはずです。

    逆に、12ホールだったら、100切りは51オーバーで可能で、全ホールトリプルボギーでも楽々達成となるので価値が低いものになってしまいそうです。

    ゴルフは18ホール、ということを先人たちが決めた瞬間が、ゴルフにとって運命の一瞬だったのです。もちろん、そこに緻密な計算があったわけではなく、偶然と必然と直感が絡み合ってのことだと思いますが、だからこそ、現代の僕らは18という数字に特別なイメージを抱くのだと信じたいと思います。

    愛しのホームホール

    1番ホールをスタートホールと呼ぶ人はたくさんいますが、18番ホールには、ホームホールという愛称があることを知っている人は少数です。ゴルフのゴールは、ホームなのです。

    生涯で500人以上の初心者と一緒にプレーしてきましたが、最終ホールのティーでの反応で、いつの間にか、将来がわかるようになりました

    「やっと終われる」
    という感想の人は、初級者となり、多少は熱中しても、ほんの些細なきっかけでゴルフをやめてしまうのです。

    最初のラウンドで、ゴルフ嫌いになる人は、ごく少数だけで、ほとんどの人は継続しようと考えるものですが、継続に向けての道には、見えない関門のようなものがいくつかあって、熱意がなければ、その関門は突破できないようなのです。

    「え? もう終わりですか?」
    という感想の人は、ほとんどが何年か先に、成長したゴルファーとして再会できたりします。

    始めから夢中になっている証拠のセリフが、もう終わり? であり、もっとやりたい、という強い熱意が、すでに燃えていることの証でもあるのです。関門などには気が付かずに、ゴルフを続ける道を突き進むのです。

    僕も最初のラウンドで、18番ホールが来たときに、悲しくてしかたなかったことを覚えています。もっとやりたい、どころか、ずーっとゴルフをしていたい、と真剣に思いました。この素晴らしい時間が、あと少しで終わってしまうという切なさで、泣きそうでした。

    50歳を過ぎて、半分ぐらいは仕事絡みでゴルフをしているとはいえ、何に十数回は、ホームホールで終わってしまう切なさでしんみりします。気を許せる仲間と楽しいゴルフをしているときです。永遠に続けば良いのに、と心から想うのです。

    色々な考え方もあり、諸々の事情もあるので、正解はない話なのですが、個人的にはホームホールは困難であるべきだと考えています。失敗すれば、リベンジに燃えますし、困難を乗り越えて納得のスコアであれば、喜びは何倍にもなるからです。

    ただやさしいだけのホームホールも良いですが、厳しさの中に愛があるホームホールが大好きです。

    ホームホールを意識してゴルフをしてみると、ゴルフが締まるものです。熟練のゴルファーほど、ホームホールについての一家言があるものですから、尋ねてみる楽しみもあります。

    もちろん、何年経っても、「もう終わり?」とフレッシュな感覚のままのゴルファーも否定はしません。むしろ、羨ましいとすら思います。ホームホールで感じる切なさはの起源は「もう終わり?」という残念な気持ちだからです。

    愛しのホームホールは、その日の締めであり、次のゴルフへのステップでもあります。終わり良ければ、なんとやらです。その日の集大成でも良し、リセットしてでも良しです。最後の最後まで楽しめるのもゴルフの素晴らしい一面なのです。

    【著者紹介】篠原嗣典

    ロマン派ゴルフ作家・ゴルフギアライター。ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、現在はゴルフエッセイストとして活躍中。
    連載

    ロマン派ゴルフ作家篠原の “今日も打打打坐”

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