ふるさと納税自動販売機がゴルフ場で大人気 プレー補助券をゲットするゴルファー急増中!
ふるさと納税自動販売機がゴルフ場で大人気 プレー補助券をゲットするゴルファー急増中!
配信日時:2022年2月7日 10時30分
静岡県御殿場市の富士平原ゴルフクラブでは、昨年12月1日からこの自動販売機を導入。免許証の読み取りなどの手続きで入金すると、返礼品として寄付金の3割以下のプレー補助券がもらえる。簡単なタッチパネル操作でふるさと納税が出来てしまう手軽さと、その場で返礼品である補助券が受け取れ、すぐに使えるお得感がウケて、わずか2カ月で250件の寄付金が集まった。
ふるさと納税の自動販売機ってこんな感じ【動画】
ふるさと納税とは、応援したい自治体に寄付ができる仕組みのこと。寄付金は税金の還付・控除が受けられ、手続きをすれば実質自己負担額は2000円のみ。自治体からは返礼品も受け取れる制度(※)であることはご存じの通り。
「5分程度の操作で済みますし、出てきたレシートをフロントで割引券に交換できます。1口1万3500円の寄付に対し、4000円の利用券をお出ししています。それを当日すぐに使えるので『便利になったね』というお客様の声はよく聞きます。メンバーさんでは10口買われる方が多いですが、ビジターの方は1口か2口の方が多いです」(同コースの鈴木幹男支配人)。税控除に必要な書類は後日郵送されてくる。
この自動販売機はグローキーアップ(株)が開発。2020年の12月に神奈川県湯河原町が湯河原カンツリー倶楽部に導入。さらに同県の松田町ではチェックメイトカントリークラブが2021年の5月22日に設置したのに続き、小田原ゴルフクラブ松田コースも設置。12月の1カ月間で、両コースからは合計700万円の寄付が集まったという。
先行した神奈川県のゴルフ場でこの自販機を利用したゴルファーからの問い合わせを受けた御殿場市は7月から準備をはじめ、12月1日に導入した富士平原GCを皮切りに太平洋御殿場ウエスト、小田原ゴルフ倶楽部日動御殿場コースの3コースに設置。ゴルフ特信(一季出版)によれば「12月31日までに計136件、1021万6600円の寄付金が集まった」という。
ちなみに令和2年に御殿場市に入ったふるさと納税額は11億9200万円。うち2600万円がゴルフ場5コースからの納税額だった。そのうちの3コースが令和3年の12月のみで1000万円を超えるふるさと納税を稼ぎ出したのだから、効果は絶大だ。ゴルフ場の所在する自治体にとっては、過剰な返礼品競争の果てに総務省からブレーキを掛けられ、頭打ちとなっていたふるさと納税の収入を回復させる「打ち出の小槌」にもなりそうな雲行き。前出のグローキーアップにはゴルフ場銀座をかかえる千葉県の自治体などから、続々と問い合わせが入っているという。ゴルフ場にとっても来場者に複数の利用券を手渡せるため、リピーターをダイレクトに増やせて集客効果が高い。自治体とのやり取りも一気に簡素化するメリットがある。
「自動販売機を設置する前は、御殿場市からFAXで注文書が来ていました。その数に応じた利用券をこちらで用意し発送していました。そうした費用と手間がカットできるのは大きいですね。自動販売機の設置によりこちらが負担するのは設置で生じる電気代ですが、売り上げに応じたキックバックが、少額とはいえあります。利用券分の代金は、もちろん自治体側から支払われます」(前出の鈴木支配人)。
「ゴルフをやる方にはメリットのある形だと思います」とグローキーアップ関係者が語るとおり、自動販売機のお得感をダイレクトに享受できるのはゴルファーだ。面倒な手続きはなく、タッチパネルの操作だけでその日を含めた割引券が受け取れる。特にこのふるさと納税制度「累進課税なので、所得が増えると限度額がすごく上がっていきます。たくさん税金を払っている人ほど、たくさんふるさと納税できます」(前出のメーカー関係者)。高額納税者ほど多くの寄付ができ、多くの返礼品をゲットできる仕組みでもあるため、高級コースに設置すればするほど、ゴルファーもゴルフ場も地元の自治体も潤う仕組みではあるのだ。
一方でゴルフと税金、といえばすぐに思い浮かぶのがゴルフ場利用税。そもそもゴルフ場利用税はゴルフ場にとってはゴルファーから預かり、それを集めて都道府県に届けるだけのもの。ただ目の前を通り過ぎていくのに手間ばかりかかるだけでなく、ゴルファーの予約意欲を削ぐため、税金を料金に潜り込ませた表示をしなければならない事情がある。コース側とすれば「撤廃してほしい」のが本音だ。
たとえば富士平原GCの場合、昨年の4月から今年1月までのゴルフ場利用税の合計は約3000万円。「2、3月で5000人程度の来場者でそのうち免税者が1000人程度を見込んでいますから、今年度は3300万円から3500万円程度になると思います」(前出・鈴木支配人)。実は富士平原GC、27ホールを抱えるコースとあって、御殿場市と隣の小山町にまたがり、両自治体に利用税を分配している。
ちなみに令和2年度には静岡県全体の92コースから21億5900万円が吸い上げられた。これが静岡県に3割、ゴルフ場のある市町村に7割が分配された。御殿場市に戻されたゴルフ場利用税交付金は1億5577万9000円で、小山町はそれを上回る1億7586万9000円。ゴルファーたちは両自治体の一般財源として、これだけの交付金をもたらしている。それだけに御殿場市長と小山町長は「ゴルフ場利用税を堅持する会」にも名を連ねており、毎年税調においてゴルフ場利用税撤廃派の訴えを跳ね返し続けているのもまた事実なのだ。
ゴルフ場利用税に限っていえば、総務省と地方自治体はゴルフ場とゴルファーに敵対する関係なのだが、このところは雲行きが変わってきている。ゴルフ場の数が減少傾向にある今、ゴルフ場がつぶれてしまえばゴルフ場利用税だけでなく固定資産税、さらにはゴルフ場周辺の雇用も喪失する。そうなっては元も子もないことを認識している兵庫県三木市や千葉県市原市などは、ゴルフ場と協調路線を歩み始めているのも事実だ。
たとえば富士平原GCでは、18ホールプレーするごとに950円を取られている。さらにプレー代や飲食代に10%の消費税もかかっている。ダブルで税金を取られているだけに、ふるさと納税の返礼品をしっかりいただいても、バチは当たるまい。(日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川朗)
※…住宅ローン控除などを受けている場合、控除額の上限が異なることもあるので、詳しくはお住いの市区町村にご確認ください。
ふるさと納税の自動販売機ってこんな感じ【動画】
ふるさと納税とは、応援したい自治体に寄付ができる仕組みのこと。寄付金は税金の還付・控除が受けられ、手続きをすれば実質自己負担額は2000円のみ。自治体からは返礼品も受け取れる制度(※)であることはご存じの通り。
「5分程度の操作で済みますし、出てきたレシートをフロントで割引券に交換できます。1口1万3500円の寄付に対し、4000円の利用券をお出ししています。それを当日すぐに使えるので『便利になったね』というお客様の声はよく聞きます。メンバーさんでは10口買われる方が多いですが、ビジターの方は1口か2口の方が多いです」(同コースの鈴木幹男支配人)。税控除に必要な書類は後日郵送されてくる。
この自動販売機はグローキーアップ(株)が開発。2020年の12月に神奈川県湯河原町が湯河原カンツリー倶楽部に導入。さらに同県の松田町ではチェックメイトカントリークラブが2021年の5月22日に設置したのに続き、小田原ゴルフクラブ松田コースも設置。12月の1カ月間で、両コースからは合計700万円の寄付が集まったという。
先行した神奈川県のゴルフ場でこの自販機を利用したゴルファーからの問い合わせを受けた御殿場市は7月から準備をはじめ、12月1日に導入した富士平原GCを皮切りに太平洋御殿場ウエスト、小田原ゴルフ倶楽部日動御殿場コースの3コースに設置。ゴルフ特信(一季出版)によれば「12月31日までに計136件、1021万6600円の寄付金が集まった」という。
ちなみに令和2年に御殿場市に入ったふるさと納税額は11億9200万円。うち2600万円がゴルフ場5コースからの納税額だった。そのうちの3コースが令和3年の12月のみで1000万円を超えるふるさと納税を稼ぎ出したのだから、効果は絶大だ。ゴルフ場の所在する自治体にとっては、過剰な返礼品競争の果てに総務省からブレーキを掛けられ、頭打ちとなっていたふるさと納税の収入を回復させる「打ち出の小槌」にもなりそうな雲行き。前出のグローキーアップにはゴルフ場銀座をかかえる千葉県の自治体などから、続々と問い合わせが入っているという。ゴルフ場にとっても来場者に複数の利用券を手渡せるため、リピーターをダイレクトに増やせて集客効果が高い。自治体とのやり取りも一気に簡素化するメリットがある。
「自動販売機を設置する前は、御殿場市からFAXで注文書が来ていました。その数に応じた利用券をこちらで用意し発送していました。そうした費用と手間がカットできるのは大きいですね。自動販売機の設置によりこちらが負担するのは設置で生じる電気代ですが、売り上げに応じたキックバックが、少額とはいえあります。利用券分の代金は、もちろん自治体側から支払われます」(前出の鈴木支配人)。
「ゴルフをやる方にはメリットのある形だと思います」とグローキーアップ関係者が語るとおり、自動販売機のお得感をダイレクトに享受できるのはゴルファーだ。面倒な手続きはなく、タッチパネルの操作だけでその日を含めた割引券が受け取れる。特にこのふるさと納税制度「累進課税なので、所得が増えると限度額がすごく上がっていきます。たくさん税金を払っている人ほど、たくさんふるさと納税できます」(前出のメーカー関係者)。高額納税者ほど多くの寄付ができ、多くの返礼品をゲットできる仕組みでもあるため、高級コースに設置すればするほど、ゴルファーもゴルフ場も地元の自治体も潤う仕組みではあるのだ。
一方でゴルフと税金、といえばすぐに思い浮かぶのがゴルフ場利用税。そもそもゴルフ場利用税はゴルフ場にとってはゴルファーから預かり、それを集めて都道府県に届けるだけのもの。ただ目の前を通り過ぎていくのに手間ばかりかかるだけでなく、ゴルファーの予約意欲を削ぐため、税金を料金に潜り込ませた表示をしなければならない事情がある。コース側とすれば「撤廃してほしい」のが本音だ。
たとえば富士平原GCの場合、昨年の4月から今年1月までのゴルフ場利用税の合計は約3000万円。「2、3月で5000人程度の来場者でそのうち免税者が1000人程度を見込んでいますから、今年度は3300万円から3500万円程度になると思います」(前出・鈴木支配人)。実は富士平原GC、27ホールを抱えるコースとあって、御殿場市と隣の小山町にまたがり、両自治体に利用税を分配している。
ちなみに令和2年度には静岡県全体の92コースから21億5900万円が吸い上げられた。これが静岡県に3割、ゴルフ場のある市町村に7割が分配された。御殿場市に戻されたゴルフ場利用税交付金は1億5577万9000円で、小山町はそれを上回る1億7586万9000円。ゴルファーたちは両自治体の一般財源として、これだけの交付金をもたらしている。それだけに御殿場市長と小山町長は「ゴルフ場利用税を堅持する会」にも名を連ねており、毎年税調においてゴルフ場利用税撤廃派の訴えを跳ね返し続けているのもまた事実なのだ。
ゴルフ場利用税に限っていえば、総務省と地方自治体はゴルフ場とゴルファーに敵対する関係なのだが、このところは雲行きが変わってきている。ゴルフ場の数が減少傾向にある今、ゴルフ場がつぶれてしまえばゴルフ場利用税だけでなく固定資産税、さらにはゴルフ場周辺の雇用も喪失する。そうなっては元も子もないことを認識している兵庫県三木市や千葉県市原市などは、ゴルフ場と協調路線を歩み始めているのも事実だ。
たとえば富士平原GCでは、18ホールプレーするごとに950円を取られている。さらにプレー代や飲食代に10%の消費税もかかっている。ダブルで税金を取られているだけに、ふるさと納税の返礼品をしっかりいただいても、バチは当たるまい。(日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川朗)
※…住宅ローン控除などを受けている場合、控除額の上限が異なることもあるので、詳しくはお住いの市区町村にご確認ください。
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