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    おやじゴルフニュース「ルールよりマナーを守るべき理由とは?」

    ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・かざま鋭二のイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。

    配信日時:2022年3月1日 03時00分

    • ゴルフライフ
    イラスト・かざま鋭二
    イラスト・かざま鋭二
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    最近の若者ゴルファーの増加はまことに喜ばしい限りですが、ひとつやっかいな問題があります。それはマナーです。これがちゃんとできてないと、ほかのプレーヤーに多大な迷惑を及ぼす可能性があります。自分は大丈夫と思っていても、実はやってはいけないことだった、そんなことが多々あります。マナーとルールに厳しいのがゴルフ界ですが、どっちが大事かというと実はマナーです。

    スロープレーがダメなわけは?

    一般的に雑誌などで書かれているルールとマナーの比率は、ルールが7割ぐらいかな。もはやルール至上主義といえる昨今です。けどルール問題はプライベートラウンドの場合、あくまでパーティ内の出来事です。もめてもしょせん、痴話喧嘩で済みます。だけど大きなマナー違反をすると、他人に迷惑をかけるのはもちろん、果ては裁判沙汰に発展する恐れもあります。そうなる危険性を改めて認識して欲しいです。

    では順序よく説明して行きましょう。

    1)スタート時間の曖昧さ
    例えばスタートが9時なら5分前にカート前に集合となりますよね。けど実際は前の組がスタスタ行ってすいている。8時50分にはスタートができるなんてことが、平日によくあります。流れがスムーズとか、前の組が2サムだなんてときは、8時40分台にスタートにできることもあります。この場合、後ろの組がすでにいてもたもたしていると、睨まれることも。ひどいと勝手にカートを抜いて、先にスタートしているケースもあります。朝からトラブル発生じゃ、やっていられません。とにかくスタート前は、乗用カートの周りに常にいることが大事ですね。

    2)ファーの掛け声
    「ゴルフのトラブルは現場で起きる」。当たり前やん。その最たるものが「ファ〜」という声かけです。昨今、セルフプレー全盛となり、ファーを聞く機会がめっきり減りました。上級者は当たり前のように声を張り上げるけど、ビギナーはなかなかできません。どの雑誌にもやり方は書いてませんから。経験で覚えるしかないけど、これがまた難しい。「声を出して〜」といっても、なかなか出ない。「恥ずかしいのかな? いいんだよ思いっきり感じるままに声を出してごらん」って、それじゃセクハラやがな。

    ビギナーが仲間内にいたら、最初の数ホールで、ボールがそれたときにわざと「ファー」といって、模範演技をしてあげることが大事です。しかも「ファー」じゃないです。実際は「ファア〜〜〜〜〜〜〜〜!」ぐらいに、伸びのあるファーをいわないと。狼が遠吠えを教えるぐらいの勢いで、みんなでファーを叫びましょうか。そもそも、ボールがそれたら、ファーをいうマナーすら、知らない人が結構おりますからね。

    だからこっちがラウンドしているときに、隣のホールからボールが飛んで来ても、3割ぐらいはファーが聞こえません。残り4割は小さい「ファー」が聞きとれたぐらい。そして残り3割がしっかりしたファーですかね。実は昔、セルフプレーでラウンドしていたとき、知り合いが隣のホールにいた人にボールを当てしまいました。そこは初めてプレーするゴルフ場で、レイアウトを把握してなくて、一瞬の躊躇がトラブルとなりました。

    相手は軽い打撲でしたが、「ファー」をいってないからこうなったと、ものすごい剣幕でした。知り合いは平謝りですが、これが大ケガをして裁判沙汰になったら、ファーをいって
    ないのは相当不利になりますね。常日頃、ティショットでは最新の注意を払い、ファーをすぐいえるようにスタンバってることが重要です。

    3)カートの止め方
    乗用カートの止め方もいろいろありまして、一番ひどいのは、ティイングエリア前に止めている乗用カートのすぐ後ろに止めることです。前後の組が友達同士なら、冷やかし半分で寄っても構いません。けどまったく知らないカートのすぐそばに止めるのは、ただの嫌がらせす。クルマでいえば、あおり運転や幅寄せに相当する危険行為です。

    通常は白いレギュラーティにカートがあるなら、後ろの組はバックティあたりに止めて、大人しく待っているのが筋。本来は前の組がティイングエリアにいるなら、そのホールには入らず、ホールの入り口手前で待機する。これが正しいカートの止め方です。あまり近づく場合は、「後ろに下がって」と注意するか、マーシャルに連絡を取るしかないでしょう。最近の乗用カートは、パネルに前車の位置が表示されていますから、それを見て近づかなければ良いのです。

    4)打ち込み問題
    アマチュアゴルファー最大の懸念材料は、ボールの打ち込みです。打ち込みする側と打ち込まれる側、それぞれの問題がありますから、ふたつに分けて書きます。

    まず打ち込み問題です。誰もいないと思って打ったら窪んだところに人がいて、打ち込んでしまった。こういうことはよくあります。結果的に打ち込んだのですから、即座に謝りに行き「すいません」といえばよいのです。これが、なかなか謝りに行けない。打った本人は「向こうは気にしてないじゃん」とか「マジ、俺はそんなに飛ばないからありえない」とか、屁理屈をいう人が実に多い。

    そういう場合は「早く謝りに行けよ」と、きつくいうしかないです。問題なのは上司や先輩などの目上の人です。「謝りに行ったほうがいいのでは」というと「いいよ俺は、だったら代わりに行ってよ、ビール奢るから」って、そういう問題じゃないだろう。

    5)打ち込まれた場合
    最近、ボールを打ち込まれるケースが結構あります。しかも謝ってこない。どうも最近の若者は、ボールの打ち込みの危険性を認識してない、そう思えてなりません。ガマンは1回まで。2回も打って来たら、激しく抗議するか、コースに連絡するしかないです。

    打ち込まれないようにするにはどうしたらいいか。それは乗用カートをわざと手前に止めておくと、打ち込まれない確率が高いということです。前の乗用カートの位置で、後ろの組は打つかどうか判断します。だから同伴メンバーにビギナーなどがいる場合は、乗用カートを目立つところにおき、ガードの役割をさせます。女性などがいてショットに手こずっている場合は、後ろの組が打ち込んでこないように、フェアウェイの真ん中の分かりやすい場所に立って、まだ打つなよと存在感をアピールします。そういう配慮が大切かと思います。もし打ち込んできて険悪な雰囲気になったら、マーシャルを呼びましょう。自分らで解決するとやっかいになります。

    6)トラブルは意外なとこで突然起こる
    トラブルは、気をつけていると案外起こらないものです。後ろの組がヤバそうだと思えば注意しているので、何かいってきても「そら来たか」という感じです。しかも、身構えているので、何か起こってもさほど動揺はありません。逆に気を抜いてると、思わぬ伏兵が現れ、お前がいちゃもんつけるか〜! みたいなことが起こります。

    大昔ですが伊豆のメンバーコースで、カートの大渋滞に巻き込まれました。そしたらシビレを切らした、後ろの中年夫婦のダンナのほうが、ティショットを打ってる最中に「お前ら、遅いんだよ〜」と怒鳴り散らしてきたのです。こっちはもう何がなんだか分からなく、パニックになりかけましたが、ひとり冷静なメンバーがいて、「いま打ってる最中だから、それがまずマナー違反でしょ」と諭して黙らせました。

    相手がいうには「レッスン行為は違反だ」というのです。それは渋滞ついでに、暇だからとスイングチェックをやっており、それを見てのクレームなわけです。「前の組も、さらに前の組も詰まってるんだから、そこが問題じゃない。だったら先に行けばいい」と友達がいって、カートの順番を変えました。それから今度は立場が逆転し、こちらは打ち込み寸前ぐらいにボールをバカスカ打ち、友達が追い込みました。

    中年カップルは、やっと状況を把握しバツが悪そうでした。すげえ勢いでプレーして、しかも売店にも入らず、逃げるようにプレーしていましたからね。でも意外でしょ。中年のメガネをかけた奥さん連れの、しょぼいオヤジが文句を言いにくるってね。ゴルフ場ではマナー違反によるトラブルはよく起こりますが、大事なのはキレないこと。キレると被害者が加害者になってしまう。こういうことがよくありますので、注意しましょう。
    木村和久
    きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。

    かざま鋭二
    かざま・えいじ/1947年生まれ、東京都出身。多くのゴルフマンガを執筆。代表作「風の大地」(原作・坂田信弘)では小学館漫画賞を受賞。現在、エイジシュートに挑戦中。
    連載

    木村和久のおやじが気になる旬なゴルフ情報

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