第5回 練習日から試合は始まっている! プロキャディのコースチェックとは?【小田美奈のキャディ目線】
かつては専属キャディとして宮里藍を支え、現在は二児の母として家庭を支え、ハウスキャディとして一般ゴルファーも支える小田美奈さんが、ツアーの裏側やゴルフに役立つ情報をお届け!
配信日時:2022年3月3日 02時00分
ついに22年シーズンの国内女子ツアーが開幕。試合前の練習日には、プロはキャディとともに入念にコースチェックを行っている。プロキャディだけでコースを回っている姿を目にすることもある。いったいどんなところを見ているのか。トーナメント運営のアルバイトから宮里藍の専属キャディになった小田美奈さんが実践していたコースチェックとは?
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プロキャディはヤーデージブックに何をメモしている?【写真】
プレーを助ける存在という意味では、プロキャディもハウスキャディも一緒。円滑なプレー進行のためにクラブを運ぶ、ボールを拭く等の基本的な事は、すべてのキャディに求められることで、お客様によっては風を読んだり、狙いを教えたりということも必要とされます。
プロキャディとハウスキャディの大きな違いは、プロキャディの場合、毎週違うコースでキャディをするということと、1人の選手にのみ対応するということでしょう。つまり、その週に自分がキャディをするプロの視点でコースを見ること。それが、プロキャディとしての第一歩なのではないかと思います。
プロキャディの仕事の基本である、風や距離といった情報と、コースマネジメント、そしてグリーンに対する知識。それらをすべてこなしていくためにまず必要なことは、「コースを知る」ということですが、コースにはそれぞれ特徴や個性があるもの。パッと見ただけでは判断しにくいものが多く、完全に把握することはできません。そこで、少しでも多くを知り、イメージを増やしていくために、プロキャディは試合前にコースチェックをしています。
ヤーデージブックと呼ばれるメモ、筆記用具、レーザー距離計、そしてボールなど、持ち物は様々。練習ラウンドの前には、他の選手の邪魔にならないように配慮しながら、歩いて回ります。
「コースチェックって何するの?」と質問してきた後輩がいましたが、実は私も最初はよく分からずに、先輩方の真似をして歩いているだけでした。しかし、経験を積むうちに、必要な情報と必要のない情報が分かるように。それも、先輩キャディに頼んでコースチェックについて行き、何を測っているの?どこを見ているの?と質問攻めした甲斐があったというものです。行って良い場所、いけない場所の確認の仕方だけでなく、その週につくプロの球筋によって見る場所も変わってくるということを教えてくれたのも先輩キャディでした。
もちろん、プロ自身も練習ラウンドをしながらコースのチェックをします。しかし、あまり時間をかけるわけにもいかないので、グリーン周りを重点的に行います。ピンポジションを何か所か想定して、アプローチやパターを繰り返します。その際に、キャディも転がり具合などを一緒に確認します。現在、シニアツアーで活躍している河村雅之プロは、ウェッジだけしか持たずに練習ラウンドに出たことも。グリーン周辺の情報が、選手にとっていかに重要かがわかりますね。
プロキャディよりもハウスキャディの方が、コースを知っていて良いんじゃないか?というご意見を耳にすることはあります。しかし、ハウスキャディとプロキャディの知識の違いは、「コースの端から端まで知っている」ことと、「選手に必要なコースの情報を持っている」こと。ハウスキャディに求められるのは、どんなお客様にも提供できる知識であり、プロキャディに求められるのは、状況に応じて選手のイメージに合った情報を与えることのできる知識なのだと思います。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝に貢献。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。
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プロキャディはヤーデージブックに何をメモしている?【写真】
プレーを助ける存在という意味では、プロキャディもハウスキャディも一緒。円滑なプレー進行のためにクラブを運ぶ、ボールを拭く等の基本的な事は、すべてのキャディに求められることで、お客様によっては風を読んだり、狙いを教えたりということも必要とされます。
プロキャディとハウスキャディの大きな違いは、プロキャディの場合、毎週違うコースでキャディをするということと、1人の選手にのみ対応するということでしょう。つまり、その週に自分がキャディをするプロの視点でコースを見ること。それが、プロキャディとしての第一歩なのではないかと思います。
プロキャディの仕事の基本である、風や距離といった情報と、コースマネジメント、そしてグリーンに対する知識。それらをすべてこなしていくためにまず必要なことは、「コースを知る」ということですが、コースにはそれぞれ特徴や個性があるもの。パッと見ただけでは判断しにくいものが多く、完全に把握することはできません。そこで、少しでも多くを知り、イメージを増やしていくために、プロキャディは試合前にコースチェックをしています。
ヤーデージブックと呼ばれるメモ、筆記用具、レーザー距離計、そしてボールなど、持ち物は様々。練習ラウンドの前には、他の選手の邪魔にならないように配慮しながら、歩いて回ります。
「コースチェックって何するの?」と質問してきた後輩がいましたが、実は私も最初はよく分からずに、先輩方の真似をして歩いているだけでした。しかし、経験を積むうちに、必要な情報と必要のない情報が分かるように。それも、先輩キャディに頼んでコースチェックについて行き、何を測っているの?どこを見ているの?と質問攻めした甲斐があったというものです。行って良い場所、いけない場所の確認の仕方だけでなく、その週につくプロの球筋によって見る場所も変わってくるということを教えてくれたのも先輩キャディでした。
もちろん、プロ自身も練習ラウンドをしながらコースのチェックをします。しかし、あまり時間をかけるわけにもいかないので、グリーン周りを重点的に行います。ピンポジションを何か所か想定して、アプローチやパターを繰り返します。その際に、キャディも転がり具合などを一緒に確認します。現在、シニアツアーで活躍している河村雅之プロは、ウェッジだけしか持たずに練習ラウンドに出たことも。グリーン周辺の情報が、選手にとっていかに重要かがわかりますね。
プロキャディよりもハウスキャディの方が、コースを知っていて良いんじゃないか?というご意見を耳にすることはあります。しかし、ハウスキャディとプロキャディの知識の違いは、「コースの端から端まで知っている」ことと、「選手に必要なコースの情報を持っている」こと。ハウスキャディに求められるのは、どんなお客様にも提供できる知識であり、プロキャディに求められるのは、状況に応じて選手のイメージに合った情報を与えることのできる知識なのだと思います。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝に貢献。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。