第7回 アベレージゴルファーは、なぜ『パー5』で叩くのか?【小田美奈のキャディ目線】
かつては専属キャディとして宮里藍を支え、現在は二児の母として家庭を支え、ハウスキャディとして一般ゴルファーも支える小田美奈さんが、ツアーの裏側やゴルフに役立つ情報をお届け!
配信日時:2022年3月8日 02時00分
パー5はプロにとってはバーディが計算できるホール。松山英樹の今季のスタッツを見ても、パー3とパー4でバーディかそれより良いスコアで上がる確率が10%台なのに対し、パー5では58.82%まで上がる。しかし、100を打つこともあるアベレージゴルファーとなると、なぜかパー5で大叩きしがち。プロキャディとハウスキャディどちらも経験している小田美奈さんが考える、パー5がイージーホールになる方法とは?
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初優勝の西郷真央も、最終ホールのパー5のセカンドショットでミス【大会写真】
アベレージゴルファーを1ラウンド100前後で回る人として考えると、パー5で叩く原因と思われるものはいくつか挙げることができます。そもそも飛距離が出ない。フェアウェイウッドをミスする。ショートアイアンが苦手…などなど。
まずは、飛距離の問題。私自身、男性に交じって後ろのティから回ることがよくあるのですが、その場合パー5でのパーオンは望めません。例えば533ヤードだった場合、ティショットをナイスショットして200ヤード飛んだとします。残りは、333ヤード。苦手なフェアウェイウッドで良い当たりをして180ヤード飛ばしたところで、残りはまだ150ヤード以上。パーオンするためには、少しの失敗も許されないという計算になります。
そもそも、フェアウェイウッドはピンを狙っていけるようなクラブではありません。出球が10度右にずれれば、100ヤード先では約18ヤードずれると言われていて、200ヤードではその倍の約36ヤードずれことになります。ピンを狙って36ヤード右に行けばグリーンには乗らないし、OBの危険もある。つまり、フェアウェイウッドは「おおよそ」で打っていくクラブであり、あの辺にボールを置きに行くためのクラブと考えたほうが良いでしょう。
飛距離があまり出ない場合、そもそも3打で乗せようとしなければ良いわけです。パー5をパー6として考えてしまえば、4打でグリーンに乗せれば良いので、必ずしもフェアウェイウッドを持たなければいけないというものでもなくなります。533ヤードのパー5。ティショットを打って残り333ヤード。100ヤード以内ならグリーンを捉えられるというのであれば、250ヤードを2打でいけばOK。そう考えれば、必ずしもフェアウェイウッドを持つ必要がなくなりますね。
飛距離の出るお客様の場合も、やはりフェアウェイウッドのミスが主な理由に感じます。飛距離が出る=曲がり幅も大きくなるということで、ちょっとのミスが大叩きにつながることも。グリーンに届きそうだからと、妙に力が入っている場合も多く見られます。
特に気を付けたいのは、2打目を待たされるような場合にミスが目立つこと。「待ちチョロ」なんて言葉があるように、待たされることを非常に嫌うお客様は少なくありません。待つことも、ゴルフの内。まずは、待つことを待つこととして認識しない方法を見つけることが大切です。プロも、プレー中に待たなければいけないような状況では、たわいもない会話をしたりして、うまく気持ちをコントロールしているものです。
どこかでミスをするのだから、できる限りグリーン近くにボールを持って行きたいと思うのもよくわかります。それでも、ゴルフは確率のスポーツ。確率の高いものをいかに選択していくか、確率の高いものを選択できるようにするには何が必要なのか、考え方を変えるのか、攻め方を変えるのか。自分にとって確率が良いものを知り、取捨選択することが大事です。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝に貢献。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。
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初優勝の西郷真央も、最終ホールのパー5のセカンドショットでミス【大会写真】
アベレージゴルファーを1ラウンド100前後で回る人として考えると、パー5で叩く原因と思われるものはいくつか挙げることができます。そもそも飛距離が出ない。フェアウェイウッドをミスする。ショートアイアンが苦手…などなど。
まずは、飛距離の問題。私自身、男性に交じって後ろのティから回ることがよくあるのですが、その場合パー5でのパーオンは望めません。例えば533ヤードだった場合、ティショットをナイスショットして200ヤード飛んだとします。残りは、333ヤード。苦手なフェアウェイウッドで良い当たりをして180ヤード飛ばしたところで、残りはまだ150ヤード以上。パーオンするためには、少しの失敗も許されないという計算になります。
そもそも、フェアウェイウッドはピンを狙っていけるようなクラブではありません。出球が10度右にずれれば、100ヤード先では約18ヤードずれると言われていて、200ヤードではその倍の約36ヤードずれことになります。ピンを狙って36ヤード右に行けばグリーンには乗らないし、OBの危険もある。つまり、フェアウェイウッドは「おおよそ」で打っていくクラブであり、あの辺にボールを置きに行くためのクラブと考えたほうが良いでしょう。
飛距離があまり出ない場合、そもそも3打で乗せようとしなければ良いわけです。パー5をパー6として考えてしまえば、4打でグリーンに乗せれば良いので、必ずしもフェアウェイウッドを持たなければいけないというものでもなくなります。533ヤードのパー5。ティショットを打って残り333ヤード。100ヤード以内ならグリーンを捉えられるというのであれば、250ヤードを2打でいけばOK。そう考えれば、必ずしもフェアウェイウッドを持つ必要がなくなりますね。
飛距離の出るお客様の場合も、やはりフェアウェイウッドのミスが主な理由に感じます。飛距離が出る=曲がり幅も大きくなるということで、ちょっとのミスが大叩きにつながることも。グリーンに届きそうだからと、妙に力が入っている場合も多く見られます。
特に気を付けたいのは、2打目を待たされるような場合にミスが目立つこと。「待ちチョロ」なんて言葉があるように、待たされることを非常に嫌うお客様は少なくありません。待つことも、ゴルフの内。まずは、待つことを待つこととして認識しない方法を見つけることが大切です。プロも、プレー中に待たなければいけないような状況では、たわいもない会話をしたりして、うまく気持ちをコントロールしているものです。
どこかでミスをするのだから、できる限りグリーン近くにボールを持って行きたいと思うのもよくわかります。それでも、ゴルフは確率のスポーツ。確率の高いものをいかに選択していくか、確率の高いものを選択できるようにするには何が必要なのか、考え方を変えるのか、攻め方を変えるのか。自分にとって確率が良いものを知り、取捨選択することが大事です。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝に貢献。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。