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    第9回 グリーンで重要なのは、左右の傾斜、上り下りの傾斜、どっち?【小田美奈のキャディ目線】

    かつては専属キャディとして宮里藍を支え、現在は二児の母として家庭を支え、ハウスキャディとして一般ゴルファーも支える小田美奈さんが、ツアーの裏側やゴルフに役立つ情報をお届け!

    配信日時:2022年3月15日 02時30分

    • ゴルフライフ
    目次 / index
    グリーンを読めなければパットは入らない
    グリーンを読めなければパットは入らない (撮影:GettyImages)
    • 小田美奈さんが実際に描いた、直線でラインをイメージする場合と、曲線でラインをイメージする場合の違い
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    打ち方によってグリーンの読み方は変わる

    プロなら1ラウンド30パット以内、およそ2ホールに1回は1パットで入れてくる。しかし、アベレージゴルファーで1ラウンドを36パット以内、1ホールをきっちり2パット以内に収められる人は少ないのではないだろうか。そんなゴルファーは「入れる」というより、ファーストパットでいかにカップに寄せるかが、3パットしないポイントとなる。はたして、グリーンで重要なのは、左右の傾斜、上り下りの傾斜、どっちなのか? プロキャディとハウスキャディどちらも経験している小田美奈さんに、グリーン上での考え方を聞く。
    __________________________

    金谷拓実はグリーンを読むとき、なぜパターを水平にする?【写真】

    左右の傾斜、上りと下り、どっちが重要?と聞かれれば、「どっちも重要だし、速さも重要」と答えてしまいたいところですが、せっかくなのでじっくりと考えてみました。

    ハウスキャディの仕事をしていると、お客様にラインを聞かれることも多々。ときには、どこを狙って打つべきか聞かれますが、私はこれが少し苦手だったりします。

    まずは、グリーンそのものが自然のものであること。100球転がして100球同じ転がりをするかというと、それはあり得ません。どんな転がりをするかは、転がしてみないとわからない部分が多分にあります。

    そして、パターは真っすぐ打っているようで、実は打てていない場合が多いこと。パターの芯に当たっていても、ボールのどこにどの角度で当たっているのか。そうすれば、どう転がるのか。ロフトも、構え方や打ち方で大きく変わってきます。

    つまり、ボールの出方と転がり方は人によって。つまり、グリーンの読み方も人それぞれで正解だと思っています。実際、スライス回転をかけ気味な方は、スライスラインを多めに読むし、強気に打つ方は自然と薄めにラインを読んでいるものです。自分の打ち方に合った読み方をすること、だからこそ大切なのはそのイメージです。

    プロのキャディの場合、同じプロに1週間つくので、練習日からその転がり具合や選手の調子などを考慮に入れることができますが、ハウスキャディの場合、基本お客様とは一期一会。お客様に合ったラインを見つけるのは、本当に難しい!

    直線派は『左右の傾斜』、曲線派は『上りか下りか』が重要

    小田美奈さんが実際に描いた、直線でラインをイメージする場合と、曲線でラインをイメージする場合の違い

    小田美奈さんが実際に描いた、直線でラインをイメージする場合と、曲線でラインをイメージする場合の違い

    それでは、そのイメージを作るためにはどうしたら良いのかということになりますが、ラインを“直線”でイメージするか、“曲線”でイメージするかによってまったく違ってきます。

    上りと下りは曲がり幅が違うといったような知識や、ピンとボールの間が何歩だから振り幅はこれぐらいといったような情報でパターをする方の場合、ラインを“直線”でイメージします。狙いはカップ何個分外す、ここにカップがあるつもりといったような読み方です。上りと下りは振り幅を変えることで対応できるので、こういった方には『左右の傾斜』が重要になってくるのかなと思います。

    グリーン全体の傾斜を見て、ボールの通り道を探す方の場合、ラインは“曲線”で考え、狙いはその“通過点”で考えています。ここを通してこの角度でカップに入るという読み方です。打ち出しの方向は、ボールが通る道の途中に狙いをつけることが多いので、重要なのは『上りか下りか』ということになるかもしれません。

    男子ツアーのとある試合の練習グリーンで、ラインが見えるか見えないか、その色は何色かという話題でプロが盛り上がっていたことがあります。そのとき、賞金王を争うような位置にいたプロが「僕はラインが金色に見えます」と言った言葉が忘れられません。金色のライン、私も一度見てみたい!と願いつつ、既にキャディ歴○○年。完璧にラインを読める日は来なくても、自然からの情報を受け取ってイメージし、体現する。それがグリーン上の面白さでもあると思うのです。

    ■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝に貢献。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。

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