桜と原英莉花と稲見萌寧!【女子プロ写真館】
コースも名匠・安田幸吉が設計し、井上誠一の弟子・嶋村唯史氏が改修しており、相手にとっては不足はありません。今回はたっぷり練習し、上げ調子でラウンドさせて頂きました。
このコースがなぜ思い出が深いかというと、昔、パブリック選手権の予選の会場として使われ、何度もここにエントリーしていたからです。パブ戦の予選は、ハンデ15程度でも出場可能です。実際はハンデ証明も必要なく、ようするに誰でも出場できたのです。八千代コースは交通の便がよく、距離は短め。チャンスがあるぞと思って臨んでいたのですが、さすが安田幸吉、なかなか攻めさせてくれません。
予選通過は70台後半がマスト。3ホール連続ボギーあたりで、諦めの予感が漂い、そして4ホール目でダボなんか打っちゃうと、もうさよなら〜って気分です。試合モードから一転、薄ら笑いを浮かべながら親睦ゴルフになって、同伴競技者と妙に会話が弾んだものです。「いや難しいですな」、「分かってんだけど叩いてしまう」などと語っているうちはいい。けど今度は気持ちがどんどん緩みだして、ダボが多めとなる。そうなると100叩きの心配となります。
そんなわけで傷心した私は玄関前で桜吹雪に見送られて、コースを後にしたのでした。何度そういうことがありましたかね。
そうそう八千代コースは、エントランス前の駐車場の桜が見事なんですよ。どれどれと見るや、まだ蕾であまり咲いてない。3月下旬は咲いてますよといわれたのに、果て? どうしたものやら。
さて実際にラウンドと参りましょうか。今回は午後スルーのセルフラウンドを所望。12時半ぐらいのスタートなので、朝10時過ぎに来て、早めのお昼ごはんを食べます。桃の木監修の中華料理は、ほんと何回来ても期待を裏切らない味です。キュウリの漬け物ひとつとっても、ぱりっと感が全然違います。今回のメインは、黒酢の酢豚を所望。肉の固まりにナイフを通すと、スッーと入って行く。こんだけ厚い肉の加熱具合が素晴らしいし、柔らかさも丁度良い噛み応え。マジ美味いっす。
スターターズハウスにはスパムおにぎりなど置いてあるお茶コーナーもあるので、スループレーの折り返し、もぐもぐタイムには丁度よいのかも。
最初のティショットは、綺麗なストレートボールでフェアウェイセンターへ。見事決まりました。実は前のラウンドで100叩きをして、気分はどんよりでした。このままヘボのままゴルフ人生が終わりそうだったので、週2回ほど練習をして調整したのです。
その努力が実り、実に快調なゴルフを展開しました。そうなると周りの景色を見る余裕も出来て12番ミドルホールで桜を発見。グリーン手前左側に咲く、桜の巨木群は色が鮮やかでマジ綺麗でした。「コース造りは庭造り、下手な人でも楽しめる」、これが安田幸吉の設計理念、まさにそうなんですよね。庭園風の佇まいのコースを作らせたら日本一かも知れませんよ。
が、元々の出身は世田谷の駒沢。当時の東京ゴルフ倶楽部(今の駒沢公園)でキャディとして働き、のちにキャディマスターに昇格します。赤星六郎の薫陶を得て腕前も上達、次第に試合に出るようになり、日本オープン3年連続2位などの成績を残しています。
そんなわけで駒沢公園をよく散歩をする者としては、安田幸吉がここでキャディマスターをして、庭園風林間コースを眺めていたことを夢想します。勝手な推測ですが、安田幸吉のコースの原風景は、駒沢の東京ゴルフ倶楽部だと思いますね。
我々一般人は、170ヤード程を打って刻みますが、セカンドショットが打ち下ろしのブラインドで、グリーンが見えない。第2打地点から、前方に歩いてグリーン位置を確認しますが狭いし、すぐOBだしで、距離感を出すのが無茶苦茶難しい。しかも樹木が邪魔して、打ち下ろしなのに高い球を打たねばならない。いろいろ考えさせられますね。結局、今回はセカンドショットが薄めに入ってしまい、バンカーに入れてボギーでした。
練習のたまものか、ドライバーのフェアウェイキープ率が5割ぐらいでした。コスってもそこそこ前に進み、ボギーときどきパー作戦が進行しました。ただ安田幸吉得意のグリーン周りのバンカー群にはやられましたね。最近、安田幸吉設計コースでは小田急藤沢GCを訪ねましたが、やはりグリーン周りのバンカーが強固で何度も入り、楽しく砂遊びをさせて頂きました。
八千代コースのバンカーは、今回は雨上がりで砂が固めになってて、強く振るとトップ気味の低い球が出やすい状況。そういえばパブリック選手の頃も、バンカーショットでホームランを打って、凄く叩いた記憶があります。今回は慎重に強めに打って、なんとか1回でバンカーを脱出、けどカップに寄ることはありませんでした。いや〜難しいですわ。
やっと乗ったと思うと、今度は繊細なグリーンが待ち受けてます。非常にコンディションがよく、下り傾斜はマジ速くてびっくりです。コース改修で一番変わったのは、グリーンの速さかなあ。実にメンテのよいグリーンで、驚かされました。
なんかもの凄くたっぷり、充実した時間を過ごせた気がします。スコアも86と、八千代コースの歴代ラウンドで1位ぐらいに入る成績を残せました。ここで初めて打ってから約30年、ようやく安田幸吉先生に恩返しできたかなと思ってます。
それからクラブバスで送ってもらい、東葉勝田台駅へ。そこから東西線に乗り、門前仲町で途中下車。居酒屋で一杯やる楽しさよ。担当Kの行きつけの店で、つまみが安くて実に美味かった。
きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。
かざま鋭二
かざま・えいじ/1947年生まれ、東京都出身。多くのゴルフマンガを執筆。代表作「風の大地」(原作・坂田信弘)では小学館漫画賞を受賞。現在、エイジシュートに挑戦中。
取材協力・太平洋クラブ八千代コース 写真・ALBA