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    おやじゴルフニュース「安田幸吉の設計に舌を巻き、レストランの中華に舌鼓を打つ 太平洋C八千代Cで春ゴルフ堪能」

    ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・かざま鋭二のイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。

    配信日時:2022年4月5日 03時00分

    • ゴルフライフ
    イラスト・かざま鋭二
    イラスト・かざま鋭二
    • パブリック選手権予選出場の頃を思い出しながら、インスタート10番ホールでティショットする木村
    • ラウンド取材をしたのは、前日が降雪だった3月23日。花をつけた桜は5〜6分咲き。八千代コースでは4月の初旬までは桜を楽しめるという
    • 八千代コースの中華は絶品。写真2枚目は木村オススメ、黒豚の酢豚。3枚目は前菜にオーダーしたキュウリとよだれ鶏
    • 1番、10番ティの後方にあるスターターズハウス
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    今回お邪魔した「太平洋クラブ八千代コース」は、パブリックコース時代から数えると、通算10回ぐらいラウンドしている思い出深いお馴染みのコースです。2年前、パブリックからメンバーシップの「太平洋クラブ八千代コース」として、リニュアルオープンしました。午前と午後に別れたスループレー、電動セルフカートの導入、中華の名店「桃の木」監修のレストランなど、話題にことかきません。

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    コースも名匠・安田幸吉が設計し、井上誠一の弟子・嶋村唯史氏が改修しており、相手にとっては不足はありません。今回はたっぷり練習し、上げ調子でラウンドさせて頂きました。

    このコースがなぜ思い出が深いかというと、昔、パブリック選手権の予選の会場として使われ、何度もここにエントリーしていたからです。パブ戦の予選は、ハンデ15程度でも出場可能です。実際はハンデ証明も必要なく、ようするに誰でも出場できたのです。八千代コースは交通の便がよく、距離は短め。チャンスがあるぞと思って臨んでいたのですが、さすが安田幸吉、なかなか攻めさせてくれません。

    予選通過は70台後半がマスト。3ホール連続ボギーあたりで、諦めの予感が漂い、そして4ホール目でダボなんか打っちゃうと、もうさよなら〜って気分です。試合モードから一転、薄ら笑いを浮かべながら親睦ゴルフになって、同伴競技者と妙に会話が弾んだものです。「いや難しいですな」、「分かってんだけど叩いてしまう」などと語っているうちはいい。けど今度は気持ちがどんどん緩みだして、ダボが多めとなる。そうなると100叩きの心配となります。
    パブリック選手権予選出場の頃を思い出しながら、インスタート10番ホールでティショットする木村

    パブリック選手権予選出場の頃を思い出しながら、インスタート10番ホールでティショットする木村

    実はパブリック選手権の予選結果は、ラウンドが終わり次第、順次名前入りで貼り出されます。つまり102なんて叩くと、ほとんどビリ扱い。自分より叩いたやつが、3人とかね。この公開羞恥プレーは泣けてきます。なんのために試合に出たんだろうってね。

    そんなわけで傷心した私は玄関前で桜吹雪に見送られて、コースを後にしたのでした。何度そういうことがありましたかね。 

    そうそう八千代コースは、エントランス前の駐車場の桜が見事なんですよ。どれどれと見るや、まだ蕾であまり咲いてない。3月下旬は咲いてますよといわれたのに、果て? どうしたものやら。
    ラウンド取材をしたのは、前日が降雪だった3月23日。花をつけた桜は5〜6分咲き。八千代コースでは4月の初旬までは桜を楽しめるという

    ラウンド取材をしたのは、前日が降雪だった3月23日。花をつけた桜は5〜6分咲き。八千代コースでは4月の初旬までは桜を楽しめるという

    ところがコースに出ると、寒桜やしだれ桜が5〜6分咲いており実に見事でした。こっちのほうが桜色が濃くて見応えあり。何度も写真を撮りました。実は八千代コース、桜の種類が豊富で、その分、桜を見れる期間が通常より長いのです。今年は4月初旬ぐらいまで楽しめるのではないかとのことでした。

    さて実際にラウンドと参りましょうか。今回は午後スルーのセルフラウンドを所望。12時半ぐらいのスタートなので、朝10時過ぎに来て、早めのお昼ごはんを食べます。桃の木監修の中華料理は、ほんと何回来ても期待を裏切らない味です。キュウリの漬け物ひとつとっても、ぱりっと感が全然違います。今回のメインは、黒酢の酢豚を所望。肉の固まりにナイフを通すと、スッーと入って行く。こんだけ厚い肉の加熱具合が素晴らしいし、柔らかさも丁度良い噛み応え。マジ美味いっす。
    八千代コースの中華は絶品。写真2枚目は木村オススメ、黒豚の酢豚。3枚目は前菜にオーダーしたキュウリとよだれ鶏
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    八千代コースの中華は絶品。写真2枚目は木村オススメ、黒豚の酢豚。3枚目は前菜にオーダーしたキュウリとよだれ鶏
    裏技としては、みんなでランチセットを頼んで、別に単品で麻婆豆腐を頼むのはありです。その麻婆豆腐をちょこっと、ご飯に載せて食べるとまた美味しなんですな。さてお腹一杯になったら、スターターズハウスに行き、練習をしまくります。付近にはドライビングレンジ、アプローチ練習場、パター練習場があり、建物内にはトラックマンも完備、いやあ〜ここだけで一日時間を潰せますわ。

    スターターズハウスにはスパムおにぎりなど置いてあるお茶コーナーもあるので、スループレーの折り返し、もぐもぐタイムには丁度よいのかも。
    1番、10番ティの後方にあるスターターズハウス

    1番、10番ティの後方にあるスターターズハウス

    スタートはインコースからでしたが、いきなり青いバックティを勧められました。「飛ばないから白ティでいいんだけど」と、スターティングスタッフにいうや、当コースは青がレギュラーティなんですと。あ〜そうだった、このコースはフルバックがレギュラーティの設定で、全長6251ヤードとやや短めに設計してあるのです。だからヘッドスピード38m/sに落ちた自分としてはありがたいです。

    最初のティショットは、綺麗なストレートボールでフェアウェイセンターへ。見事決まりました。実は前のラウンドで100叩きをして、気分はどんよりでした。このままヘボのままゴルフ人生が終わりそうだったので、週2回ほど練習をして調整したのです。

    その努力が実り、実に快調なゴルフを展開しました。そうなると周りの景色を見る余裕も出来て12番ミドルホールで桜を発見。グリーン手前左側に咲く、桜の巨木群は色が鮮やかでマジ綺麗でした。「コース造りは庭造り、下手な人でも楽しめる」、これが安田幸吉の設計理念、まさにそうなんですよね。庭園風の佇まいのコースを作らせたら日本一かも知れませんよ。
    電動セルフカートで18ホール歩きのラウンドも楽々。桜の前でパーパットを決めるかざまさん

    電動セルフカートで18ホール歩きのラウンドも楽々。桜の前でパーパットを決めるかざまさん

    安田幸吉は小樽カントリークラブと千葉カントリー梅郷コースの設計で有名な人です
    が、元々の出身は世田谷の駒沢。当時の東京ゴルフ倶楽部(今の駒沢公園)でキャディとして働き、のちにキャディマスターに昇格します。赤星六郎の薫陶を得て腕前も上達、次第に試合に出るようになり、日本オープン3年連続2位などの成績を残しています。

    そんなわけで駒沢公園をよく散歩をする者としては、安田幸吉がここでキャディマスターをして、庭園風林間コースを眺めていたことを夢想します。勝手な推測ですが、安田幸吉のコースの原風景は、駒沢の東京ゴルフ倶楽部だと思いますね。
    コースコンディションは3月とは思えない仕上がり。グリーンは下りが速く、少々手こずった

    コースコンディションは3月とは思えない仕上がり。グリーンは下りが速く、少々手こずった

    そんなことを思いながら八千代コースのフェアウェイを見ると、幅が丁度よい按配なんです。井上誠一設計と比べるとやや広めかなあ。左右厳しいというのはまずないです。どちらかに逃げ道を作っています。あと短い距離のホールのデザインが秀逸です。名物ホールの13番ミドルは294ヤードの打ち下ろし。だから飛ばし屋はワンオンの可能性があります。

    我々一般人は、170ヤード程を打って刻みますが、セカンドショットが打ち下ろしのブラインドで、グリーンが見えない。第2打地点から、前方に歩いてグリーン位置を確認しますが狭いし、すぐOBだしで、距離感を出すのが無茶苦茶難しい。しかも樹木が邪魔して、打ち下ろしなのに高い球を打たねばならない。いろいろ考えさせられますね。結局、今回はセカンドショットが薄めに入ってしまい、バンカーに入れてボギーでした。

    練習のたまものか、ドライバーのフェアウェイキープ率が5割ぐらいでした。コスってもそこそこ前に進み、ボギーときどきパー作戦が進行しました。ただ安田幸吉得意のグリーン周りのバンカー群にはやられましたね。最近、安田幸吉設計コースでは小田急藤沢GCを訪ねましたが、やはりグリーン周りのバンカーが強固で何度も入り、楽しく砂遊びをさせて頂きました。

    八千代コースのバンカーは、今回は雨上がりで砂が固めになってて、強く振るとトップ気味の低い球が出やすい状況。そういえばパブリック選手の頃も、バンカーショットでホームランを打って、凄く叩いた記憶があります。今回は慎重に強めに打って、なんとか1回でバンカーを脱出、けどカップに寄ることはありませんでした。いや〜難しいですわ。

    やっと乗ったと思うと、今度は繊細なグリーンが待ち受けてます。非常にコンディションがよく、下り傾斜はマジ速くてびっくりです。コース改修で一番変わったのは、グリーンの速さかなあ。実にメンテのよいグリーンで、驚かされました。

    なんかもの凄くたっぷり、充実した時間を過ごせた気がします。スコアも86と、八千代コースの歴代ラウンドで1位ぐらいに入る成績を残せました。ここで初めて打ってから約30年、ようやく安田幸吉先生に恩返しできたかなと思ってます。
    八千代コースには約600本の桜が春を彩っている

    八千代コースには約600本の桜が春を彩っている

    太平洋クラブのコースとしては都心に近く、クラブバスも本数が多いのでクルマを使わないで行く方法もあります。その日はもう春とはいえ結構寒い日で、ラウンド後に入った風呂の気持ちのよいこと。しばらく放心状態で動けませんでした。

    それからクラブバスで送ってもらい、東葉勝田台駅へ。そこから東西線に乗り、門前仲町で途中下車。居酒屋で一杯やる楽しさよ。担当Kの行きつけの店で、つまみが安くて実に美味かった。
    帰りは門前仲町でちょっと寄り道。赤ちょうちんでゴルフ談義に花が咲く。これも電車ゴルフの楽しみのひとつ

    帰りは門前仲町でちょっと寄り道。赤ちょうちんでゴルフ談義に花が咲く。これも電車ゴルフの楽しみのひとつ

    かざまさんと一緒に飲み明かしました。コロナ開け“まんぼう解除”バンザイとね。そういえばかざまさん、私が練習しまくって80台を出したのを見て、ポツリと「やはりコソ練大事だな」と。いや別にこっそりやってるわけじゃないんですよ。自分がささいなショットミスをして叩く、ただそれが許せなかっただけです。かざまさんは、次回のラウンドまでに練習しまくるといってました。次回の発奮を期待します。
    木村和久
    きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。

    かざま鋭二
    かざま・えいじ/1947年生まれ、東京都出身。多くのゴルフマンガを執筆。代表作「風の大地」(原作・坂田信弘)では小学館漫画賞を受賞。現在、エイジシュートに挑戦中。

    取材協力・太平洋クラブ八千代コース 写真・ALBA
    連載

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