第14回 国内男子ツアー開幕! 女子にない魅力は「パワーと、それに反するようなショットの繊細さ」【小田美奈のキャディ目線】
かつては専属キャディとして宮里藍を支え、現在は二児の母として家庭を支え、ハウスキャディとして一般ゴルファーも支える小田美奈さんが、ツアーの裏側やゴルフに役立つ情報をお届け!
配信日時:2022年4月4日 22時30分
先週、国内男子ツアーがついに開幕し、27歳の香妻陣一朗がツアー2勝目を挙げた。年々試合数が減り、苦境と言われる男子ツアー。宮里藍の元専属キャディであり、男子ツアーでも数多くの選手のバッグを担いだ小田美奈さんが語る男子ツアーの魅力とは。
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香妻陣一朗がウイニングパットを沈め、雄叫びを上げる!【開幕戦フォトギャラリー】
女子ツアーに遅れること、ほぼひと月。男子ツアーが「東建ホームメイトカップ」で開幕しました! 年々試合数が減り、低迷期と言われてしまっている男子ツアーですが、私にとってはまだまだ魅力たっぷり。ゴルフを知れば知るほど、その凄さを感じてしまう、そんなプレーの数々を今年も見せてほしいと思います。
まず、私にとっての男子ツアーの魅力は、なんといってもそのパワーと、それに反するようなショットの繊細さです。
女子も飛ぶようになりましたが、男子はもっと飛ぶようになりました。長年ツアーを開催しているコースでは、飛距離が伸びたがために全く意味をなさなくなってしまったフェアウェイバンカーがいくつもあります。
少しでも難しくするために、ティーイングエリアを下げたり、元々はパー5だったホールをパー4にしたりと、運営やコースの方々が努力してくださっていますが、それすらも軽々と超えてくる飛距離はとても魅力的です。その他にも、一般のお客様なら短いクラブで出すのがやっとな程に伸ばしきられた深いラフから、カラダ全体を使ったかのようにしてボールが打ち出される様子など、その力強さは日々のトレーニングがあってこそです。
そんな風に、めいっぱい振った後に求められる繊細なアプローチもまた魅力。クラブの使い方、操り方が非常に繊細で、ライ角やバンスの形状など、クラブに対するこだわりはもちろん、ボールに対して入れていく角度や、それに対して生じるスピン量など、一打に対するこだわり方は職人のようです。
練習場などで、ボールをただリフティングするだけではなく、フェースの上でクルクルと回し、ピタリと止めるなんていう器用なことを、おしゃべりしながら無意識にやっている姿などを見ると、クラブ全体が手の一部であるかのよう。そこから生み出される繊細なショットは、自分には無理なものであるからこそ、夢のような心地で見ています。
距離は伸び、グリーンの硬さは増し、ラフは伸ばしっぱなし。そんな状況でさえ、予選のカットラインはアンダーパーであるなど、全体の技術力向上に驚くばかりです。難しいセッティングであるからこそ、男子ツアーは面白い! 今年もぜひ感動的なショットを見させて欲しいと思います。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝をサポート。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。
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香妻陣一朗がウイニングパットを沈め、雄叫びを上げる!【開幕戦フォトギャラリー】
女子ツアーに遅れること、ほぼひと月。男子ツアーが「東建ホームメイトカップ」で開幕しました! 年々試合数が減り、低迷期と言われてしまっている男子ツアーですが、私にとってはまだまだ魅力たっぷり。ゴルフを知れば知るほど、その凄さを感じてしまう、そんなプレーの数々を今年も見せてほしいと思います。
まず、私にとっての男子ツアーの魅力は、なんといってもそのパワーと、それに反するようなショットの繊細さです。
女子も飛ぶようになりましたが、男子はもっと飛ぶようになりました。長年ツアーを開催しているコースでは、飛距離が伸びたがために全く意味をなさなくなってしまったフェアウェイバンカーがいくつもあります。
少しでも難しくするために、ティーイングエリアを下げたり、元々はパー5だったホールをパー4にしたりと、運営やコースの方々が努力してくださっていますが、それすらも軽々と超えてくる飛距離はとても魅力的です。その他にも、一般のお客様なら短いクラブで出すのがやっとな程に伸ばしきられた深いラフから、カラダ全体を使ったかのようにしてボールが打ち出される様子など、その力強さは日々のトレーニングがあってこそです。
そんな風に、めいっぱい振った後に求められる繊細なアプローチもまた魅力。クラブの使い方、操り方が非常に繊細で、ライ角やバンスの形状など、クラブに対するこだわりはもちろん、ボールに対して入れていく角度や、それに対して生じるスピン量など、一打に対するこだわり方は職人のようです。
練習場などで、ボールをただリフティングするだけではなく、フェースの上でクルクルと回し、ピタリと止めるなんていう器用なことを、おしゃべりしながら無意識にやっている姿などを見ると、クラブ全体が手の一部であるかのよう。そこから生み出される繊細なショットは、自分には無理なものであるからこそ、夢のような心地で見ています。
距離は伸び、グリーンの硬さは増し、ラフは伸ばしっぱなし。そんな状況でさえ、予選のカットラインはアンダーパーであるなど、全体の技術力向上に驚くばかりです。難しいセッティングであるからこそ、男子ツアーは面白い! 今年もぜひ感動的なショットを見させて欲しいと思います。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝をサポート。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。