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    おやじゴルフニュース「練習場シングルを目指そう」

    ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・かざま鋭二のイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。

    配信日時:2022年5月3日 03時00分

    • ゴルフライフ
    イラスト・かざま鋭二
    イラスト・かざま鋭二
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    ■練習場なら何を打ってもナイスショット あの心躍る日々に戻りたい■

    たまにはゴルフがうまくなる話を書こうかと思います。題して「練習場シングル」を目指そうという企画です。

    これだって練習のたまもの「渋野日向子の直ドラ」

    それでは練習場シングルとは何か?

    ドライビングレンジではティアップして打てるし、すべて平らなライだし、風の影響もほとんどないしと条件が整っています。慣れてくるとほとんどミスショットをしなくなる。毎回ナイスショットのオンパレード。もう練習しなくていいんじゃないか。もはやドライビングレンジ無双状態、その境地に達した人を練習場シングルといいます。

    昔、練習場シングルはさほど誉められる言葉として使われませんでした。練習ではうまいのに、本番で叩くわけですから。お笑い芸人だったら、楽屋で凄く面白いのに本番はつまらないとかね。そういうネガティブ表現として使われていたのです。けどすでにオヤジ世代になり、昔の栄光は今いずこ? 今や練習場ボギープレーヤーにすらなれないのです。だから今となっては、練習場シングルは立派な存在。その境地に達したいとなるんですね。

    実際、過去において私は練習場シングルだったことがあります。何を打ってもナイスショット、もうやることがないじゃんとね。けど実際のハンデは12でした。やはり実際のゴルフ場では、ライの善し悪しや風など影響を受けるので、イメージしたショットを打てないのです。ただゴルフに対して燃えていたのは確かです。あの心躍る日々にまた戻りたい。それはマジ思いますね。

    というわけで、いよいよ練習場シングルへの道、リアル達成編を始めます。

    まず久々に練習場へ行ったとしましょう。思ったような球筋のボールは出ません。しかも、もの凄く飛ばない自分を、そこに発見します。通っている練習場のグリーンは、打席から約150ヤードです。昔は7番アイアンで軽々乗ったものでした。なのに今は7番アイアンをフルショットしても、グリーンエッジまですら届かない。いや〜、歳を取ったなあと。

    じゃあ、まず練習場シングルの道は落ちた飛距離のアップからだな。打ちまくるぞ〜。じゃ〜ん、これが一番やってはいけないこと、そもそもの間違いなんですね。シニアになって飛距離が伸びた人の話は、あまり聞きません。もちろんマッスルから鍛え直して、体を柔らかくして飛距離アップをした人はいますが、それは稀なケースです。一般的に飛距離は年齢とともに落ちるものとして、諦めたほうがよろしいでしょう。

    ■自分のゴルフを見つめ直す■

    練習場シングルの道としてまずやるべきことは、自己流のスイング調整です。ここでの調整は、久々に練習をする人や、練習を始めたけど引っかけやシャンクが出て困っている人向けです。要するに自分のゴルフを見つめ直したい人に書いています。

    順序よく書いていくと、まずはこれです。

    1)軌道チェック
    ボールが当たらなくなるのは正しいスイング軌道が出来てない。このパターンが多いです。そもそもアウトサイドインとか、インサイドアウトという概念がよく分かりません。線で引かれると、なんとなくそうかと思いますが、果たして自分が綺麗な軌道を描いているのか甚だ疑問です。

    結果としてボールがヒール部分に当たって、引っかけやヒール球、シャンクが多くなる。そこはなんとなく分かっています。恐らく乱れた軌道の原因は「手打ち」になるからでしょう。つまり手に力が入り過ぎ、手が勝手に伸びるんですね。だから大回り、外回りのスイングになるのです。

    実際、手で打っているのだから、手が伸びるのは当たり前です。けど心がけすべき初動は「腰から」が基本だと思います。意識してスイングを腰から始める。あくまでイメージですが、腰から動き始めて、つられて手が動き出す。この動きが大事です。ここらへんはスマホで動画を撮ってみるのが一番いいでしょう。理屈を覚えるより動画。変てこだなと気づいたら、しめたもの。直す方向に駒を進めましょう。

    2)軌道修正
    軌道のことはよく分からない。結果的にボールがちゃんと当たればいいんだろ。そういう考えもあります。さてどうしますか?

    間違った軌道を修正するには、右ヒジのたたみを意識すべきです。これは昭和の頃からいわれています。林由郎先生に直接教わった者としては「ワキの下に5銭硬貨を挟め」の教えを大事したいですね。

    今のスイングは、右ワキは開けて右手を伸ばしてのトップもありますが、それは当たる人の場合です。当たらない人は、右ヒジをワキ腹にくっつけてテークバックをする。そんなイメージです。こっちなんか、腹が出てるもんだから、勝手に右ヒジがワキ腹にくっついていい按配ですわ。この調子で打つと、飛距離はさほど出ませんが、ほぼ真っすぐないい球が出ます。あとは繰り返しです。

    3)巷に溢れるゴルフ理論
    いろんな人にさまざまな理論を教わりましたが、どこまで理解できたかは未だ謎です。やはり自分で噛み砕いて、自分流にアレンジして自分のものにするのがよろしいかと思います。

    例えば左足重心か右足重心かの問題です。理想はやや左足重心からテークバックをして右足に重心を移し、それから体重を乗せて左足重心でフィニッシュする。これがいいとされていました。でもこれをアマチュアがやると明治の大砲になって、重心が左に戻らないことが多いです。理想と現実の狭間で揺れますよね。

    いろいろ考えた挙げ句、左足重心のままでもいいのではないかという結論に達しました。今はずっと左足重心で打っています。理想のスイングより1割ぐらい飛距離は落ちますが、当たる率がすこぶる高い、だからトータルではスコアメイクになります。

    同様にベースボールグリップが好きという人もいますが、それで当たるなら十分じゃないですか。ベースボールグリップにすると、ほんのわずか飛距離が落ちるといわれますが、ミスが少なければそれでよし。以前、ベースボールグリップのクラブチャンピオンに会いましたが、本人はまったく気にしてない様子で、いい球をガンガン打っていました。要は自分の納得なんですよね。このように巷に溢れる素晴らしい理論は一回自分で咀嚼して、いいとこだけ取って採用しましょう。

    4)苦手クラブは克服しない
    昔からアイアンが苦手で、いざここぞというときにリキんでシャンクして、痛い目にあっていました。有名なレッスンプロにシャンクの話をすると、ある人は「トウ側にボールを置きなさい」というし、またある人は「あえてヒール側にボールを置きなさい」という始末。いったいどっちが正解やねん。

    レッスンプロはうまいから、シャンクなんて下手な人間の悩みなんて親身になって考えたことがないんだろう。そう思いました。それからですよ、自己流に目覚めたのは。それで最終結論を導きだすと、アイアンは打たないことにしました。今は持ってせいぜい9番アイアンまで、しかもそれはアプローチ用にです。

    つまり苦手なアイアン克服をしなかったわけです。それでしっかり70台も出ましたからね。自己流も悪くないと思います。アイアンの代わりに多用しているのがUT、今はハイブリットといってますが、この前までロフト40度を使ってましたが、今はロフト45度のUTに挑戦中って、9番アイアン相当か? そんなのをいじって楽しんでます。

    ウッドが苦手ならUTにすればいいし、ボールが上げるのが苦手なら転がせばいい。そうやって危険を回避してゴルフをやっても、十分スコアメイクは達成出来るのです。練習場で苦手なクラブ克服は、ほどほどにしてください。流行っているから、みんな打っているから、ものにしようとするのは、物凄く時間がかかります。

    有名ブランドのクラブでも、自分に合わない。そういうことはよくあります。クラブは出来るだけ簡単に、優しく打てるのが望ましいです。好きこそものの上手なれというでしょ。練習場で得意なクラブを3本見つけたら、もう天下を取れますよ。キャバクラだって、人気嬢が3人いたら店は大繁盛っていいますから。ほんまかいな。

    最後は何もチェックせずに打っても、勝手にいい球が出るようになる。体にスイングが染みつくようになればオーケー、練習場シングルプレーヤーの一丁完成です。
    木村和久
    きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。

    かざま鋭二
    かざま・えいじ/1947年生まれ、東京都出身。多くのゴルフマンガを執筆。代表作「風の大地」(原作・坂田信弘)では小学館漫画賞を受賞。現在、エイジシュートに挑戦中。
    連載

    木村和久のおやじが気になる旬なゴルフ情報

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