第21回 知らないと損をする!? ゴルフのルールと、その怖さとは【小田美奈のキャディ目線】
かつては専属キャディとして宮里藍を支え、現在は二児の母として家庭を支え、ハウスキャディとして一般ゴルファーも支える小田美奈さんが、ツアーの裏側やゴルフに役立つ情報をお届け!
配信日時:2022年5月3日 00時00分
2019年、ゴルフのルールが大幅に改正された。プレー時間の短縮に主軸をおいた改正に、だいぶ慣れてきたというゴルファーも多いのでは。ルールブックを見てみれば、読む気もなくなるほどびっしりと書かれた文字。宮里藍の元専属キャディであり、現在はハウスキャディとして働く小田美奈さんは、「ルールは、正しく憶えていないと損をする場合がある」という。知っていないと損をするルールとは?
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キャディが池に入ってボールを捜索!? その理由は【写真】
・ルールを知らないことの怖さ
特別に記憶に残るトーナメントがあります。それは、2004年の「ミズノクラシック」、パー4でのこと。アプローチでピンに寄せ、そのホールはパー…と思っていました。ところが、上がってみれば結果はダブルボギー。
問題は、アプローチをした場所でした。その場所とは、サブグリーン上。その頃の日本ツアーでは、サブグリーンに乗ってしまった場合には、ピンに近づかないようにグリーンの外に出すといったルールがない限り、そのまま打つのが当たり前でした。ところが、ミズノクラシックは米国女子ツアー。サブグリーンからは打ってはいけないというローカルルールが出されていて、それを確認していなかった私は選手にそのまま打たせてしまったのです。もちろん、誤所からのプレーということで、2ペナルティでした。
スタート前に渡された英語でびっしりと書かれたローカルルール。それと同じものが練習ラウンドの日からインフォメーションボードには貼られていました。それなのに…。コースによって、または試合によって違ってくるローカルルールは、必ず事前にチェックをしなければならないということを痛いほど思い知らされた大会でした。
コースの状況によって出される特別競技規則などにも注意が必要です。ある大雨の降り続いた大会で出ていた特別競技規則は「リフト&クリーン」。つまり、「スルーザグリーンにある球は罰なしに拾い上げて拭くことができる。その後その球は必ずリプレイス(元の位置に戻すという意)しなければならない」というものでした。こういった規則は、前日までの大雨などでフェアウェイの状況が悪いときにはよく出されます。泥のついた球はどのような球筋を描くか想像がつかないので、選手にとっては大変ありがたい規則です。
しかし、とある試合で一緒に回っていた3選手とそれぞれのキャディ3名全員が「リプレイス」を「1クラブプレイス」と勘違いしてラウンドしてしまい、失格になるという事態が。その中には単独首位だった選手もいて、メディアでも取り上げられるニュースとなりました。
キャディにとって、ルールを知らないということは、選手の素晴らしいプレーを無駄にしてしまうことにつながるのです。
・知らないと損をするルール
競技を意識していないアマチュアゴルファーさんがルールにこだわるかどうかは、人それぞれ。曖昧に憶えている方も少なくありません。それ自体はまったく問題ではないのですが、ただ勘違いして憶えてしまっているルールというのは想像以上に多く、それによって損している場合をよく見ます。
特に、救済を受ける際、ニアレストポイント付近に何も考えずにドロップしてしまう人が非常に多い! ニアレストポイントの取り方も、「なんとなくこの辺」といった感じになっていませんか? よく見れば、カート道路の逆側の方が近い場合もあり、そちらの方がより打ちやすいことも。ドロップエリアの一番端までよく確認すれば、グリーン方向が開いていないような状況だったはずなのに、ぽっかりと開いているような場所があったりするものです。
池などの処置でもそうです。ドロップできる場所がどの範囲なのかよく知ることで、最も打ちやすい場所を選ぶことができるようになります。
ルールは使いようによって、ピンチがチャンスになることもあります。でもそれは、知っていればこそ。時には、ルールを確認しながらプレーしてみてはいかがでしょうか。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝をサポート。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。
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キャディが池に入ってボールを捜索!? その理由は【写真】
・ルールを知らないことの怖さ
特別に記憶に残るトーナメントがあります。それは、2004年の「ミズノクラシック」、パー4でのこと。アプローチでピンに寄せ、そのホールはパー…と思っていました。ところが、上がってみれば結果はダブルボギー。
問題は、アプローチをした場所でした。その場所とは、サブグリーン上。その頃の日本ツアーでは、サブグリーンに乗ってしまった場合には、ピンに近づかないようにグリーンの外に出すといったルールがない限り、そのまま打つのが当たり前でした。ところが、ミズノクラシックは米国女子ツアー。サブグリーンからは打ってはいけないというローカルルールが出されていて、それを確認していなかった私は選手にそのまま打たせてしまったのです。もちろん、誤所からのプレーということで、2ペナルティでした。
スタート前に渡された英語でびっしりと書かれたローカルルール。それと同じものが練習ラウンドの日からインフォメーションボードには貼られていました。それなのに…。コースによって、または試合によって違ってくるローカルルールは、必ず事前にチェックをしなければならないということを痛いほど思い知らされた大会でした。
コースの状況によって出される特別競技規則などにも注意が必要です。ある大雨の降り続いた大会で出ていた特別競技規則は「リフト&クリーン」。つまり、「スルーザグリーンにある球は罰なしに拾い上げて拭くことができる。その後その球は必ずリプレイス(元の位置に戻すという意)しなければならない」というものでした。こういった規則は、前日までの大雨などでフェアウェイの状況が悪いときにはよく出されます。泥のついた球はどのような球筋を描くか想像がつかないので、選手にとっては大変ありがたい規則です。
しかし、とある試合で一緒に回っていた3選手とそれぞれのキャディ3名全員が「リプレイス」を「1クラブプレイス」と勘違いしてラウンドしてしまい、失格になるという事態が。その中には単独首位だった選手もいて、メディアでも取り上げられるニュースとなりました。
キャディにとって、ルールを知らないということは、選手の素晴らしいプレーを無駄にしてしまうことにつながるのです。
・知らないと損をするルール
競技を意識していないアマチュアゴルファーさんがルールにこだわるかどうかは、人それぞれ。曖昧に憶えている方も少なくありません。それ自体はまったく問題ではないのですが、ただ勘違いして憶えてしまっているルールというのは想像以上に多く、それによって損している場合をよく見ます。
特に、救済を受ける際、ニアレストポイント付近に何も考えずにドロップしてしまう人が非常に多い! ニアレストポイントの取り方も、「なんとなくこの辺」といった感じになっていませんか? よく見れば、カート道路の逆側の方が近い場合もあり、そちらの方がより打ちやすいことも。ドロップエリアの一番端までよく確認すれば、グリーン方向が開いていないような状況だったはずなのに、ぽっかりと開いているような場所があったりするものです。
池などの処置でもそうです。ドロップできる場所がどの範囲なのかよく知ることで、最も打ちやすい場所を選ぶことができるようになります。
ルールは使いようによって、ピンチがチャンスになることもあります。でもそれは、知っていればこそ。時には、ルールを確認しながらプレーしてみてはいかがでしょうか。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝をサポート。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。