放映権料で揺れていた女子ツアー 2023年の開催は今年と同じ38試合を維持の見込み
放映権料で揺れていた女子ツアー 2023年の開催は今年と同じ38試合を維持の見込み
配信日時:2022年9月1日 04時00分
来季の女子ツアー開催は、ほぼ、今年と変わらない形になりそうだ。JLPGAツアーの来季のトーナメント開催申込書の提出期限は、例年どおり8月いっぱい。今季、ツアーに名を連ねている38大会のほとんどが申し込みをしているという。大会名が変わる試合もあるようだが、基本的に試合数は維持できそうだ。
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ここ数年は、ツアー競技を公認する日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が放映権の帰属を主張し、各主催者とテレビ局の間で話し合いが続いていた。だが、JLPGAの強烈なプッシュに各大会が押し切られる形で、結果的に全大会放映権をJLPGAが獲得。今年は放映権料ゼロという移行措置が取られたが、来年以降どうなるかは懸案事項となっていた。
一体、いくらふっかけられるのか。戦々恐々とする大会も少なくない中、6月27日の「2023年JLPGAツアー公認競技開催申込に関する説明会」で提示された放映権料は、ある程度常識的な額だった。
さらに、主催者からJLPGAに譲渡された施設管理権の一部に対する対価などとして、放送局から支払われた放映権料の40パーセントが主催者側に支払われる。大会によってお金の流れはさまざまだが、本来、放送局が支払うべき放映権料を主催者側が負担するケースも多く、その場合は「還元される」というほうが分かりやすいかもしれない。
ここまでは、説明会直後にJLPGA会員のプロたちにも通知されたが、金額についてはなぜか伏せられたままだった。大会側に示された金額は、以下のとおりとなっている。
地上波は全国ネット20局以下なら1000万円。それ以上なら1500万円。BSは1200万円、CSは200万円。ただし、地上波と、CS、BSで放映する場合、CS、BSの料金は半額になる。つまり最も高い放映権料を支払う場合でも“セット割”で地上波1500万円にBSが半額の600万円でCSは100万円の2200万円という金額に落ち着いた。
「今さら放映権料の帰属についてモメるわけにもいかないし『この値段なら』と折り合いをつけられる絶妙な数字を出してきた」(トーナメント関係者)ことで、ほとんどの主催者が試合を継続することになった。
ただ、開催を決めたからといって、実際にテレビ放送をするかどうかはまた別の話になる。放映権料が妥当でも主催者側が有料のネット中継だけで十分だと判断すれば、JLPGAが仕切るネット配信だけになる。料金が安く、編成にも組み込みやすいBSやCSだけで地上波は不要、という試合も出てくるかもしれない。高くはないとはいえ放映権料が発生したことで「日曜日の午後、ゴルフの試合がテレビで流れていたから見る」という裾野の広がり方が減る可能性は今年以上に強くなる。
放映権の帰属、放映権料の取得に関しては、JLPGAに軍配が上がった形の現在。この中でどれほどの試合がお金を払ってテレビ放送をするのか、が次に気になるところとなる。
もうひとつ、2025年からはすべての試合をJLPGA主催にすること、賞金、運営費などが高くなることもすでに各大会に”通告“している。その中で、ツアーはどうなっていくのか。次々に新星が現れ、活躍する女子ツアーだけに、行く末が気になるところではある。(文・清流舎 小川淳子)
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ここ数年は、ツアー競技を公認する日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が放映権の帰属を主張し、各主催者とテレビ局の間で話し合いが続いていた。だが、JLPGAの強烈なプッシュに各大会が押し切られる形で、結果的に全大会放映権をJLPGAが獲得。今年は放映権料ゼロという移行措置が取られたが、来年以降どうなるかは懸案事項となっていた。
一体、いくらふっかけられるのか。戦々恐々とする大会も少なくない中、6月27日の「2023年JLPGAツアー公認競技開催申込に関する説明会」で提示された放映権料は、ある程度常識的な額だった。
さらに、主催者からJLPGAに譲渡された施設管理権の一部に対する対価などとして、放送局から支払われた放映権料の40パーセントが主催者側に支払われる。大会によってお金の流れはさまざまだが、本来、放送局が支払うべき放映権料を主催者側が負担するケースも多く、その場合は「還元される」というほうが分かりやすいかもしれない。
ここまでは、説明会直後にJLPGA会員のプロたちにも通知されたが、金額についてはなぜか伏せられたままだった。大会側に示された金額は、以下のとおりとなっている。
地上波は全国ネット20局以下なら1000万円。それ以上なら1500万円。BSは1200万円、CSは200万円。ただし、地上波と、CS、BSで放映する場合、CS、BSの料金は半額になる。つまり最も高い放映権料を支払う場合でも“セット割”で地上波1500万円にBSが半額の600万円でCSは100万円の2200万円という金額に落ち着いた。
「今さら放映権料の帰属についてモメるわけにもいかないし『この値段なら』と折り合いをつけられる絶妙な数字を出してきた」(トーナメント関係者)ことで、ほとんどの主催者が試合を継続することになった。
ただ、開催を決めたからといって、実際にテレビ放送をするかどうかはまた別の話になる。放映権料が妥当でも主催者側が有料のネット中継だけで十分だと判断すれば、JLPGAが仕切るネット配信だけになる。料金が安く、編成にも組み込みやすいBSやCSだけで地上波は不要、という試合も出てくるかもしれない。高くはないとはいえ放映権料が発生したことで「日曜日の午後、ゴルフの試合がテレビで流れていたから見る」という裾野の広がり方が減る可能性は今年以上に強くなる。
放映権の帰属、放映権料の取得に関しては、JLPGAに軍配が上がった形の現在。この中でどれほどの試合がお金を払ってテレビ放送をするのか、が次に気になるところとなる。
もうひとつ、2025年からはすべての試合をJLPGA主催にすること、賞金、運営費などが高くなることもすでに各大会に”通告“している。その中で、ツアーはどうなっていくのか。次々に新星が現れ、活躍する女子ツアーだけに、行く末が気になるところではある。(文・清流舎 小川淳子)
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