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    第39回 プロが使う『ヤーデージブック』から、今年消えたもの【小田美奈のキャディ目線】

    かつては専属キャディとして宮里藍を支え、現在は二児の母として家庭を支え、ハウスキャディとして一般ゴルファーも支える小田美奈さんが、ツアーの裏側やゴルフに役立つ情報をお届け!

    配信日時:2022年9月14日 23時00分

    • ゴルフライフ
    左が22年、右が19年の「中日クラウンズ」のヤーデージブック グリーンの傾斜の記載がなくなり真っ白に
    左が22年、右が19年の「中日クラウンズ」のヤーデージブック グリーンの傾斜の記載がなくなり真っ白に
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    試合中に、プロがメモ帳のようなものを手にしている姿を見慣れている人も多いだろう。『ヤーデージブック』と呼ばれるそれは、キャディにとっても欠かせない仕事道具の1つ。宮里藍の専属キャディを経て、現在某ゴルフ場でハウスキャディとして働いている小田美奈さんに、プロやプロキャディにとってのヤーデージブックと、日本でのその歴史について聞いてみた。
    __________________________

    プロは打つ前にヤーデージブックで確認【写真】

    「プロやキャディさんがいつも見ているあの小さな本みたいな物はなんですか?」と、聞かれたことがあります。ティイングエリアで開き、閉じて打って、セカンド地点でまた開き、グリーン上でもまた開く。そこに書かれているのはコースのレイアウトなのですが、ティグラウンドからの距離や、グリーンのフロントエッジまでの距離などが細かく書かれています。

    「ヤーデージブック」と呼ばれるそれは、プロとキャディの間では簡単に「メモ」と呼ばれていて、マネジメントをする上で欠かせないものです。

    レギュラーツアーでは、3300円(税込)で販売されていますが、作成している人がクラブハウス内で販売していたり、ゴルフ場のフロントで販売されていたりと、その販売場所はコースによってまちまち。「メモはどこで売っている」という質問が耳に馴染んでしまうほど、練習ラウンドの日の朝にはあちらこちらでヤーデージブックを探す声が聞こえてきます。

    元々は、距離などが全く書かれていない、ただレイアウトだけが書かれたものが無料で配られていました。しかし、練習ラウンドの日に自分たちで測る距離だけでは足らない!と、プロキャディのサイモン・クラーク氏が男子ツアーでヤーデージブック(サイモンメモ)の販売を始め、それを使う人が増えていきました。その後、何人かのプロキャディがヤーデージブックを販売するようになり、女子ツアーでもそういったメモが販売されるように。

    昔のメモは雨に弱く、紙が濡れて張り付いてしまったり、ときには破けてしまったりということもあり、それを防ぐためにページごとにセロハンテープで補強をしたり、ビニール袋に入れて使用するなどしていました。しかし今では、雨の日でも大丈夫なように水があまりしみ込まないような紙が使われていて、外側に付けるカバーもスポンサーの名前が入っているものや、お洒落なものも見られるようになりましたね。

    近年、その中身が大変充実してきて、コースレイアウトや細かい距離、傾斜等が細かく記載されるようになっていましたが、今年いよいよ米ツアーでグリーンの傾斜が詳細に記されたグリーンブックが禁止に。それに合わせ、日本ツアーでもヤーデージブックの中にグリーンの細かい傾斜が記載されていたのですが、その使用が禁止になり話題になりました。

    先日、東京オリンピックのゴルフ競技が開催された霞ヶ関カンツリー倶楽部で、「埼玉県オープン」が開催され、私もキャディをさせていただきましたが、一日だけのオープン競技でもクラブハウスの売店でヤーデージブックが販売されていました。そもそもそのヤーデージブックは埼玉県オープンのためのものではなく、「日本ジュニアゴルフ選手権」のために販売されていたものだそうです。レーザー距離計の使用が認められるようになった今でも、プロかアマかの試合に関わらず、競技にはヤーデージブックが欠かせないものになってきているということを感じた一日でした。

    ■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝をサポート。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。

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