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    おやじゴルフニュース「うえ〜ん、今度はシャンク怖いよ〜」

    ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・とがしやすたかのイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。

    配信日時:2022年11月15日 03時00分

    • ゴルフライフ
    イラスト・とがしやすたか
    イラスト・とがしやすたか
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    「先日、突発性シャンク病が起こり、自宅療養中の身となりました」って、ほんまかいな。シャンクとはもともと足のスネや関節の接合部を指す名詞で、ゴルフ的にはアイアンの柄やヘッドとシャフトの接合部を指します。それが現在では、アイアンの柄にボールが当たる現象を言います。

    シャンクで散った5年ぶりV「今週は3回目」と森田遥

    ボールがアイアンの接合部に当たると、右斜めにボールが飛ぶ怪奇現象が起こります。見事な90度曲がるシャンクを4回続けて打つと、最初に打ったところに戻るという都市伝説があります。まだ誰も見ていませんが……。

    昔のゴルフオヤジはシャンクした若者を見ると、こんなアドバイスをしていました。「シャンクとシャセイは成長した証だ。むしろお祝いをしなきゃね〜、頑張って乗り越えな!」って、どう対処するんですか?

    無責任オヤジの戯れ言は続きます。「昔からシャンク27って言われてな、シャンクが27回出る頃には勝手に治っちまうんだ、気にすんな。シャンクで死んだやつはいねえ」と来たもんだ。

    ■シャンクはどう直す? 偉い先生は言いました……■

    実は5年に1回ぐらい、シャンク病になっており、すでにレギュラー化しています。だから過去に、著名な指導者にも直し方を教えてもらったことがあります。そのときの答えは、実にアバンギャルドなものでした。

    ある先生は「シャンクはボールがクラブのネックに当たるのだから、構えたときにトウ側にボール位置をずらせば、ちょうどセンターのフェース真ん中で当たる」と言います。理屈はそうですが、実際やってみても、そんなに簡単に修正出来ませんでした。こちらとしては、もっと具体的な矯正方法を知りたいのですがね。

    一方、さらに偉い先生に聞くと「ボールをフェースのネック側にわざと置きなさい。さすれば流石にひどい球が出ると分かるから、自ずとシャンクは出ない」と言ったものです。なんだかな〜。この教えは聞いてるだけで怖くなり、一度も実践していません。

    ■スチールシャフトのアイアンを購入したら、人生5度目のシャンク病発症■

    というわけで今回、人生5度目ぐらいのシャンク病の顛末を報告します。まず、なんでなったか? 簡単にいうとスチールシャフトのアイアンと、カーボンシャフトのアイアンを交互に打って、だんだん振り下ろすタイミングが分からなくなり、気づいたらシャンクになっていました。

    従来からアイアンはカーボンシャフトを利用していました。けどウェッジは全部スチールシャフト。そして最近、ふらりと寄った中古ショップで、お値頃のスチールシャフトのアイアンセットを衝動買いしました。

    それでスチールシャフトとカーボンシャフトのアイアンの両方を打っているうちに、シャンク連発でパニックになったのです。なんとなく分かったことは、スチールシャフトのアイアンを打ってから、カーボンシャフトのアイアンを打つと、軽い分だけ無意識に速く振れてしまう。だからトップを形成する前に、クラブを早く下ろしがち。しかもアウサイドインという、ひどい軌道の打ち方が発生したのです。

    スランプの予兆はありました。某コースでラウンド中、得意の4番UTでとんでもないヒール球が出て、左のOBゾーンへまっしぐら。あれおかしいなと思ってたら、今度はアイアンで打つやシャンクする。こりゃアカンと思って、家に帰り練習場で反省会をしたのです。

    そしたら疲れているので、シャンクがぼんぼん出まくり、止まらなくなりました。インテンショナルスライスを打たせたら、日本一うまいんじゃないかぐらいです。狙ってもこんな綺麗なシャンク出ませんよって、そこを自慢してどうする?

    ゴルフ練習場でシャンクを連発すると、結構恥ずかしいです。隣の人がなんとなく見ますから。最初は「スランプですか?」みたいな哀れみの表情ですが、シャンクの量が増えて来ると「おいおい当てるなよ」ぐらいの目線で、無言の圧力をかけて来ます。さらに隣の打席の人がひと休みしてみなさい。相手はスマホを見るふりをして、こちらをチラ見するわけです。そういうとき、言ってやりたいです。「お前、シャンク見てるとうつるぞ、いいのか?」ってね。

    シャンクは出始めたら止まらないので、意地になって練習するのはやめたほうがいいです。つまりシャンクが出るから、そろりそろりと打つ。すると、またシャンク。じゃ思い切り振ってみるとまたシャンクなわけで、もう何をやってもシャンクという有り様です。そんなわけでシャンク病確定、さあこれからどうするか?

    ■何をやってもシャンクなら、まずは頭を冷やして考えてみた■

    少し頭を冷やすために練習をやめ、家で冷静に考えてみました。昔はどうやって直したっけ? そうそう、調子のよかった過去と同じクラブセッティングに戻したのでした。つまりパソコンのフリーズと一緒で、新しく導入したソフトを消せばいい。ゴルフの場合はギアやフォームを過去の設定に戻すのがよろしいのです。

    日を改めて、新しく入れたスチールシャフトのアイアンを抜き、数カ月前の好調時に戻そうと練習場に行きました。かろううじてウッドやUT系は、打てないことはないです。打てるクラブでリズムをつくり、調子が出てきたら軌道の確認をします。まずはどんだけひどい軌道かの確認です。ボールは打たずに、ゴム製のティめがけて従来から使っているカーボンアイアンで素振りをしてみます。これを何回かやると、残像として軌道がかすかに見えるんですね。

    ヘッドがアウトから入ってくるのが分かるわ、こりゃシャンク出るよね。ゴムティにクラブフェースのネック側が当たってるし。いや〜、見事としかいいようがないです。

    最初アイアンで素振り調整をしましたが、どう打ってもフェースのネック部分にゴムティが当たってしまう。こりゃアカン。アイアンは諦めました。ここからアイアンをUTに持ち替え、素振りでちゃんと当たるように調整します。テークバックを思い切りインサイドに引いたり、なるべくヘッドのトウ側でボールが当たるようにしたり、トップを深くしていったん止めるイメージで打つようにしたり、あくまで自己流ですが、過去の経験から導き出した直し方を実践しました。

    ■アイアン使用は“9番まで作戦”■

    結果、従来のシャンク(ネックにボールが当たる)発生率が3〜4割としたら1割ぐらいまで減りましたかねって、本当はゼロにしないといけないんですが。

    ただUTはミスしてもシャンクは出ずに、ものすごいヒール球が出るだけです。でもシャンクしてOBになるよりは、ボテボテでも前に進むほうがましかな。そんなわけでアイアン使用は“9番まで作戦”にしました。しかもスリークォーターショットまで。代わりに持ち出したのが、スランプ時に使うUTの数々、何しろロフト45度のUTを持ってますからね、それでラウンドすりゃいいってものです。

    シャンク発生中はひとり予約や、ホームコースにふらりとなんて行けません。いきなりシャンクが出たら恥ずかしいじゃないですか。これでメンバーなの? と変なおじさん扱いされてしまう。やはり知らない人とラウンドするというのは、そこそこの腕前じゃないとね。かえってプレッシャーを感じます。

    ちょうどタイミングよく、身内のラウンドがあったので、そこに参加することに。そのときは、アイアンをいっさい使わないでプレーをしました。私の場合、そうすればシャンクが出ることはないですから。結果、ドライバーなどのウッド系が活躍して、無事に100を切れました。

    結果的に分かったことは、アイアンを使わなくてもゴルフは出来るってことです。何を隠そうアイアンの代わりに集めたUTのコレクションは目を見張るものがあります。長年シャンク病で悩んでいたので、自分を守るためにミスの少ないUTを集めていたのです。

    さて今後どうしましょうか。今後はますますヘッドスピードが落ち、体も固くなり、思ったとおりのスイングが出来ないでしょう。もちろんアイアンの練習は怠らず続け、またアイアンを使えるように頑張るつもりですが、保険の意味も含め、UTの練習も怠りません。

    つまり「ウィズシャンク」ってことです。「ウィズコロナ」も大変ですが、シャンクを持病として抱えて生きるのも大変です。またいつシャンクの発作が起きるか分からないので、すべての状況に対処して生きる所存です。

    ■プロフィール■
    木村和久
    きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。

    とがしやすたか
    1959年生まれ。東京都出身。「青春くん」などで知られる4コマ漫画家。ゴルフ好きが高じて雑誌でラウンドレポートなども展開。
    連載

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