ゴルフ漫画の巨星逝く かざま鋭二氏が膵臓ガンのため他界
くよくよしてても始まりません。我々だけで出来る、送る会みたいなのはできないだろうか。かざま先生の心の故郷的なゴルフ場は漫画「風の大地」の舞台となった、鹿沼カントリー倶楽部です。でもそこはすでに聖地化されてて、沢山の関係資料が陳列されています。「風の会」という、かざま先生を偲ぶ会のコンペ会場にも決定していますしね。
1)アクセス
本州方面から沖縄などの南国リゾートに向かうスケジュールを組むと、早朝便でぎりぎりその日のスタートに間に合います。羽田なら朝7時台のフライトで、10時ごろ那覇空港に到着。そこからレンタカー屋に行ってクルマに乗れば、昼頃リゾートに着き、午後からのスルーラウンドが出来ます。
若いときはこの1泊2ラウンドに挑んでいましたが、マジ疲れます。スケジュールが分刻みで、少しでも何かトラブルがあると、スタートが間に合わなくなる可能性があるからです。だから、今はやりません。
そもそもかざま先生は朝が弱いタイプでした。深夜まで漫画を書き、それから仕事終わりでナイトキャップをするから、明け方に寝るのが習慣。そんな人に明け方に起きろなんて言えませんよね。
我々も無理の利かない年齢になったので、ここ10年は前乗りで沖縄に行っています。つまり正午ごろの羽田発のフライトで、午後3時過ぎに那覇空港着、そこからクルマに1時間半乗り、カヌチャリゾート到着というわけです。
2)前乗りのメリット
いよいよ2泊3日2ラウンド、沖縄リゾートツアーの始まりです。初日は何もすることがないので、夕方6時ごろに和食レストランの「神着」(カヌチャ)で食事をして、そのまま2次会のバーへなだれ込み、夜遅くまでお酒を飲みます。
沖縄で食べる料理はアグー豚のシャブシャブ、ラフティ、ジーマミ豆腐、海ぶどう、島らっきょう、ゴーヤチャンプルーなど、お約束メニューが勢ぞろい。ちなみにかざま先生はビールよりハイボール派、そういえば通風をいつも気にしてたなあ、薬も常備して万全の態勢で飲んでいました。
食事の後は夜風に吹かれながらプールサイドのバーへ。ここは下の階にあるイタリアンからピザの出前が取れて、さっきたらふく食べたのに、またピザをペロリ。これがまたいいんだわな。
3)ロケーション
かざま先生がいつも感心していたのは、カヌチャリゾートのロケーションのよさです。広大な敷地にの中にホテル棟、コテージなどが点在し、その周りをゴルフコースがぐるりと囲んでいるのです。だからベランダに出ると目の前がコースゆえ、ラウンドしているプレーヤーを見ることが出来る、そういう客室もあります。
そうなると、もしベランダ近くにボールを打って拾いに行ったとき、突如女性がネグリジェ姿で出て来たらどうしよう。小沢真珠風の美魔女がワインを飲みながら「このボールあなたのかしら?」と聞いてくる。ドキドキしますね。
このリゾートはあまりにも広いので、乗用カートに乗ってエリア内を移動します。ゴルフ場の中に客室棟があり、かつプライベートビーチまで用意してあるなんて、ハワイの複合リゾートみたい。日本ではほんと貴重なロケーションです。
何度か泊まっていると、今度は眼下にプールを眺める部屋を案内されました。その部屋の窓から、楽しそうな声がかすかに聞こえ、リゾート盛り上がってる感を肌で感ずることが出来るんですね。そんなわけで寝る前に、かざま先生が好んでいた客室に滞在し、ベランダにあるジャグジーに浸かりながら、ひとり献杯したのでした。
4)いよいよラウンド
リゾートゴルフで便利なのは客室で着替えて、そのまま食事して、スタート出来ることです。もちろんクラブハウスに、ロッカーもお風呂もありますが、部屋から移動して、またクラブハウスで着替えるのは面倒臭いでしょ。
部屋で着替えてから、夜に食事した和食レストランの「神着」に朝7時ぐらいに到着。朝に行くと眺めが素晴らしいのにびっくり、太平洋が一望に見渡せます。そのとき、「あ〜、沖縄に来たんだな」としみじみ感じます。食事をする前に、まず写真というお客さんが結構いますね。
朝食は夕食並みに豪華で、鍋までついてます。しかも、ごはんは土窯で炊いているから目茶苦茶美味しい、だからついおかわりしてしまうんですね。
食後はカートで移動し、2分ほどでクラブハウス到着です。このラウンドの導線が素晴らしいのです。かざま先生は、いつも遅めに起きて、朝食抜きでスタートしていました。コースの売店には食べ物がどっさりあり、軽くつまみながらのラウンドが可能。いやあ、アメリカンですなあ。
5)スループレーの魅力
カヌチャリゾートの売店の充実さは、目を見張るものがあります。特に1番と4番ホールがクロスするスタート売店には、関東風のおでんが鍋に入れて置いてあります。なんで沖縄におでんと思いつつも、いざ食べて見ると大根に出汁が染みてうまいんだわ。ほかスパムおにぎりはお約束、疲れを癒すチョコレートも必需品ですか。ここでかざま先生は、出遅れた朝食を食べ、予備におにぎりを持ってスタートしていました。
そしてカヌチャの見どころは、インスタ映えするビュースポットが幾つもあるところ。2番パー3は池絡みで、雰囲気が落ち着いててよろしい。8番ロングはセカンド地点から豪快なやんばるの谷越え。今回は1勝1敗、つまり1回だけ谷越えに成功しました。
さらに13番パー3は、沖縄本島をデザインをしたグリーンにめがけて、130ヤードほどを打ちます。改修工事も終わり、実に美しい。うっとりします。さらに17番は右側が海で、手前には谷、がぜん挑戦意欲が沸きます。綺麗なホールにはトゲがある。まあ〜、たいがい叩くので打つ前に必ず写真を撮っておきましょう。
6)ラウンドを終えて
ラウンド終わりは13時ごろとなり、そのままクラブハウスにある中華レストラン「龍宮」で食事となります。疲れているので汁物が欲しくなり、まずはビールを飲んでラーメンをすすり、そこから半チャーハン、餃子などをつまみます。
カヌチャリゾートに行くたんび、ジャグジーに浸かりながら「俺もここまで頑張ってきたな〜」と妙な満足感&充実感に浸れますしね。さあ、かざま先生のぶんも生きて、残りの人生を全うしないと。来年またカヌチャに行く予定です。かざま先生、温かく見守っててください。
木村和久
きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。
とがしやすたか
1959年生まれ。東京都出身。「青春くん」などで知られる4コマ漫画家。ゴルフ好きが高じて雑誌でラウンドレポートなども展開。