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    おやじゴルフニュース「セルフプレーの問題点と今後の課題を考えてみた」

    ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・とがしやすたかのイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。

    配信日時:2022年12月20日 03時00分

    • ゴルフライフ
    イラスト・とがしやすたか
    イラスト・とがしやすたか
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    ここ20年で急速に浸透したのがセルフプレーです。ネット予約が拡大すれば、ゲストは出来るだけ安い料金、すなわちセルフでゴルフをしたがるのが人情というもの。そもそも最近は人材難でキャディさんが減っており、一部の名門コース以外はセルフプレーに舵を切っています。

    コロナ禍ではプロツアーでもセルフプレー

    最近のセルフプレー浸透に一番貢献しているのは、ナビゲーションパネルの導入でしょうか。乗用カートに設置されたパネルには、マップや前方のカート位置、ピンまでの残り距離などが表示され、キャディさんに代わって仕事をしてくれます。

    さらにはスコア管理までしますからね。数組のラウンドでスコアを入れていると、トーナメントのように順位が表示されるのにはびっくり。仲間の組とスコアを切磋琢磨し、トーナメント気分を味わえます。あれは腕前に関わらず、すごく盛り上がりますよね。

    加えて2019年のルール改正で、ピンを抜かずにパットが出来るようになったのも、キャディいらずを加速させました。

    グリーン上ではピンを差したままにしてプレー続行。ボールを自分で拭き、ラインも自分で読む。ならばセルフプレーで問題ないじゃん。けど気づかないうちに、キャディさんがやってくれていたゴルフマナー啓蒙が風化しつつあるのも事実です。キャディさんと一緒にラウンドしたことがない新人類ゴルファーは沢山います。

    今回はそこをピックアップし、今後どうしたらいいか考えてみます。

    1)グリーンのピッチマーク問題
    最近のゴルフ場で頭を抱えているのが、グリーンのピッチマークの多さです。100ヤードぐらいから、高い球でグリーンにボールを乗せると凹みが出来ます。それをピッチマークといいます。その場でグリーンフォークを使い修復すると、2〜3日で元の平らなグリーンに戻るといわれています。

    キャディさんがいた時代は、当然のマナーとして誰しもがやっていました。けど今のセルフプレー世代の若者は、ピッチマークを修復するグリーンフォークすら持っていないし、例え持っていても、正しい修復方法を知らない人もいるというありさまです。

    綺麗に整備されたグリーンはピッチマーク跡が少ないから、すぐに自分の落としたボールの跡を発見できます。けどピッチマークが多いグリーンは、どれが自分のボール跡か分からないので、とりあえず目立つピッチマークを代わりに直して終わりにする、そうやるしかないですね。

    簡単な解決策としてはグリーンを固くして芝を伸ばし、グリーンの速度を遅くすればよいのです。よく河川敷などのコースにあるでしょう。高麗グリーンでスティンプメーターの速度7フィートぐらいだと、ほとんどピッチマークはつきません。

    けどそれをメンバーコースでやれば、グリーンが重くてつまらないとメンバーから苦情が来ます。さあピッチマークの修復をどうすべきか? ゲストがやらないなら、空き時間にスタッフがやるしかないです。

    だから2グリーンのコースがわりといいかもと思いますが、ひどいコースは2グリーンともボコボコになっています。今の時代はお客さんを詰め込み過ぎて、ゲストの自助努力でグリーンを維持することは難しいようです。

    じゃ優秀なグリーン管理はどうしているか。太平洋クラブ御殿場コースのメンテを、以前取材したことがあります。修復不可能あるいは、戻すのに時間がかかりそうなピッチマークはグリーンを掘り下げ、小さい円筒形の土壌にして、そっくり入れ替えるそうです。

    カップを切って戻すのと同じ要領ですが、ピッチマークは小さいので、修復したあとはまったく分からないのにびっくりしました。でもこれにはお金と手間がかかる。チャンピオンコースゆえ、通常のコースの倍以上のメンテナンス予算を計上しているというのだから、恐れ入りました。普通のコースじゃ無理な話ですよね。

    今後はスタートホールでスタッフが、ピッチマークの直し方を教えるとか、ナビゲーションパネルに説明を入れるとか、そういう細かいことをやるしかないのかも。

    2)ディボット跡
    ピッチマーク同様に問題なのがディボット跡です。確かにディボット跡が目立つコースが存在しており、やはり日頃のメンテナンス、プレーヤーの目土作業の励行が大事かと思います。

    どこぞのコースではボランティアスタッフとして、ディボット跡に目土する人を専門に雇っている、そんなケースもあります。昔は手の空いたキャディさんが夕方などに、手分けして目土をしていましたが、今はそのキャディさん自体が減っていますからね。

    セルフで来ているアベレージゴルファーは、大ダフリして頭に血が上っているので、目土なんて思いつかない、そういう人が多いです。具体的解決策として、ディボット跡を増やさないように打つティを変える方法はあります。

    つまりディボット跡は池の前やドッグレッグのコーナーあたりなど、出来る場所が決まっているのです。だからティの位置をずらせば、ディボット跡の出来る場所も変わる。その期間にディボット跡を修復するプランです。あとは修理地扱いにして、当面の間は避けていただくとかね。

    いずれにせよ手間がかかる作業です。目土をしないビジターが沢山いる現状を踏まえれば、夕方専門の目土作業員をどれぐらい雇えるかによりますね。結果、その分プレー代に上乗せされるわけです。例えばですが、ピッチマーク跡や目土代として、数百円ぐらいを徴収してもよいのかと思います。その代わり、ディボット跡に目土するのを忘れてもマナー違反にならないし、良心の呵責もありませんとなるわけです。

    今まで性善説に基づいたマナーとして、メンテナンスをプレーヤーに頼る部分がありましたが、そのシステムは崩壊しつつあります。何か現実的な解決策を導かないといけない時期かも知れませんね。

    3)バンカーの靴跡
    セルフプレーで問題なのは、バンカーを均さない人が結構いるということです。均す意識はあるけど、何度もバンカーに入り、テンパッてしまったからそういう余裕がなかったというわけです。

    バンカーはラウンド終了後か早朝にスタッフが均せば、翌日のプレーに支障はないでしょう。けどプレー途中に、知らないプレーヤーがこさえた靴跡に、すっぽりボールが入った
    ときなどはムカつきますね。

    競技ならノータッチでプレーしますが、プライベートラウンドなら、リプレースしてよろしいと思います。あくまで同伴競技者の承諾を得た、プライベートルールとしてですがね。だって明らかに第三者がこさえた余計な障害物でしょ。あるがままに打つのは、あくまで自然の障害物のことを指しますから。

    現在バンカー内の小石すら避けていい時代になっています。他人の靴跡に入ったボールをそのまま打たせるのは、単なる不運で済ます問題じゃないと思うのですが。皆さんはどうお考えでしょうか。

    たまたま前の組にすごいヘボがいて、そいつの尻拭いをなんで自分がやらなきゃならないのか? そういうことです。

    4)ファーを言わない人々
    ティショットでボールを大きく曲げてしまった。キャディさんは、間髪入れずに「ファ〜〜〜〜」と叫びます。よく通るその声が気持ちよく、惚れ惚れしますね。「いい声してるね〜コブシが入ってるよ〜」って民謡かよ。

    けど今はそんなキャディさんの「ファ〜〜〜」すら、聞いたことがない人々が沢山います。ましてや声を出すなんて、しかも打った瞬間には難しいのです。そもそも人の打ったボールすら見ない人が、声を出せるわけもないのですが。

    セルフでやっているコースは、不思議とだだっぴろいコースが多いように見受けます。うまく出来てるんですかね。今後は、ナビゲーションパネルに「このホール右にそれたらファ〜と声を出すこと」みたいな注意が表示されるのかも知れません。

    6)スロープレー、打ち込みなど
    どこぞのコースでは、トップスタートから5組ぐらいまではメンバーさんに必ず入ってもらい、ペースメーカーをやってもらうそうです。そもそもそういうコースは、客を詰め込み過ぎですがね。

    今後は混むしメンテは悪いけど安いから仕方ないコースと、お金をちゃんと取るがメンテも食事も渋滞状況も許容範囲のコースに別れて行くんじゃないですか。

    今はスマホで調べればそういう口コミ情報が氾濫しており、待たされて大変だったという人は、何も調べずに行ったほうが悪いことになっています。次回は有益な情報をもたらす、ネットの口コミについて考察したいと思います。

    ■プロフィール■
    木村和久
    きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。

    とがしやすたか
    1959年生まれ。東京都出身。「青春くん」などで知られる4コマ漫画家。ゴルフ好きが高じて雑誌でラウンドレポートなども展開。
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